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アクション最前線

2017/09/07

「障害児を産んだら仕事はあきらめる?」働く母が5%しかいない現実から、保育の光をつかむまで #医療的ケア児

  


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姉と同じ保育園でユリコに交流保育をさせてあげたいというのが私たちの夢だったのですが、その夢をアニーが叶えてくれました。

実は、姉と同じ保育園での交流保育を希望した当初、区から紹介されたのは別の保育園だったのです。そこで、フローレンスの駒崎さんと、アニーの訪問看護チームの後藤さんが「アニーの担任保育士がついていくので、お姉ちゃんのいる保育園で交流保育させて下さい!」と区に熱く訴えて下さって、ようやく姉と同じ保育園での交流保育が実現したのです。

姉とユリコは今後、生涯に渡り二度と同じ施設・学校に通えることはないと思います。

姉が年長さんだった一年間だけ、アニーのおかげで姉妹が同じ施設に通えました。2人にとって、かけがえのない思い出です。

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交流保育は週に1度ですが、地域の子どもとの交流ができるのもとても良いことです。

家からすぐの保育園ですから、近所でのつながりができました。近所の子がユリコを知ってくれていて、会うと「きりん組のユリコちゃん!」と、声をかけてくれる。ユリコもとても嬉しそうです。子どもは子どもの中で育つというのは本当ですね。

夏はプールも一緒に入るのですが、ユリコのお腹についている胃ろうがめずらしくて子どもたちが寄ってきます。

「これ、なあに?」と聞かれたら、私だったら答えに窮すると思いますが、アニーの保育スタッフは子どものことをよく知っている。だからとてもうまく説明してくれるんですね。

「なんでユリコちゃんはしゃべれないの?」「食べられないの?」「歩けないの?」
という質問にも、「ユリコちゃんは練習中なんだよ、みんなで教えてあげてね」と返していて、さすがだなと感心しました。

ユリコは今、わずかですが口から食べ物を食べられるようになりました。

毎日私たち家族とアニーの保育スタッフさんが少しずつ経口食を進めています。口から食べたいという意欲が芽生えてきたので、挑戦したいという気持ちを大切にしてあげたいと思います。子どもの育つ力に驚きと可能性を感じずにいられません。

 
アニーを卒園した後のこと。戦いは続く

家族全員の人生が一転し、社会から取り残されたように感じた日々を抜け出し、私もユリコも社会に戻れました。
アニーのおかげです。

現在の大きな心配ごとは、アニーを卒園してからのこと。特別支援学校に入学後の生活についてです。

現在、東京都では医療的ケアのある子どもは、通園バスに乗ることが出来ません。もちろん、バスでの登下校中に胃ろう注入の必要などは一切ありません。それなのに「医療的ケアがある」という理由だけで、通学バスに乗ることはできないのです。

通学バスを利用できないので、障害児用の大きなバギーで満員電車に乗り込まなければなりません。東京の通勤ラッシュを知る方なら、その大変さは想像していただけるかと思います。

また、ユリコが学校にいる間は終日、親も学校に行って付き添わなければならない期間が数か月あると聞いています。

さらには、放課後の行き場もありません。

障害のある子どもたちは放課後は「放課後デイサービス」に通いますが、医療的ケア児を受け入れている放課後デイサービスは23区内にはわずかしか存在せず、私の居住区には1ケ所もありません。

他区には医療ケア児の受け入れ可能な放課後デイがありますが、週5回利用するのは難しいところがほとんどのようです。親が働いている子どもたちが一般的に通う学童保育のような使い方が出来る、医療ケア児の放課後の居場所が23区内にほぼないんです。

圧倒的に居場所が不足しています。平日の居場所すらないのに夏休み等の長期休暇は一体どうしたらいいか考えただけで途方に暮れます。

せっかくアニーに救われて社会復帰した私たちだったのですが、その先が見えない状態です。

すべての子どもたちが、保育を受ける権利を得られること。
すべての子どもたちが、義務教育を受ける権利を得られること。
すべての母親が、働くことを選択できる自由を得られること。

そんな、あたりまえのことを、ユリコが生まれてから強く強く願うようになりました。

2017.7月


ユリコちゃんのように、医療的ケアを必要とする子ども(医療的ケア児)は近年増えてきています。疾患などを持ちながら生まれてきても、新生児医療の発達により、ケアを受けながら生活できるようになったことがその背景です。

子どもが障害や疾患とともに生まれてきたことは、全くもって、親御さんの、お母さんの責任ではありません。しかし、医療的ケア児には親が、特にお母さんが24時間付き添い、働くどころではなく、睡眠も十分にとれていない、というケースが多いのが現状です。

2016年に、障害者総合支援法が改正され、支援の対象に「医療的ケア児」が含まれることが明記されました。これはユリコちゃんのような医療的ケア児が、普通の子どもと同じように保育や教育を受けられるようになるための大きな一歩です。

しかし、制度・事業の改正や、行政からの事業補助などについては、まだ決まっていません。

例えば、ユリコちゃんのお母さんが最後にお話されているように、義務教育の年齢になり学校に通うには、保護者による送迎や授業中の保護者の付き添いが必要となります。

看護師同乗での医療的ケア児のスクールバス利用実証研究がされている滋賀県などの事例もあります。未整備の自治体でも支援事業の組み立てや、交通ルートの見直しなど検討の余地は十分にあるはずです。

また、訪問看護ステーションは、全国に9000カ所以上ある在宅医療の要です。この訪問看護ステーションから看護師の方々が、通学時や授業中も帯同し、適宜医療的ケアを行うことができれば、こうした問題の解決の一助になります。

しかし、今はできません。

なぜなら健康保険法に「訪問看護事業は(中略)その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話又は必要な診療の補助を行う」と、「居宅において」という縛りがあるためなのです。

これが「居宅『等』」という記載であれば、状況は変わります。

医療的ケア児をとりまく環境の、どこにどんな問題があるのか、声を上げ、より多くの人に知ってもらうことが、必要なところに必要な支援を届けるために大切なことです。

ぜひ、こういった問題を知って、SNSで拡散してください。

医療的ケア児にも、保育を受けること、教育を受けることが普通の社会になることを目指して。

医療の発達によって生まれた「新しい障害児」とは? #医療的ケア児
フローレンスでは、障害児保育園ヘレン、障害児訪問保育アニーを運営し、障害や疾患などが理由で、認可保育所等での集団保育ができないお子さんを保育しています。 お預かりの対象となるのは...

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書いた人:岡水 恵弥