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インタビュー

2016/07/15

【保育スタッフ座談会後編】「働くお母さんを助けたい」想いは同じ

       


~病児保育スタッフ×小規模保育「おうち保育園」スタッフ座談会~<後編>
左:こどもレスキュー隊員・柿木成子、右:おうち保育園スタッフ・打浪寛子

病児保育の「こどもレスキュー隊員」として活躍する柿木隊員と「おうち保育園なかの新橋」で担任をもっている打浪先生は、ふたりとも、子育てが落ち着いた後に独学で保育士資格を取得し、保育の仕事の経験はゼロながらフローレンスに飛び込みました。驚くことも多かった入社後ですが、どうやってスキルを学んだのか、今や重要な戦力となった二人のこれからを聞きました。

座談会前編はこちらからご覧ください。

【保育スタッフ座談会前編】前職は事務職。未経験から保育の世界に飛び込んだ2人!
~病児保育「こどもレスキュー隊員」×小規模保育「おうち保育園」スタッフ座談会~<前編>(左:病児保育スタッフ柿木成子、右:おうち保育園スタッフ打浪寛子)フローレンスには、小規模認可...
<プロフィール>

柿木成子:フローレンスの病児保育スタッフ(こどもレスキュー隊員)。外資系IT企業に勤務の後、夫の海外赴任に伴い退職し専業主婦を経験。帰国後に金融業を経て、2014年1月にフローレンスに入社。2016年1月に独学で保育士資格を取得。

打浪寛子:フローレンスの小規模認可保育園「おうち保育園なかの新橋」で2歳児クラスの担任を務める。外資系税理士法人でパートタイムで働きながら2011年に独学で保育士資格を取得。2014年5月に事務職兼保育スタッフとしてフローレンス入社。2015年4月からおうち保育園スタッフに。


-未経験で入社して、どうやってスキルアップしましたか?

柿木:私が入社した時は、座学研修と現場での半日研修が2回、終日の研修が1回でマンツーマンの病児保育にデビューでした。子育て経験がない人はすごく怖かったと思うし、感染症が流行すると忙しくて研修ができないから、「孤独で」といって辞めていってしまう人もいました。

でも今は不安に思う隊員たちの訴えもあってか、研修もすごく充実しましたね。こどもレスキュー隊員は、病児保育に出ない日は自宅学習や事務局で行われる研修に参加しますが、最近は隊員数も増えて参加しやすくなってきました。最近役に立った研修は、朝に親御さんとの間で行う「引き継ぎ」の研修です。保護者の方は仕事に行く前なので、短い時間でお子さんの症状や普段の生活を聞き取る工夫が欠かせないんです。

研修は架空のロールプレイングなんですけど、「しゃべりすぎるおばあちゃん」や「寡黙なお父さん」など、難しい引き継ぎのパターンで引き継ぎをやってみます。その他にも、訪問看護ステーションジャンヌという社内の看護師たちが行う医療的な対応の研修ももちろんあります。

それから、保育士資格を持っているスタッフは「おうち保育園」に派遣されることもあります。集団保育とマンツーマンの病児保育はまた違いますが、各園で特徴があるので色々と吸収してくることができます。

打浪:受け入れる「おうち保育園」側も、病児保育のスタッフが来るのはすごく助かるし、勉強になるんですよ。病児保育の隊員さんたちはやっぱりきめ細やか。一人ひとりに合わせた保育を実践しているので、お互いに刺激をもらっていると思います。

柿木:そうなんですね。なるべく園のやり方を尊重しつつも、ついつい病児保育の視点から一言いいたくなっちゃうんですよね(笑)。おうち保育園も園によって色んな特色がありますよね?

打浪:はい、園によって雰囲気や保育方法はさまざまです。おうち保育園でも年に2回、全社会議があって、午前中は保育方針や中長期的な方向性を確かめ合う場ですが、午後は各園ごとに保育の様子を発表し、それを共有しあう場になっています。他の園の様子を知るのは勉強になりますし、その場で保育士同士で情報交換ができるのはすごく貴重な場です。

それから月に1回程度、保育塾という勉強会があります。保育経験が浅いスタッフ向けに開催されているもので、おうち保育園のスタッフ以外も参加できます。テーマも現場の保育スタッフのアンケートから採用されるので、すごく実践的。最近でいえば、保護者の方とのコミュニケーション力アップや子どもとの遊び方についてなどです。保育士試験には手遊びや保護者対応の実技が出題されるわけではないので、保育経験がない人にとってはありがたいです。

-二人とも保育士であるとともにお母さんですが、子育て経験が役立つシーンはありますか?

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柿木:病児保育の現場ではやっぱり動じないことでしょうね。熱性けいれんが起きた場合は基本的に119番対応をしていますが、けいれんなのか判断がつかないような微妙なラインのこともあります。受診して医師からは「様子見でいいですよ」と言われても、子育て経験がなかったら様子見するのは怖かったかもしれないですね。

打浪:保育園でもありますね。もちろん怪我をさせないように我が子以上に気をつけていますが、どういった場面が危ないのか、経験上何となく分かるし、子どものそばで見守りながらも必要以上に心配しすぎないでいられます。

それからおうち保育園は0~2歳の低年齢児なので、抱き方のバリエーションがあるのも子育て経験者ならではの強みかもしれません。子どもを寝かしつけるときに1歳未満の子は「横抱き」がいいと思われがちですが、縦抱きが好きな子もいます。保育士資格だけでは、このバリエーションは出てこなかったと思います。我が子をさんざん寝かしつけてきたから、色んなパターンを繰り出せます。

でも、病児保育はお子さんが体調が悪い時ですよね?どうやって寝かしつけているのでしょう?

柿木:実は病児保育では、お昼寝ってそんなに無理やりさせないんです。その子に合った時間だけ眠れればいいので、例えば「うちの子は1時間しか寝ません」みたいに親御さんから聞いていたら、それ以上は無理強いしません。一人ひとりに合わせた保育をすればいいんですよね。

打浪:たしかに。それは集団保育の保育園とは違いますね。保育園では、一斉にお昼寝の時間があるので、ある程度「寝かしつけ」しなければいけないですからね。

-保育職は働く環境が厳しいと言われますがどうですか?

打浪:私は保育士として他の会社で働いたことはないですが、他園で働いたことのある同僚に聞くと、フローレンスはきちんと休みが取れるのでいいという声が返ってきます。誰かが休むときには、ヘルプマンという、各園を回っているヘルプスタッフが来てくれるので、きちんと休みを取ることができます。急なお休みも、体調が悪そうな時は、当日の朝にバタバタするよりも、「ヘルプマンに来てもらうから、明日は休んで」と言い合える空気がありますね。

柿木:病児保育は親御さんがいない間のマンツーマン保育なので、どうしても長時間の保育になりがち。でも、一定時間を超える保育については、2名で交代するリレー保育を導入しています。

打浪:マンツーマンで病気の子どもを見るのはすごく勇気がいりませんか?

柿木:組制度というグループでサポートしあう制度が始まって、精神的なサポートも充実しつつあります。一般の保育園から転職してきた人たちの中には、病児保育はやっぱり「怖い」という人もいます。そんな人達が続けていけるように、保育中に組長が訪問してアドバイスしたり、フォローする体制が組まれています。

それから事務局とのやりとりも頻繁にできます。私は困ったことがなければ電話しないんですが、「もっと電話していいんですよ」と言われます。

逆に、おうち保育園は1人の先生に対して、複数の子どもたちだから大変ではないですか?

打浪:そうですね。たしかに病児保育に比べたら人数は多く感じるかもしれません。でも「おうち保育園」は小規模園なので一般的な保育園に比べて、保育スタッフの数が多いんです。親御さんから見ても安心ですが、働くスタッフとしても安心なんですよ。目が行き届くので、「気づいたら小さな子どもが階段を登ってしまっていた!」なんていう保育者不足によるヒヤリ(ヒヤッとする瞬間)も少ないと思います。

-それぞれのやりがいとこれからの目標を教えてください。

おうち保育園スタッフ打浪寛子

打浪:自分なりの目標やビジョンは「笑顔が広がっていくこと」なんです。お母さんが仕事や子育てで疲れきっていても、私たちが子どもの気持ちに寄り添って、子どもが笑顔になればお母さんも笑顔になってくれる。お散歩で近所の方と目が合った瞬間に、子どもたちが笑顔で「こんにちは」と言えば無表情だったご近所の方や通行人の方々が笑顔になったり。保育士はそんな笑顔の広がりのまさに「現場」にいます。それを毎日直接感じられるのは、今までの事務職とは違う点だと思いますし、やりがいが大きいところですね。

柿木:私はまだ隊員になって2年。完璧なレスキューをやれたと思ったことはないです。でも、レスキュー後のアンケートなどを見て、子どもが元気になることはもちろんながら、働くお母さんの役に立っていると実感できるとすごくうれしい。病気の時こそ一緒にいてあげたい気持ちはよくわかるし、涙ぐんで仕事に行くお母さんもいます。お母さんとのお別れで泣いてしまう子どもも多いです。でもそんなときは子どもに対して「お母さん頑張ってるんだよ」って、働くお母さんのことを肯定してあげたい。お母さんには「今が一番大変で踏ん張りどきよね、だからいってらっしゃい!」って。そうすると、その日がんばったぶん、翌日はお母さんもお休みが取れたりして。そんなふうに、働くお母さんを応援するのはすごくやりたかったことなんです。

打浪:たしかに、私も子どもはもちろんかわいいですけど、保育士になろうと思ったきっかけは「お母さんを助けたい」という気持ちでした。

柿木:そう。年齢を重ねて「社会にどう貢献していくか」と考えたときに、やっぱり女性だから「子ども」そしてその「お母さん」を助けたいという気持ちになったんですよね。そういう気持ちの人、まだまだたくさんいるんじゃないかな?と思うんです。いまはこどもレスキュー隊員が足りなくて、病児保育を利用できずに待っているお父さん、お母さんがたくさんいますから、すごくもどかしい。だから、「何か子育て中の親御さんの役に立ちたい」という方は、ぜひフローレンスの門を叩いてほしいですね。


子育て経験を活かして病児保育のお仕事にチャレンジしてみたい方、お話を聞いていただくだけでも構いません。ぜひお気軽に説明会にお越しください。

スタッフ一同、皆さんにお会いできるのを楽しみにお待ちしています。

■病児保育スタッフのお仕事説明会はこちらから
https://byojihoiku.florence.or.jp/recruit/raised/



書いた人:奥村康子


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