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アクション最前線

2016/12/12

NPO5団体合同で若手スタッフの研修を実施しました! ~団体の枠を超えた人材育成の新たな試み~

   


研修座談会

左から、井上真梨子(フローレンス 研修企画・運営)、上羅翔太(フローレンス本部スタッフ2年目、NPO合同研修事務運営担当)、村上慧(カタリバスタッフ)、松山亜紀(フローレンス理事、研修フィードバック担当)

これまでの常識にとらわれず、よりよい社会実現のために走り続けているフローレンス。社会課題を解決するのと同時に、理想をもって一緒に進んでいくメンバーの育成も重要ですが、NPOは一般的に小さな団体が多く、大企業のような新人育成は難しいのが現状です。それならほかの団体にも声をかけて、合同で研修をやってみたらどうだろう?と、人材育成の新たな取り組みとして、今年度、複数のNPOで共同し「若手スタッフ交流研修」を行いました。

5団体が参加した合同研修

参加団体は、キッズドア、Learning for All、TEDIC、カタリバ、そして、フローレンスの5つのNPO法人。様々な分野で社会課題を解決するために活動している団体から、総勢12名の若手スタッフが参加しました。

そして、各回の発表に気づきや改善策を伝える役割として、Learning for All事務局長の上野聡太氏、フローレンス理事の松山亜紀及びディレクター宮崎真理子の3名をフィードバッカーに迎え、研修は5月から7月にかけて東京にて全3回行われました。

第一回は、各団体の紹介を兼ねて参加者がそれぞれの団体の事業内容紹介を行った後、フローレンス理事でブランドマーケターでもある岡本佳美によるプレゼンテーション研修、そして、課題「親子を取り巻く社会課題」とグループ分けの発表まで。

各グループでミーティングを重ねた後、6月に行われた第二回では、グループ別に中間発表が行われ、課題設定や解決手法についてフィードバッカーから厳しくもあたたかい意見が飛び交いました。その後、7月の最終回では最終発表が行われ、優秀グループへの表彰やグループごとの振り返りが実施されました。

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今回は、研修の振り返りとして、それぞれ異なる立場で参加した4名に、合同研修開催の経緯、目的や成果について語ってもらいました。

合同研修の意図、そして得られたものとは

ーーまず、自己紹介をお願いします。

井上:フローレンスの井上です。今回の研修では、企画の発起人かつ、コーディネーターとしてプログラム運営を統括しました。

上羅:上羅です。フローレンスのアニー(※)事務局で採用担当をしています。今回の研修には研修生として参加しました。(※アニー:障害児訪問保育アニー)

村上:村上です。NPO法人カタリバの経営管理本部で人事と労務を担当しており、今回は研修生として参加しました。

松山:フローレンス理事の松山です。現在、日本IBMの社会貢献部門でNPO支援プログラムに関わっております。また、以前は人事部で新卒の研修や社員の人材育成に関わった経験があり、今回はフィードバッカーとして参加しました。

ーー開催の経緯や、この研修をやろうとしたきっかけについて聞かせてください。

井上:フローレンスで初めて新卒の事務局スタッフを採用したのが、2015年でした。当時、私が採用を担当していて新卒の育成とOJTのプログラム構築に携わりました。OJT担当をつけ1ヶ月ごとに進捗確認をするなど、フローレンス史上最大の手厚さで新卒育成を行ったつもりです。

ただ、社内でできることを最大限やっても、肝心の新卒スタッフ自身のほうにパンチが足りないというか、頼りない印象がありました。他のNPOには、もっと人数が少ないなど環境が整わない中でも大きな仕事を抱えて夢中でやっている人がいるのに、フローレンス社内だけにいると、なまじ組織が大きいために、目先の部署業務で手一杯になり社会課題への関心が薄くなるというか、目線が低くなるのではないか?と思ったんです。
社内だけではなく社外のことも見てほしい、その思いがこの研修の発端になりました。

そんなことを考えている時に、Learning for All事務局長の上野さんに出会う機会があり、お話したところ、是非一緒にやろうとおっしゃって下さって。更に、実施するにあたって、弊会理事の松山にも相談したところ、他団体への声がけなどで協力を得ることができました。

松山:社会貢献の仕事をしている同業のいくつかの団体はもともと知っていたし、新たに知り合った団体の人もいて、それぞれの団体が新卒を採用したタイミングが合ったんですよね。石巻のTEDICも、距離はあるけれどそういう機会があるならぜひということで参加してくれて。いろいろな人や団体がつながって、今回の研修が実現しました。

ーー実際に研修に参加された方にとって、この研修からどんな学びや成果がありましたか?

村上:グループワークやプレゼン研修での学びが大きかったですね。チームのメンバーとは距離が遠かったり、仕事が忙しかったり、なかなか会えない中で時間を取ってミーティングをするのでお互いに気を遣いあってしまい、役割分担さえはっきりと決められなくて。結局最終発表ぎりぎりまでまとまらず、苦労しました。自分たちのテーマが本当にやりたいものなのか、価値あるものなのかを詰め切れず、プレゼンの場で伝える・見せる・届けるというところで出し切れなかったのが、私にとっては良い失敗体験になりました。

研修風景

ーー今回の研修の学びから、ご自身の仕事に持ち帰って活かせることはありましたか?

村上:学びとして大きかったのは、答えが100%正しいかどうかはともかく、そこにいる全員が納得できる答えをを出せるかどうか。どうやってその答えを作るかを考える機会になったことです。

私のやっている人事や労務では、何か制度を決めていくとき、メンバー1人1人の顔を見ながら進めていくことが大事です。

メンバーには子どもがいる人もいるし、20代独身の人、時間も何も関係なく働きたい人もいる。そのメンバー全員にとっていい環境、いい制度を作っていくことは難しいですが、1人1人の顔を見て言葉を聞いていくことが、今までは「なんとなく大事だな」と思っていたのが「やっぱり大事だな」って意識できるようになった実感があります。

それから、ほかの団体から参加したグループメンバーの一人からは特に刺激を受けました。職場での多岐にわたる本人の役割に加えてこの研修があって、おそらく一番ハードな働き方をしているのに一番フットワークが軽い。これだけ熱量をもってNPOというのをやってるんだという、それだけの思いをこめて働くっていうのが伝わってきました。

ーー上羅さんはいかがでしたか。

上羅:今回の研修は、他のNPO団体を知るいい機会だと思いました。また、フローレンス事務局にはあまり同世代がいないので、同世代と一緒に何かやること自体が新鮮でした。そして、グループワークなどを通してほかの団体の人が日々どんな仕事をしているかを知り、また、その熱さや思い入れを聞くと自分ももっと広い視野で考えなければと感じ、社内の日常業務だけでは目線が低くなっていたことに気がつきました。

私のグループでは、ミーティングは10回行いました。毎回ファシリテーターをやる人がいたり、発表でもキャラクターを出していけたり、役割分担がうまくいったと思います。

それから、今回の研修を通じて、自分の中での意識が変わったところがありました。本来はあまり表に出るタイプではないのですが、途中で「誰かがリーダーシップを取ってグッと進めないと間に合わない」と思って、多く提案するようになりました。「このグループをプレゼンで勝たせよう」、という目的を定めたときからうまくいき始めたんですね。

本来、自分はリーダーではなく調整するタイプですが、自分が全面に出ないと進まないこともあるし、グループのためにそういう場面が必要になるということを経験として得られたのは、ある意味「自己変革」で大きな意識の変化になりました

座談会

ーー井上さんは、研修企画者としてこの研修の成果はいかがでしたか?

井上:NPO新人合同研修は今回が初の試みで、形になるかどうか、参加者が集まるかどうかもわからないところからのスタートでした。結果的には、きちんとフィードバックできる方がついてくださって、初年度としては運営がなんとか上手くいってよかったです。

また、研修が終わったあとに「今度またメンバーで集まって話し合いをするんです」とか「プレゼンは不完全燃焼でしたが、今後も切磋琢磨していく仲間と出会えました」というメールをくれた人もいたりして、受講生同士がこの研修を通して関係を築き、一生続くかもしれない仲間を得てもらえた点はすごく嬉しいです。今回の研修期間中には得られなかった視野の広がりが、その仲間から違った形で得られるかもしれないし、続くと良いな、と思います。

ただし研修全体についてはもっと工夫できたと思いました。研修では、最終プレゼンテーションの前に中間発表の場を設けましたしたが、中間発表のときに受けたフィードバックのレベルが高くて、一時参加者のモチベーションが下がったんですね。たとえばそんな時に相談できるメンター役というかアドバイザーをつけることはできたと思います。

若手スタッフは、なかなか誰かに相談できなかったりしますが、早く来てくれた方がいいし、若手であれば「わからない。知らないんです」って聞きやすいはず。一度は、事務局で進捗確認をする場を設けるとか、メンター役を配置するとかできると良かったかな、というのは思います。

松山:確かに、作業途中で行き詰ったときに相談できる相手がいると良かったかもしれませんね。もしこの研修が今後も継続するなら、次回に今回の受講生が先輩としてそういうメンター的な役割をしてくれることを期待しています。プレゼンだけじゃなく、「会議の目的は?」というようなワークマネジメントのアドバイスがあればすごく助かるだろうし、受講生がタスクの多さとか目先の負担でもう無理っていう気持ちになったとき、自身の経験に基づいて「そこが踏ん張りどき」って言ってあげられますよね。そういう意味では、ワークマネージメントの研修があっても良かったかもしれません。

また、今回の研修が出来上がるまでにいろんな方の見えないサポートを受けていることの意味など、自分がサポートする側になって初めて理解できることもあるはずです。ある意味、後輩のメンター役を果たしたときに、この研修が完結するのではないでしょうか。

座談会

ーーフィードバックご担当の視点から、松山さんは今回の研修に課題はありましたか?

松山;参加者からは、問題解決手法のレクチャーがあっても良かった、という振り返りはあったようですが、実際に、参加者の発表には社会化の落とし込みや絞り込みという点では深堀りしきれなかった印象もあります。各回の間隔も今回は1か月でしたが、もう少し長くても良かったかもしれませんね。

また、参加者から事務局スタッフやフィードバッカーに対して、もっと質問や相談があると良かったと思います。これは日本の教育の影響だと思うのですが「形になってから聞く」という遠慮のようなものがあると、アドバイスのタイミングが遅れるし、せっかくの助言も活かしきれません。複数団体が集合したこういう機会に、相談や質問のようなコミュニケーションを取ることが、人脈形成にもつながりますし。

更に言えば、今回、3つのうちの1グループは自治体聞き取り調査をしていましたが、他団体や自治体へのヒアリングなどの、フィールドワークを取り入れても良かったかな、と思います。例えば、グループの中に「ひとり親家庭」のような社会課題の当事者がいると、説得力がある一方で当事者目線が強くなりすぎる面もあるので、そのような場合に第三者の意見を聞いて客観化することも重要です。

目線を上げるには、いろいろな人からの客観的な意見を聞いたり、立場の違う人のことを知ることが勉強になるので、インタビューを研修の枠組みに組み込み、インタビュー協力者に研修終了後にお礼を兼ねてフィードバックするところまでできれば、更に広がりができて理想的ですね。また、NPO合同での人材育成の初の試みが今後、NPO全体の活性化につながることを期待しています。

研修集合写真


今回はNPO合同での人材育成の初の試みをご紹介しました。一つ一つのNPOは立ち向かう社会課題も規模も異なりますが、切磋琢磨しつつ人材育成含め様々な場面で協力していきたいと思います。

最後に、本研修開催にあたり、ご協力いただいただいた関係者の方々、およびフローレンススタッフを紹介いたします。

■参加団体
・認定特定非営利活動法人カタリバ http://www.katariba.net/
・特定非営利活動法人キッズドア  http://www.kidsdoor.net/
・特定非営利活動法人TEDIC  http://www.tedic.jp/
・特定非営利活動法人Learning for All http://learningforall.or.jp/
・認定特定非営利活動法人フローレンス http://florence.or.jp/

■講師
・岡本佳美(フローレンス理事)

■フィードバッカ―
・上野聡太氏(Learning for All事務局長)
・松山亜紀(フローレンス理事)
・宮崎真理子(フローレンスディレクター)

■コーディネーター(研修企画・運営)
井上真梨子(フローレンス非常勤スタッフ/研修講師・キャリアカウンセラー)


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【病児保育事業部】往診ドライバー
        http://florence.or.jp/staff/2016/12/13307/
【障害児保育園ヘレン】送迎居宅保育スタッフ募集 
        http://florence.or.jp/staff/2016/11/10530/
【みんなのみらいをつくる保育園】調理スタッフ(オープニングスタッフ)
        http://florence.or.jp/staff/2016/11/12690/

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書いた人:菅生 由佳