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働き方改革

2016/12/09

サイボウズ・メルカリ・フローレンスが目指すアジャイル的「働き方改革」とは? 〜自ら働き方を選べる時代の人事施策〜

   


サイボウズ・フローレンス・メルカリが目指すアジャイル的「働き方改革」とは?

■「裁量」という「自由」を提供するメルカリ
  • 斉藤 幸子(さいとう さちこ)

    斉藤

    メルカリさんは創業3年目ですよね。IT系で創業3年で世界展開……となると、かなり残業時間は長いんじゃないか、というイメージを持たれることもあると思うのですが、実際はいかがですか?

  • ishiguro01sa

    石黒

    平均的な時間外労働も20時間以下と少ないのですが、そもそも時間外労働はいい意味で気にしていません。もともと、アウトプットのみを評価するカルチャーが強く、働き方の分類はせずに個々人の裁量でカバーしています。

    勤務時間はフレックスです。エンジニアのコアタイムは12−17時、ビジネス系は10−16時と時間の制約が少なく融通が効くので、不必要に長く働く人はほとんどいないんですよね。

  • 斉藤 幸子(さいとう さちこ)

    斉藤

    メルカリさんの成長スピードでそれは衝撃ですね! 在宅勤務やノマドなどはどうされていますか?

  • ishiguro01sa

    石黒

    実は、現在在宅勤務については原則認めていないんです。創業期というのもあり、膝を付き合わせたコミュニケーション」を大切にしているというのもあります。

    とはいえ、例えば午前中授業参観で、「小学校に立ち寄ってから出社したい」といったケースなども柔軟に対応できています。Slack上でチームメンバーに連絡しておしまい。

    在宅勤務は原則なしといっても、アメリカなど時差のある地域とテレビ会議するときは朝にちょっと在宅で……と、実際はケースバイケースで柔軟に対応することもあります。

    性善説に基づいて、裁量の範囲が幅広いんですよね。信頼関係ありきではありますが、かなり柔軟にオペレーションで対処できている。今の人数規模ならこれぐらいがちょうどいいかなと。

メルカリ 石黒 卓弥

  • 青野 誠(あおの まこと)

    青野

    なるほど。ほかにも残業時間抑制に効いている施策はありますか?

  • ishiguro01sa

    石黒

    やはり「選択と集中」でしょうね。たとえばSlackなどの代替手段で補完することでミーティングを廃止したり、同じような内容のミーティングが乱立していたら一つにまとめたりと、定例ミーティングの断捨離を進めています。

    もう一つは、パワーポイント(に代表される社内向けの説明資料)を作らない。社内資料に時間をかけることが無駄だという考え方です。僕は登壇資料を作る以外で2年近くパワポ使ってません。上司への相談などもSlack上でクイックに意思決定されますので全く問題ありません。

    それから意外と効いているのは、オンオフの切り替えを促す施策ですね。

    例えば部活制度。社員が300人ぐらいになると顔と名前が一致しにくくなるので、横や斜めのつながりを促進するためにも推進してます。これもシンプルでして、5人集まれば部費を月1万円支給します。

    フットサル部、キャンプ部、それから面白いところでは米部。日中にお米を炊きます(笑) 他には日本酒部、焼酎部、ワイン部、ビール部……って、酒の種類だけ存在します。あとは映画部、バスケ部、仙台アイスクリーム部、都市伝説部、自動車部などなど。ちなみにコーヒー部が最大勢力です。コーヒーを飲むだけですけど(笑)

    こういった集まりは日中の業務の合間や平日の夜に開かれることが多いので、結果的にオンオフのいい切り替えにもつながっています。

  • 斉藤 幸子(さいとう さちこ)

    斉藤

    酒部いいですね(笑)フローレンスにも部活がたくさんあります!「音楽部」とか「野球部」とか、みんなで保育士試験合格を目指す「サクラ咲く部」なんてのもあります。

    部署異動も原則3年おきで、事業部横断プロジェクトが複数立ち上がったり、プロボノや外部コンサルなどにも積極的に参画してもらうなど、業務上でも横やナナメのつながりを促進する施策を取り入れています。

    これからこういった風通しの良さは、働き方の多様化に応じてますます重要になりそうですね。

■男性も育休を取ることが当たり前の時代
  • 青野 誠(あおの まこと)

    青野

    ちなみに石黒さんはメルカリに転職される前はどういったキャリアを歩んでいたんですか?

  • ishiguro01sa

    石黒

    僕は新卒でNTTドコモに入り、営業を3年やったあと人事を担当していました。

    当時の業務内容は新卒・若手研修、管理職の研修制度設計、有期社員の雇用、フィリピンやバングラディシュなど海外拠点の子会社を作ったりと多岐に渡ります。ある新規事業立ち上げに参画したときは、当初10名のプロジェクトメンバーが400人名に増えるまで見届けましたが、帰宅が遅い時間になることもしばしば。ちょうど次男が産まれる前後でしたが、なかなか忙しい日々を送っていました。

  • 斉藤 幸子(さいとう さちこ)

    斉藤

    うちの夫レベルですね(苦笑) 大変でしたね……

  • ishiguro01sa

    石黒

    実は、当時フローレンスをつくられた駒崎さんの著書「働き方革命」に出会って衝撃を受けるんですよ。駒崎さんも2回育休を取られている。

    社内外の方々に相談し、第二子出産後の妻の復職タイミングで一度検討した育休ですが、そこでは実現に至らず、第三子出産時に意を決して育休を取りました。人事という仕事に関わっていく上でいつかこの経験が活きることは確信していました。

  • 青野 誠(あおの まこと)

    青野

    サイボウズでは社長の青野が「人事部長になりたかったら育児休暇を取れ」とよく言ってますね。社長自身も取得していますし、私も息子がちょうど12月に生まれたため、年末年始+αで実質1ヶ月程育休的な休みを取っています。

■充実した環境を用意するのは、何のため?
  • 斉藤 幸子(さいとう さちこ)

    斉藤

    メルカリさんは「merci box」という画期的な人事制度を発表されて話題になりましたよね。中でも「妊活支援」や「病児保育支援」、「産休・育休期間中の給与を会社が100%保障」という内容には驚きました。

  • ishiguro01sa

    石黒

    メルカリの制度の考え方は、バリューの一つであるGoBold(大胆にやろう)にも紐付いていますが「Go Boldにおもいっきり働ける環境をより充実させていく」ための制度を整えていこう、というメッセージングなんですよね。

    当社はCFOもCTOも育休を取っています。経営陣が行動すると他の人も取りやすい。何よりも、社員が辞めてしまってから採用するコストを考えたら、今働いている社員を大切にしたほうが社員にとっても、家族にとっても、会社にとってもメリットがあると。

  • 青野 誠(あおの まこと)

    青野

    まさに「三方よし」ですね。逆に言うと、仮に残業等で一時的に売り上げ目標を達成できたとしても、社員が不幸で離職率が高い状態が果たして企業として健康なのかという

    サイボウズはかつて離職率が28%だった時代があったので、その頃の反省を活かして社員が辞めない「100人100通り」の働き方ができる会社にすべき、と多様性マネジメントに舵を切っているんですよね。極端な例えですが、売上を一時的に多少落としても、みんな幸せに働ける方が長期的にはメリットが多く、企業としても持続可能なのではないかと思うのです。

  • ishiguro01sa

    石黒

    一方でこういった条件面を押し出しすぎてしまうと、条件につられた「だけ」の応募者が増えてしまうという側面もあります。条件だけで採用するのは、社員にとっても会社にとっても不幸ですよね。

  • 斉藤 幸子(さいとう さちこ)

    斉藤

    わかります。フローレンスの場合、働き方の自由度に共感して面接を受ける方が少なからずいるのですが、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」というビジョンに共感する人でなければ、どんなに優秀な方でも採用しないようにしています。

    便利な制度も仕組みも最終的には「ビジョン・ミッションの達成のため」という真の目的のもとに存在するということを忘れてはいけないなと。

  • 青野 誠(あおの まこと)

    青野

    確かに。例えばサイボウズでは外出時の隙間時間にノマドワークをする際のカフェ代を支給する制度が始まりました。これは決してカフェ代を払う社員が可哀想だから支給するのではなく、最終的には「世界で一番使われるグループウェアメーカーになる」というビジョンを実現するために支給するんですよね。制度の起点や目的を履き違えないようにしないといけない。これが理解されていないと、なぜか「なんとかフラペチーノ」みたいなオーダーをする社員が続出する(苦笑)

    「自由と責任は表裏一体」と言われる通り、裁量を広げるためには「社員の自立」と「真の目的の理解」が必要不可欠だと思っています。

次ページ:「長時間労働をなくす」ことよりも大切なことは……



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