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アクション最前線

2020/03/11

9年たつ今だからこそ、東北の親子の心に寄り添う支援を【東日本大震災】

  


2011年3月11日に起きた東日本大震災から、今日で9年が経ちます。
以前の生活に戻り始めた方、まだまだ元のような暮らしには戻れない方など、状況は多様に渡っています。そのため、以前よりも不安や悩みを打ち明けにくくなっている方もいるようです。

子ども達も元気に過ごしているように見えても、言葉にはできない思いを抱えていることがあります。
私たちフローレンスも、この9年間、東北の子ども達やその家族が、少しでも安心して暮らしていけるよう、自分たちに何ができるのか考え続けてきました。

そしてこの1年の間、被災地で新たに始めたのは、よりいっそう親子の心に寄り添うための活動でした。

保育園という場所で始まった “子ども食堂の新しいカタチ”

フローレンスは、震災後、仙台の待機児童が多すぎて働きたくても働けないという母親の話を耳にし、2015年4月に小規模認可保育を仙台で立ち上げました。今では、おうち保育園こうとう台、木町どおり、そしてかしわぎの3園を運営しています。

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そのひとつ、仙台市青葉区内にある「おうち保育園かしわぎ」で、2019年8月に始めたのが、「ほいくえん子ども食堂」です。

子ども食堂と聞くと、知っている方も多いかもしれません。地域の親子の見守り支援の一つとして、住民や自治体が主体となり、無料または低価格帯で子どもたちに食事を提供している場所です。
子どもだけでなく、子どもの家族なども利用できて、地域のコミュニケーションの場として全国に広がっています。

そういった場を、保育園に通う小さな子ども達と家族を中心に、もっと気軽に利用してほしいとの思いで始めたのが、「ほいくえん子ども食堂」。

保育園内での子ども食堂のオープンは仙台エリアでは初めての取り組みです。
保育園との連携により親子に自然なかたちで伴走できるサポートシステムとして、また親子と地域住民をつなぐ多様な交流機会の場作りとして、機能していくことを目指しています。これまで12回開催、185人が来てくれました。

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食事は、日頃「おうち保育園」で給食づくりを担当する調理スタッフと、保育スタッフが腕を振るいました。初回は、唐揚げ(タルタルソースとおろしソース)、ナスとピーマンの煮浸し、味噌汁、デザートのスイカというメニューで、お子さんには無料で、保護者には300円にて提供。

栄養バランスも考えられていて、毎日忙しく働く親御さんたちにも好評でした。

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当日出会った子ども達同士でお絵かきや風船遊びをしたり、みんなで紙芝居に熱中したり。保育園には、子どもが安全に遊べるスペースがあり、子育ての専門家である保育士がいるため、親御さんからも「リラックスできた」という声をいただきました。ご近所同士が日頃の子育てについての雑談を交わすなど、保育園を中心とした新しいコミュニティの場が生まれました。

今後も、この「ほいくえん子ども食堂」は定期的に開催していきます。
4月以降の日程については、また追っておうち保育園のサイトやフローレンスNEWSにてご案内します。

仙台から全国へ「保育ソーシャルワーク」情報交換会開催

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経済的困窮やトラブル、子どもの発達への不安など。被災地だけでなく、社会全体の、家庭内で起きる不安や悩みは多様になってきています。親御さんがたった独りで抱え込むことは様々なリスクにつながります。

こうした親子に自然な形で伴走できるのは、保育現場ではないでしょうか?
2017年よりフローレンスが取り組んでいるのが、「保育ソーシャルワーク」です。東京と仙台のフローレンスの保育園で実施してきました。

ソーシャルワークとは、困りごとを抱えている人が過ごしやすくなるように、課題について一緒に考えサポートすることです。サポートを必要としている人のお話を聞き、支援施設や行政サービスなど、必要な機関等との関係を調整することもあります。

乳幼児と保護者が家庭外で早期に接点を持つ「保育園」という現場が窓口になることは、非常に有効だと考えています。課題を抱えて誰にも相談できずにいる子育て家庭にいち早くアプローチできるからです。

フローレンスの場合は「保育ソーシャルワーカー」という専門職を独自に設置し、各園を巡回するスタイルをとっています。

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2019年12月には、この活動を全国に広めていくために、仙台市青葉区をメインとする各小規模認可保育園で働く先生方を対象に、「第一回仙台保育ソーシャルワーク情報交換会」を行いました。講師は、フローレンスの保育ソーシャルワーカーが務めました。
当日は仙台市内の保育園の先生方が集まり、これからの保育現場で求められる保護者支援について、真剣に話し合いました。

各園の先生方からあがってきた悩みで多かったのが、

●「保育園だけでは対応できない問題に対してどうすれば良いか悩む」
●「必要支援機関との情報連携がうまくいかず、適切な支援を提供することが難しい」
●「家族からの直接の相談がなく、その家庭が抱える『見えづらい課題』に対し、どのように対応していけばよいか判断が難しい」

という点でした。

当日の詳しい様子はこちらをご覧ください。

悩みを抱える子育て家庭に寄り添い支援できるのは、保育現場だった!〜保育ソーシャルワークを全国へ〜
家庭内の「見えづらい課題」にアプローチする「保育ソーシャルワーク」とは児童虐待、孤育て問題など、近年、日本では子育てに関するさまざまな社会課題があげられています。 例えば、全国21...

保育ソーシャルワーカーと保育士が連携を取りながら、今後も、親子の悩みや不安を少しでも解消できるよう継続して支援して参ります。

3.11から20年後のその日まで。被災した子どもを支え続ける「ハタチ基金」

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こういった仙台での新しい取り組みを支えるのは、「ハタチ基金」からの助成基金です。

震災後、フローレンスを始めとする子ども支援分野で専門性の違う4団体の代表が理事を務め、立ち上げた「ハタチ基金」。

「震災があった2011年に0歳だった赤ちゃんが、無事ハタチになるまでの20年間、支援を続ける」というコンセプトの下、育児支援や学習支援など、子どもに関わる支援を行っています。

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ハタチ基金について詳しくはこちら

震災後、落ち着きがなくなったり、集団生活が難しくなった子ども達も多いようです。
そして、新しい建物がどんどん建設され復興が進む中、その変化にとまどっている子ども達もいます。
そんな子どもたちを継続して見守っていきたい。

ハタチ基金は、震災から9年経った今も、継続的に子ども達を支えるため皆さんの寄付を必要としています。一緒に東北の子ども達を支えていきませんか?

ハタチ基金への寄付はこちら

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