2019/01/29
現場潜入レポ:「ヘレン保育が生み出す、子ども達の未来」
こんにちは!フローレンスでインターンをしている高橋琴美です。
私は埼玉県の大学に通う大学院生で、子ども達をより良く育む未来について、日々研究しています。
子ども達が進む未来がより明るいものになっていくためには、子ども達を取り巻く環境(家族、保育士、お友達……)が安心・安全で、豊かなものでなくてはならないですね。
私は、子ども達にとって安心・安全で、豊かな環境を作っていくためには、どうしたら良いかなということを日々考えています!
そんな私ですが、研究の世界に入って3、4年ほど経ったある時、フローレンス代表・駒崎の本を読んで、フローレンスのことを知りました。
ふむふむ……。
病児保育に小規模保育、障害児保育、こども宅食に赤ちゃん縁組。
日本の子ども達の未来を支えるため、こんなに色んなことをやっているんだなぁ。
それは、、、すてきだなぁ!!!
ということで、私は現在フローレンスの色々な保育現場に潜入して、フローレンスのスゴいい保育をのぞき見しています。
今回は障害児保育園ヘレン経堂です。
障害児保育園ヘレンは、2014年9月に杉並区・荻窪に誕生し、たんの吸引や胃ろうなど医療的ケアがあったり、中重度の障害のあるお子さんを長時間お預かりする、日本で初めての保育園です。
園では、保育士と看護師、理学療法士が力を合わせて、日々子ども達が快適に楽しく生活できるよう、環境を整えています。
障害の有無に関わらず全ての子どもが保育を受けることで、保護者は働くことができるようになります。
では、子ども達にとってはどうでしょう……?
保育園に通うようになって、どんな変化が起きているのでしょうか?
ヘレンの保育をのぞき見してみると、素敵な未来を描けるようになった、キラキラした子ども達の姿が待っていました。
今回はそんなキラキラした子ども達の様子を伝える現場レポ、第4弾です!
1歩目から違いが分かる!ヘレン保育の世界
園長の中村先生からヘレン経堂の説明をお聞きして、さぁ、いよいよ保育室へ入室!
子どもたちはちょうど、保育園に登園してくる時間帯でした。(※1日を通してのヘレン保育の様子はこちらから)
さて、ヘレンの保育室に入ってみて1番に思ったことがあります。
それは、保育室内がとってもゆったりしているということ。
普通の保育園では、子ども達の走り回る音、楽しそうに笑い合う声が響き渡ります。
一方、ヘレン保育は、穏やかな環境の中で、子ども達が気持ちよく朝の空気を感じ取っている様子が印象的でした。
通常保育を行う大規模保育園で勤務していた私には、あまりにも新鮮でした。
そんなヘレン保育の様子のわけを、ヘレン経堂・園長の中村先生が教えてくれました。
高橋:ヘレンの保育室に入って1歩目から、普通の保育園と全く違う空気感を感じました。大規模保育園で勤務していた私には新鮮で、何だか不思議にも感じました。
中村先生:そうですね。ヘレン保育と健常児の保育では、スタッフの関わり方が全く変わってきます。そうすると、保育室の雰囲気も全く違ってきますね。高橋さんが不思議だと思ったわけは、そこにあると思います。
高橋:なるほど。具体的にどのようなところが違ってくるのでしょうか?
中村先生:ヘレンに来ている重症心身障害のある子どもたちは、耳が聴こえにくかったり、目が見えにくかったりします。そのような子どもたちにとって、私達保育スタッフが掛ける色々な言葉は、雑音になってしまうこともあります。
高橋:雑音ですか?
中村先生:そうですね。例えば、自分だけが日本人で、他は外国人でいっぱいの空間があるとします。自分は外国語を話せません。そうしたら、自分は周りの人達の言語が分からないので、周りの人達が向かう方向に行ったり、何かしらのサインに従って行動しますよね。
彼らは、ずっとそんな状況の中にいます。
ヘレンの子達は、言葉を使ったコミュニケーションが苦手です。でも、言葉以外のツールを使って、わずかでも自分の意志を発信してきます。それをくみ取り、その子どもそれぞれのコミュニケーションサインを見つけることが、保育士の専門性です。
高橋:なるほど。言葉以外のツールとは、実際にどのようなものなのでしょうか?
中村先生:保育士が見せた絵や写真入りのカードを読みとって行動したり、スイッチを押して問いかけに反応したり、本当に様々なものです。そのような保育室の雰囲気は、通常の保育園では感じることのないものだと思います。
高橋:なるほど。通常保育とはまた違った保育の醍醐味を感じられるのがヘレン保育、ということですね。貴重なお話、ありがとうございます!
ヘレンの保育室では電気1つにしても、「子ども達に最適な環境はなんだろう?」と考えます。電気の眩しさが苦手な子、おひさまの光が苦手な子、色々な子がヘレンにはいます。
そのような子ども1人1人に対して、保育と医療が力を合わせて最適な生活環境を整えます。ヘレン保育からは、プロフェッショナル同士の結束力を感じられます。
「なんで??」で深まるヘレン保育
午前中にみんなで遊びに取り組む時間のことでした。
重症心身障害のある子ども達の「れんげ組」では、子ども達が乗ったリクライニングチェアを保育スタッフが押し、ジェットコースターの遊びをしていました。チェアで駆け抜けたときに感じる風を感じて、子ども達は笑ったり、声を上げたりと、とっても嬉しそう。
一方で、安心・安全に子ども達が遊びを終えられるよう、保育スタッフの目は真剣そのものでした。理学療法士と保育士は相談して、1人1人の子どもに合った座位や姿勢を設定しています。
これも、通常保育ではなかなか見ることのない場面です。
「そうか、ヘレンの保育スタッフの方々は、子ども達の気持ちになって、自分も遊びを楽しむことのできる柔らかい気持ちと、子ども達の安心・安全を守る強い気持ちの2つの専門性が求められるんだなぁ……」と、私はしみじみと感じました。
このことについて、ヘレン経堂・保育士の伊藤唯先生にお話をお聞きしました!
高橋:子ども達が遊んでいる様子を見させていただいて、ヘレンの保育スタッフの方々には、柔らかさと強さの、両方が求められているんだと強く感じました。それはなかなか難しいこととも感じられますが、どのようなところにやりがいを感じますか?
唯先生:そうですね。ヘレンの保育スタッフとして、責任重大であることは確かです。でもヘレンの保育は、感動の出来事の連続です。
高橋:感動の出来事の連続ですか??
唯先生:そうです!私も以前は通常の保育をする施設で勤めていたので、初めは言葉や感情の表出がない子達に対して、どのように保育していけばいいのか分かりませんでした。
でも、周りのスタッフの声掛けを真似してみたり、アドバイスをもらったりして、徐々に関わり方をつかんでいきました。
すると、自分の働きかけに対して、だんだんと子ども達の様子が何か違っていたりして、よく見てみると「笑ってる……??」って思えたりして!
そんな子ども達の小さな動き1つ1つが素敵で、感動します。

子どもと一緒におやつを楽しむ唯先生
高橋:それは素敵ですね!!子ども達が今何を求めているのか、どのような環境を整えるのがベターなのか、そのようなことを深く考える保育は、ヘレン保育ならではなのかな、と感じました。
唯先生:そうですね。何をどこまでやっていいのかを考えることは、未だに難しさを感じます。なので、それは他の看護師や理学療法士と相談して、みんなで考えています。
一方で、この子は今どうして笑ったんだろう、や、どうして嫌だと表現したんだろうと考えることは、保育士の専門性が発揮されるところです。
そのような、「どうして??」を深く追求して保育できるところが、ヘレン保育の醍醐味だと思います。
高橋:なるほど。「なんで……?」を追求していくところに、ヘレン保育の面白さがあるのですね。貴重なお話をありがとうございました!
保育スタッフの「なんで……?」の追求は、子ども達の素敵な未来を生み出していました。そんなヘレン保育はまだまだ成長の途中です。
フローレンス発の最先端保育、ヘレン保育の良さが少しでも伝わったら嬉しいです。
フローレンスでは現在、保育士の方々の積極的なご応募をお待ちしております!
現場潜入レポ第1弾はこちら
現場潜入レポ第2弾はこちら
現場潜入レポ第3弾はこちら
書いた人:髙橋琴美
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