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2016/12/05

医療的ケアのある子どもも保護者の付き添いなしで学校に行きたい!~全国医療的ケア児者支援協議会 記者会見~

     


医療的ケアのある子どもは保護者の付き添いがないと学校へ行けない!?

フローレンス代表理事の駒崎が事務局長を務める全国医療的ケア児者支援協議会が本日、記者会見を行いました。

『医ケア児も親同伴なしで学校に!』と題して行われた記者会見では、訪問看護の「居宅しばり」撤廃を求めて医療的ケアを必要とする子どもの保護者が駒崎らと共に登壇しました。

12月3日の国際障害者デーにスタートした12月3日~9日の障害者週間期間中である本日、メディアからの関心も高く25名もの方にお越しいただきました。

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無題

医療的ケア児とは、家族や看護師、介護者などによるたんの吸引や栄養剤の注入など、日常生活の中で医療的な介助を必要とする児童のことです。

調査によれば、経管栄養、気管切開、人工呼吸器等が必要な児童のうち約9割はNICU・ICU(PICU含む)の入院経験があり、近年の新生児医療の発達により、医療的ケアが必要な子どもは地域に急増しています。NICU等退院児の約6割以上が吸引や経管栄養を必要とし、約2割が人工呼吸器管理を必要とすると言われています。(2016年3月16日厚生労働省発表資料「医療的ケア児について」より)

医療的ケアのある子ども達がNICUを出た後は「ケアを必要とする」という理由で、保育園に受け入れてもらえないという問題がありました。そこで、フローレンスでは2014年に日本で初めて障害児の長時間保育を可能とした障害児保育園「ヘレン」を開園、2015年には障害児訪問保育「アニー」のサービスを開始しました。まだまだお預かりできる人数が少ないとはいえ、医療的ケア児が保育を受けられないという課題を解決する一手となりました。

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医療的ケア児に立ちはだかる小学校の壁

しかし、こうした子どもたちがやがて小学校に就学する年齢になった時に、新たな壁にぶつかります。

現在医療的ケア児が学校に通学するには、常に保護者の付き添いが強いられるのです。また、学校に看護師の配置が不足している場合、校内での付き添いもすべて保護者が行う必要があります。

当然、子どもたちに付き添う保護者は就労することができないため多くの場合、母親が仕事を辞め24時間体制で介護に当たっています経済的負荷に加え心身への負担も重く、保護者の体調などの事情によっては学校に通学できていない子どもも見受けられます。

保護者の付き添いがなければ教育を受けられないこうした現状は、子どもの教育を受ける権利を侵害しているとして、問題視されてきました。こういった状況になっている原因は、健康保険法第88条の条文により、看護師が医療的ケアが必要な子どもに付き添う訪問看護が「居宅(自宅)のみ」と制限されていることにあります。逆に言えば、訪問看護師の付き添い条件が「居宅等」と変更されるだけで、保護者は担当の訪問看護師に子どもの通学を任せることができるのです。

全国1,201名の医ケア児を持つ保護者からの切実な訴え

記者会見では、全国医療的ケア児者支援協議会「親の部会」が中心となり、全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会の協力を得て、全国WEBアンケート調査『居宅以外への訪問看護の希望度 調査』の結果が報告されました。これは、実際に医療的ケア児を子どもに持つ保護者の声を厚生労働省に届けるべく実施したもので、医療的ケア児を子どもに持つ親の声をまとめたものとしては、日本初となる大規模調査です。

結果のサマリは以下のとおりです。

●アクセス数2,902名のうち1,201名より回答あり(40%を超える高い回答率)
●「通園・通学に支援を必要としている」75%以上
●「居宅以外へ訪問看護師が訪問できたら生活や移動の幅が広がる」90%以上
●訪問看護に求めること「居宅以外への訪問」「長時間使えるようにしてほしい」70%以上

訪問看護の「居宅しばり」撤廃を求めて

健康保険法第二款八十八条

訪問看護事業(疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話又は必要な診療の補助を行う)

訪問看護とは、地域の訪問看護ステーションから、高齢者や障害者の医療的なケアを行うために看護師が自宅を訪問する支援です。在宅医療の要として定着しており、訪問看護ステーションの数は全国で9,000カ所を超えています。各自のかかりつけの訪問看護ステーションから、訪問看護師が医療的ケア児に帯同し登校から下校まで適宜医療的ケアをすることが可能になれば、保護者がずっと学校に付き添わねばならない、という状況が解決されます。

現状、健康保険法第88条で「居宅において」とある部分が、「居宅(等)において」と変更されることで、訪問看護の規制が解除され、医療的ケアのある子どもたちも保護者の付き添いなしに通園、通学、通所することができます。また保護者も送迎や待機の時間が減ることで、24時間体制の介護で疲れた体を休養することができ、就労することもできます。
この「居宅しばり」撤廃を、平成29年度から国家戦略特区で適用することを、会見では強く訴えました。

医ケア児協会資料1

フローレンスは、制度と制度の狭間で苦しむ医療的ケア児の親子のためにこうした提言を行いながら、事業においては障害児保育園ヘレン障害児訪問保育アニーのサービスをより多くの親子に届けるため、地道な活動を続けています。

どうぞ、これからも障害のある子どもとそのご家族への支援をよろしくお願いいたします。

障害のある子どもとそのご家族を応援する!




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