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2017/04/18

【社会起業のレシピ】vol.37「ビジネスモデルをオープンソースにし、イノベーションを拡散する」

 


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アフェリエイトとフランチャイズの違いとは?

前回(「スケールアウト」~NPOならではの社会変革の広げ方)に引き続き、今回は「スケールアウト」による拡大戦略のうち、<2>「アフィリエイト型」と<3>「ディスセミネーション型」について見ていきたい。

これらの拡大戦略は、自分たちの組織のカラーを重視するよりも、そのノウハウそのものを広げることに重きを置く組織に向いている方法といえる。

まずは<2>「アフィリエイト型」について。

これは、別の組織に自分たちの「ノウハウ」をそっくりそのまま伝授し、「看板」を使う許可を与える、というもの。そう聞くと、ビジネスにおける「フランチャイズと何が違うのか?」と思う人もいるだろう。

看板とノウハウを渡して広げていく~SVPのケース~

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SVP東京のホームページ

アフィリエイト型の例に、アメリカ発祥の「SVP」(ソーシャル・ベンチャー・パートナーズ)がある。これは、社会人が集まって出資金でファンドをつくり、将来性のある有望なNPOやソーシャルベンチャーに社会的投資をする、というもの。

社会的投資なので、出資したお金が返ってくることを目的としていない。リターンは「社会問題の解決」だ。寄付性の非常に高い出資だ。また同時に、参加メンバーによっては専門知識を生かして「プロボノ」としてかかわり、ソーシャルベンチャーの成長に寄与する。現在、アメリカ、カナダ、日本、インドなど、世界中で35の団体が加盟し、2000人以上のパートナーがいる。

こうした拡大において、SVPの本部スタッフが現地で直接指揮をとるわけではない。「自分たちの地域でもSVPをやりたい」と名乗りを上げた団体に対して、一定の審査を経た上で、看板を使うことを許可し、ノウハウを教えるという方法を採っている。それについてのフィーはあまり取られない。ちなみに、日本でも「SVP東京」が活動している。(ちなみに僕の運営するフローレンスは、「SVP東京」が一番初めに社会的投資した団体だ。あの時はお世話になりました)

「種まき型」で全米に公園をつくる ~「KaBOOM!」のケース~

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KaBOOM!(カブーム)のホームページ

次の<3>「ディスセミネーション(種まき)型」は、アフィリエイト型よりさらに自由度が増す。これは、ウェブの世界にたとえるなら、フリーソフトのようなもの。「好きに使ってください」という具合にノウハウをウェブ上などで公開し、どんどん拡大していくのだ。

この例として紹介したいのが、前回も触れたが、これまたアメリカ発祥の「KaBOOM!」(読み方は「カブーム」。ドッカーン、という意味)。

全米で公園をつくる活動をしている。日本で公園をつくるとなると、さまざまな法律が絡んできて簡単にはいかなそうだが、アメリカは違う。なにせ、空き地がたくさんあるし、法律も緩い。空き地に遊具を置き、遊具の足をコンクリートで固めれば、公園のできあがり……と、きわめてシンプルに公園がつくれてしまうのだ。

そんな「公園づくり」を推し進めるのが「KaBOOM!」。創業者は元々は孤児で、アメリカの公園がドラッグ売買や犯罪の温床になっていることに、深く胸を痛めたことから始めたのだった。

「KaBOOM!」は公園づくりの担い手を育成するための無料講座をオンラインで公開。そこで学んだ人が地元を巻き込んで公園をつくる。また、公園リーダーの育成も行っているが、基本的にはやりたいと手を挙げた人たちに任せる方式。

まさしく種まきの感覚で、自分たちのノウハウをばらまいているといえるだろう。その結果、本部の人力を超えて、自分たちがめざすものをどんどん実現していけるのだ。

ちなみに僕は実は「KaBOOM!」の公園づくりに10年近く前に参加したことがある。ニューヨーク州の小学校の横の空き地に公園をつくる、という現場だったが、朝何もない空き地に、夕方、公園ができ上がっていた。住民たちが楽しそうに力を合わせて遊具を運び、コンクリートをこね、遊具を固定して行くのに交ざって汗をかき、妙な愛情をこの公園に感じていた。関わることによって「俺たちの公園」になっていくのだった。

その現場には「KaBOOM!」からのスタッフは若干1名。後の40~50人は全員地域のボランティアだったのには驚いた。学校の子どもたちは作業の合間に「ありがとう」の歌を歌いに来て、祭りのようなテンションが現場には満ちていた。

【今回のまとめ】

さて以上が、スケールアウトによる3つの拡大の方法である。拡大した先での統制力でいったら、<1>ブランチ型が一番強く、<3>種まき型が一番弱くなる。一方、拡大のスピードでいったら逆で、<3>が一番速く、ブランチが遅い。

自分たちのソーシャル・ビジネスモデルと戦略に鑑みながら、どのタイプのスケールアウトが適しているのかを検討するといいだろう。

>【vol.38「どんどんサービス増やそうぜ!はOKか?」】に続く(4/25更新予定)

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書いた人:駒崎 弘樹