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アクション最前線

2016/12/03

子どもに障害があっても、働き続けられる社会へ【寄付月間2016】

  


12月は寄付月間です。またそれと同時に、本日12月3日から12月9日までの1週間は、障害者週間とされています。

障害者週間は障害者基本法によって定められたもので、毎年、国や地方自治体が中心となり、意識啓発に関するさまざまなイベントなどが開催されています。

平成28年度障害者週間 – 内閣府

今回は、寄付月間×障害者週間ということで、フローレンスが取り組む障害児保育の背景と、そこで寄付がどのような意味を持っているかについてご紹介します。

障害児保育問題:障害児が利用できる保育園がない

うちの子は経管栄養のチューブがついています。

これはどうしても栄養や水分が摂れない時に使っている物です。

保育園に入園の相談に行くと「チューブがついていると難しい」とすべて断られていました。

(東京都新宿区 三歳児 母 )

ほとんどの保育園や幼稚園では、経管栄養などの医療的ケアが必要な子どもや、重い障害のある子どもの受け入れができません。

一方、障害児を対象とした通所施設では、重度心身障害児も含めた障害児を受け入れていますが、週に一日~数日のみの利用、一日に利用できる時間も一時間~数時間という限られた時間だけです。親の同伴が必要な場合も多くあります。

既存の療育施設をはじめとして、障害がある子を預かれる場所が少なく、特に医療的ケアを必要とした障害のある子を預かれる施設はほとんどありません。

そして、「保護者の就労を支える」ことを目的とした預かり先は、日本ではほとんどありません。

子どもを預けられないため、就労を希望しながらも、働けない障害児の母親が潜在的に存在しているのです。

障害児を持つ母親の常勤雇用率はわずか5%

障害児を持つ家庭は、医療費や療育費など、子育てにかかる費用が大きな負担となります。

しかし、多くの障害児の親は、両親が健在であっても共働きをしていません。

全国のフルタイムで働く母親の雇用率を比較すると、健常児を持つ母親の常勤雇用率は34%、障害児の母親は、5%という現実があります。

障害児の母親の常勤雇用率は、健常児の母親に比べ約7分の1程度しかないのです。

就労率

出典 厚生労働省「全国家庭児童調査」(平成21年度)    障害(児)者の家族の健康・生活調査大阪実行委員会    「障害(児)者・家族のくらしと介護者の健康調査」(平成8年)

「医療的ケア」が必要な重症心身障害児の増加

新生児医療が発達し、都市部を中心にNICU(新生児集中治療室)が増設された結果、超未熟児や先天的な疾病を持つ子どもなど、以前なら出産直後に亡くなっていたケースでも助かるようになりました。

一方で医療的ケアが必要な重度の障害児(重症心身障害児など)は増加傾向にあり、彼らの地域生活インフラの確保が課題となっています。(※東京都のNICU利用者数…8011床(平成10年比29%増))

NICUを経た子どもの多くは、数カ月から1年程で退院し在宅医療に移行します。その子ども達の多くが、経管栄養や胃ろう(胃から直接栄養を摂る仕組み)等、医療的ケアを必要とします。

しかし、子ども向け訪問看護や障害児保育などのインフラは圧倒的に足りず、せっかく生きて産まれてきてくれたのに、病院を出たら、地域でどこにも居場所はありません。

障害児保育園ヘレンと、障害児訪問保育アニー

そこで私達フローレンスは、障害の有無にかかわらず、全ての子どもが保育を受け、保護者が働く事を選択できる社会を実現するため、日本初の障害児保育園ヘレンを開園、そして訪問型障害児保育アニーを立ち上げました。

現在ヘレンは東京都杉並区の荻窪園と豊島区のすがも園で合計15人の障害のあるお子さんをお預かりしています。

アニーでは東京都内11区で合計13人のお子さんを、保育スタッフがそれぞれマンツーマンで保育しています。

helen

障害児保育に、なぜ寄付が必要か

フローレンスの障害児保育は、児童発達支援、居宅訪問保育といった国の福祉の制度を利用し、一人のお子さんごとに、保育を提供するための補助を得て、運営されています。

しかし、こういった補助は、保育園の開園やスタッフの研修といった、サービスを開始するための初期費用について補填されるものではありません。

例えば、障害児保育園ヘレンの開園であれば、物件の借り入れ・内装工事、備品の準備、保育スタッフの配属準備・外部研修など、ある程度の初期費用が必要となりますが、ヘレンは通常の認可保育所と異なり、園の開園にあたって国や自治体からの補助は原則としてありません。そのため、初期費用は寄付を中心にまかなう必要があります。

そのため障害児保育園ヘレンの開設には2,000万円~5,000万円程度が必要となり、実際に、2017年2月に世田谷区に開園予定のヘレン経堂では、2,000万円が村上財団様などといった法人様からの寄付をもとにしていす。なお、残りの開設費用も、多くはフローレンスマンスリーサポーターなど、個人の方からの寄付でまかなわれます。

また、ヘレンもアニーも、障害のあるお子さんを預かる以上、保育スタッフや看護師が、開園前に適切な研修を受けることは欠かせませんが、そういった研修費や人件費に対しても、自治体等から補助金は出ないので、寄付などでまかなう必要があります。

東京都内だけでも、200人~300人弱の保育を必要とする障害児がいると見込まれています(フローレンス調べ)。その子どもたちに保育を届け、働きたい親御さんを助けるために、私たちは今後もヘレンとアニーを、都内を中心にどんどん展開していきたいと考えています。

そのためには、みなさんの寄付が必要なのです。

ヘレンを経て、認可保育園に転園したるい君のお母さんは、こんな風に語ってくれました。

ヘレンには、るいと境遇の似た子がたくさんいて先生もその子に合った対応をしてくれました。集団生活の中で動ける子からは動きを学び、しゃべれる子からはお話を学び、子どもって「見て真似て」育つんだなと。るいも歌を謳ったり、お絵かきしたり、子どもらしいしぐさがすごく増えました。これまで病気のことばかりに気を取られて、子どもらしいしぐさや表情に気づけなかったんです。るいがヘレンに通ったことで「介護っぽい」ものだった私たちの子育てが「育児」になりました

るいはこの春、ヘレンでの集団保育の実績を認めてもらい、認可保育園に転園しました。きっとまたたくさんのことを学んでくるんだろうなと思うとワクワクします。私たち親にとってもヘレンで過ごした1年半は大事な期間でした。障害児保育問題のゴールはヘレンのような保育園が増えることではなく、どこの保育園でもどんな子どもでも預かってくれることだと思っています。でも、まずは障害児の母親も当たり前に働くようになれば、自治体の意識も変わっていくのではないかと。ヘレンはその橋渡し的な役割を果たしてくれる存在になると信じています。

ヘレンストーリー


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