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2016/08/02

【社会起業のレシピ】vol.3「感じろ!そして考えろ」

  


vol3

「痛みを感じろ」と前回言った。心の棘とげと向き合うことで。

そこから問題意識を獲得できる、と。では問題意識を獲得できた人間は、そこから何をすべきか。

名作SF「スター・ウォーズ」では、「考えるな、感じろ(Don’t think. Feel.)」という有名なフレーズがあるが、ソーシャルビジネススタートアップでは、「感じろ。そして考えろ」である。

例をあげて話したい。僕は子どもが熱を出してどこにも預けられないことで、失職してしまう母親たちの話を聞き、憤った。心の痛みを「感じ」た。そしてそこから考えた。「なぜだろう?」と。

「なぜ、保育所は預からないのか」

「なぜ、会社を休めないのか」

「なぜ、代わりに預かるサービスはないのか」

その「なぜ」の答えを、現場に分け入って、人の話を聞いて探しまわった。なぜ保育所は預からないのか。他の子どもたちが感染してしまうからだ。感染リスクは行政サービスである保育所は避けたい。

なぜ会社を休めないのか。看護休暇制度は存在しているが、職場の空気は休みを許容しない。なぜだろう。それは仕事がその人に張り付いていて、休むと仕事自体が止まるからだ。

なぜ代わりに預かるサービスがないのか。調べてみると、なくはなかった。行政が病児保育の施設に補助金を出し、主に小児科の中で預かる仕組みをつくっていた。でも既に行政サービスはあるのに、なぜあの人はその仕組みを使えず、会社を辞めざるを得なかったのだろう…。

病児保育を手がけるNPO法人フローレンスのオフィス

このように、「なぜ」からリサーチは進む。リサーチを進めるためには、現場の関係者に話を聞くことになる。(時に自ら、現場で体験したり、手を動かしたりもする。)

聞くと、最初は単なるイメージだったものが、輪郭を伴って肌触りと共に理解できるようになる。

目の前の困っている人の姿に、我々は心の痛みを「感じる」。しかし、同時に「何がその人を苦しめる状況を生み出しているのか」を問うことで、「構造」が見えてくる。

「構造」が見えなくては、解決策は見えてこない。「構造」の分析の無い解決策は、チープで実際にやろうとすると実現できない場合が多い。例えば「保育園が足りないなら、もっと保育園を増やせ」とか、「虐待が増えているから、親を教育しろ」というようなものが典型だ。

「構造」を理解することで、「ここを押せば問題が解決できるかもしれない」という「仮説」を得られる。その仮説を更なるリサーチを加え洗練させ、ソーシャル・ビジネスモデルの構築に繋つなげていくプロセスを、次回は紹介したい。


>>【vol.4「”どうすれば可能か”を繰り返せ」】に続く(8/9更新予定)

「社会を変えたい」と願うすべての人、必読の「社会起業のレシピ」がフローレンスのサイトで読めます!

YOMIURI ONLINEにて2012年11月から2015年6月にかけて連載された、「社会起業のレシピ」を、フローレンスのコーポレートサイト(本サイト)にて毎週1本ずつ公開していきます。(※「草の根ロビイング」を除く)

貧困や格差、高齢化など、私たちを取り囲む社会課題は尽きません。そうした課題を解決するための手段の1つとして注目されているのが「ソーシャルビジネス」です。

社会課題を解決するための「仕組みづくり」はどうしたらいいのか。お金はどうやって回していくのか。人を集めるには、行政とうまく付き合う方法は……など、2004年の起業当初から現在に至るまで10年以上にわたる著者 駒崎の軌跡を、超実践的なノウハウ含めて具体的に明かしていきます。

これを読んで、心が動いたあなた。そう、あなたにもできます。私たちと一緒に、「社会を変える」を仕事にしてみませんか?

※絶賛発売中の「社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門」はこの「社会起業のレシピ」に大幅加筆・修正を加えたものです。



書いた人:駒崎 弘樹


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