2018/08/25
フローレンスと特別養子縁組、これまでの歩み
24時間テレビや、マンガ『コウノドリ』などでも取り上げられ、少しずつ社会に知られてきている特別養子縁組。
この特別養子縁組は、何らかの事情で生みの親が育てることができない子どもを、育ての親に託し、子どもと育ての親が戸籍上も実の親子となることができる制度。
フローレンスの赤ちゃん縁組事業では、予期しない妊娠をした女性の相談を受け、場合によっては育ての親を希望するご夫婦にお子さんを委託する、特別養子縁組の支援を行っています。
今回は、「フローレンスと特別養子縁組」と題し、2016年4月の事業立ち上げからこれまでの歩みを振り返ってみたいと思います。
多くの方の応援を受けて立ち上がった赤ちゃん縁組事業
赤ちゃん縁組事業は、クラウドファンディングによって約1400人の方から、総額3千万円ほどのご支援を集めて始まりました。
そして、2016年4月、事業がスタート。
予期しない妊娠をした女性のためのにんしん相談と、育ての親を希望する親御さんの募集・研修を二本の柱としています。
○育ての親を希望される方向けのサイト
特別養子縁組の支援 | 認定NPO法人フローレンスの赤ちゃん縁組
特別養子縁組オンライン基礎研修 | 認定NPO法人フローレンスの赤ちゃん縁組
○予期しない妊娠などについての相談を受け付けるサイト
予期しない妊娠をした女性の相談に乗り、希望する場合特別養子縁組の支援に進むという流れですが、すべての相談で特別養子縁組という結果に至るわけではありません。
相談の中では、しっかりお話を聞いて、必要に応じて行政の制度の紹介、関係機関へのつながりを作っていくことがとても大事です。ひとりひとりの相談者に寄り添うことを大切にしながら、にんしん相談を行っています。
相談の結果、特別養子縁組を行うことになったケースも、これまでに8件(2018年7月時点)ありました。8組の新しい親子の誕生の助けになってこれたこと、スタッフ一同とても嬉しく思っています。
事例のひとつはこちらの記事で紹介されています。
特別養子縁組を、もっと多くの方に知ってもらうために
現在、2週間に1人の赤ちゃんが、虐待によって亡くなっています。そんな赤ちゃんを救うことが、赤ちゃん縁組事業の目的です。
そのためには、特別養子縁組という制度、取り組みがもっと社会に知られる必要があります。
そこで、フローレンスでは、自らが事業を運営して特別養子縁組を支援するだけでなく、広報活動にも力を入れてきました。
2017年には、SmartNews ATLAS Program 2の支援対象に選ばれ、SmartNews上での1000万円の広告枠をいただました。
このSmartNews ATLAS Program 2をひとつのきっかけとして、さまざまな角度から特別養子縁組を紹介する記事を作ってきました。
例えば、日本における特別養子縁組の成立の過程について、有識者の座談会形式で紹介した記事や、
ライターのさえりさん( @N908Sa )に、フローレンス代表駒崎へのインタビューを通して、これから家族を持つことを考える若い世代の方々向けに、特別養子縁組をわかりやすく解説する記事を書いていただきました。
また、縁組の当事者である、育ての親となったご夫婦、縁組された当事者である方のインタビューを通して、家族のかたちとに特別養子縁組の意義を伝えるということもしてきました。
冒頭にも書いたとおり、さまざまなメディアで取り上げられるなど、特別養子縁組についての認知度は少しずつ高まってきていますが、まだまだ諸外国に比べると実現例は多くありません。
今後もフローレンスは、特別養子縁組に関する広報にも力を入れていきます。
特別養子縁組支援のための制度づくりも
こういった特別養子縁組の支援を行っている民間団体は、フローレンス以外にも数多くありますが、子どもの福祉のために重要な取り組みであるにもかかわらず、国からの補助はこれまでまったくありませんでした。
その問題を解決するため、特別養子縁組の支援を行っている団体が集まり、2016年に日本こども縁組協会が成立。フローレンスも参加し、国に対して政策提言を行ってきました。
その結果、2016年12月に「特別養子縁組あっせん法」が制定、行政からの補助などが実現することになりました。
自らが事業によって問題を解決するだけでなく、同じ想いを持つ方々や、国・行政とともに制度を作り、社会問題の解を全国に広めていくことは、とても重要なことです。
さいごに
国連総会で採択された「子どもの権利条約」や、「児童の代替的養護(=社会的養護)に関する指針」では、”子どもたちには原則、家庭環境が与えられること”を謳っています。
子どもたちが、家庭的な環境の中で愛情をいっぱい受けて育つことは、子どもの権利です。予期せぬ妊娠が理由で遺棄されてしまう赤ちゃんが、日本からゼロになるように。
共感いただいた方は、フローレンスのこのスタートアップ事業を応援してください。
フローレンスでは特別養子縁組に興味があるご夫婦を対象としたオンラインの研修を行なっています。特別養子縁組を検討する最初のステップとしてご活用ください。
書いた人:橋本 吉央
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