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2016/08/16

【社会起業のレシピ】vol.5「”経済的にどう成り立たせるか”を考える(1)」

  


vol5

NPOのマネタイズ。

奇妙な響きに聞こえるかも知れない。日本ではNPOは「ボランティア団体だからお金なくても大丈夫でしょ」という認識が圧倒的多数を占めている。

これに対して、僕は明確に解答がある。そんなわけがないでしょ、と。あらゆる団体は、その活動のために資金を必要とする。そして定常的に社会の問題解決に挑むためには、収入から活動経費を差し引いた額がプラスにならなくてはいけない。つまり、利益がないとダメなのだ。なぜなら、利益がなければ活動を大きくすること(そして、より多くの人を助けること)に投資できないからだ。今年100人の人を助けた。来年200人の人を助けるために、今より多くの人にチラシを配ろう、というのも利益があってこそだ。

じゃあノンプロフィット(非営利)じゃないじゃないか。と多くの人は言う。これまで100万回NPO業界の人間が言っても、この社会的誤解はいまだ解けていない。けれど100万1回目の説明をしよう。非営利とは、利益を得てはいけないのではなくて、利益追求「のために」存在するのではない、ということ。営利団体(株式会社が代表)と非営利団体の違いはシンプル。利益を株主等に分配する(できる)営利団体と、利益を株主等に分配しない(できない)非営利団体、という違い。

非営利団体も利益が大事

これだけだと分かりにくいから、分かりやすく歴史のお話をしよう。歴史上初めての近代企業と言われるのは、東インド会社等の貿易会社。遠くアジアまで胡椒を取りに行って儲けよう、と。しかし航海は暴風雨や海賊に襲われるリスクが高い。一人じゃお金を出しきれない。だから何人かでお金を出そうね。儲けもこの何人かで山分けね。というのが、株式の始まりだ。

なので、歴史的には株式会社というのは、株主(リスクを取ってお金を出した人)の利益を最大化するための道具として始まったのだった。

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一方NPOというのは、病院や大学等、企業が歴史に誕生するはるか前から存在していた。すなわち、「病気で困っている人がいるから治そう」「知りたいことを頭の良い人と研究しよう」という、直接お金を稼ぐことを目的とせず始まった仕組み。多くは村人の寄付や、自前で畑を持ったりして運営していたのだった。

そんなわけで、原則的には営利団体(株式会社)は利益を最大化し、それを株主に配分するという装置だし、非営利団体は利益を株主に分配せず、利益が出たらもっと目的追求のためにそれを使う、ということになる。(なので会計上は利益と呼ばず、剰余金〈余ったお金〉と言う)

さて、そういうことで、NPOといえども利益は出して良く、むしろ利益を出さねば健全な経営はできないのである。しかし、市場の中で受益者がお金を払う営利事業と異なり、NPOの受益者はホームレスだったり難民だったり子どもたちだったりして、直接お金を請求できない場合が多い。こうした中、それでも利益を出して健全に経営していくのはどうすれば良いのか、というのが「NPOのマネタイズ」のテーマになる。

と、ここまでで紙幅が尽きてしまったので、次回からマネタイズの具体的な部分に入っていきたいと思う。


>>【vol.6「経済的にどう成り立たせるか」を考える(2)】に続く(8/23更新予定)

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社会課題を解決するための「仕組みづくり」はどうしたらいいのか。お金はどうやって回していくのか。人を集めるには、行政とうまく付き合う方法は……など、2004年の起業当初から現在に至るまで10年以上にわたる著者 駒崎の軌跡を、超実践的なノウハウ含めて具体的に明かしていきます。

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書いた人:駒崎 弘樹


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