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2017/06/13

【社会起業のレシピ】vol.44「社会起業のレシピ:最後のご挨拶に代えて」

 


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「社会起業のレシピ」、今回で最終回となります。

NPO/ソーシャルビジネスの認知の高まりと共に、実際に社会起業をしたい、という若者達も増え始めてきており、その羅針盤となるよう実務知識をシェアしようという狙いのもと、執筆を始めました。

その間も事業を続けてきて、僕自身も僕の経営感覚や知識を実務によって磨き続けてきたのですが、やはり経営という道は奥深く、偉そうに人様に知識を披瀝しながらも自分自身がつまずいたり転んだりしながら、ヨロヨロと前を進んで来た、というのが実情です。

時代はソーシャルビジネスを求めている

しかし、時代は、執筆を始めた時よりも、ますますソーシャルビジネスを必要とするようになった、というのは確かに感じるのです。ソーシャルビジネスが生み出す、イノベーションを。

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ソーシャルビジネス経営者同士、横のつながりを。社会起業家合宿にて。後列左から、藤沢烈さん(RCF復興支援チーム代表理事)、駒崎、宮城治男さん(NPO法人ETIC.代表理事)、岡本拓也さん(SVP東京代表理事)、工藤啓さん(NPO法人育て上げネット理事長)、左下は佐藤大吾さん(JapanGiving代表理事) (2015年5月、東京・本郷の「鳳明館」で)

例えば、我々が待機児童問題解決のために始めた「おうち保育園」というミニ保育園は、その後「小規模認可保育所」という名前で国策化され、2015年度からは全国の自治体で採用されました。

また例えば、友人の川添高志くんが経営する「ケアプロ」は、利用者自らが採血することで低コストで簡易な健康診断が可能になるモデルを展開していますが、政府が公式にケアプロ方式を合法と認めたことによって、大手ドラッグストアが雪崩を打って参入し、一気にマーケットが形成されつつあります。

このように、我々ソーシャルビジネスが砕氷船となって、分厚い氷で覆われていた海に小さな航路を切り開き、そこに大手企業や国などのタンカーが通っていくというイノベーションのパターンが散見されるようになりました。

新たな社会課題に即座に反応していく存在

これは、成熟経済+人口減少という環境変化に苦しむ我が国にとっては「アリ」です。ジュラ紀を生き延びたのは大きく力強かった恐竜ではなく、小さく小回りがきき、環境に即座に適応した我々の祖先のネズミ達でした。

社会環境が変わり、新たな社会課題が出てきたところで、即座に反応し、新たなモデルケースを提起し、そしてそれが制度や市場を生み出すことにつながる。結果として日本社会全体としては「適応」していく、というループ。

このループを如何に早く、如何に広範に回していけるか、が問われています。

そして、そのループの鍵を握るのが、NPO/ソーシャルビジネスです。

拙稿が、これからその一端を担おうというソーシャルスタートアップの皆さんの役に少しでも立てたなら、本望です。

なお、拙稿はとりまとめ、また大幅に追加執筆をし、本として出版していきたいと思っています。まだ新たな領域であるからこそ、ノウハウは圧倒的に足りていません。この本がその部分に貢献していけたら、嬉しいです。

では、読者の方々とは、またいつかの機会にお会いできることを願っています。

ひょっとしたら、そこは社会課題のまさに現場であるかもしれません。楽しみにしています。

(おわり)

「社会を変えたい」と願うすべての人、必読の「社会起業のレシピ」がフローレンスのサイトで読めます!

YOMIURI ONLINEにて2012年11月から2015年6月にかけて連載された、「社会起業のレシピ」を、フローレンスのコーポレートサイト(本サイト)にて毎週1本ずつ公開していきます。(※「草の根ロビイング」を除く)

貧困や格差、高齢化など、私たちを取り囲む社会課題は尽きません。そうした課題を解決するための手段の1つとして注目されているのが「ソーシャルビジネス」です。

社会課題を解決するための「仕組みづくり」はどうしたらいいのか。お金はどうやって回していくのか。人を集めるには、行政とうまく付き合う方法は……など、2004年の起業当初から現在に至るまで10年以上にわたる著者 駒崎の軌跡を、超実践的なノウハウ含めて具体的に明かしていきます。

これを読んで、心が動いたあなた。そう、あなたにもできます。私たちと一緒に、「社会を変える」を仕事にしてみませんか?
※絶賛発売中の社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門はこの「社会起業のレシピ」に大幅加筆・修正を加えたものです。

書いた人:駒崎 弘樹