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アクション最前線

2024/08/28

「保育の質向上にむけた政策勉強会~不適切保育や保育事故をなくし、すべてのこどもに健やかな育ちの環境を保障する~」開催報告

    


「保育の質向上にむけた政策勉強会」を開催しました

こども・女性政策(保育、教育、労働、社会保障等)を専門とされ、主に海外との比較で政策のあり方について研究されている、日本総合研究所 調査部 上席主任研究員の池本美香先生をフローレンス本社にお招きし、「保育の質向上のための政策勉強会~不適切保育や保育事故をなくし、すべてのこどもに健やかな育ちの環境を保障する~」を開催しました。

会では、池本先生に「子ども人口減少下の保育の在り方」という先生の最新の論文の詳細を解説いただき貴重なお話しを直接伺いました。

【勉強会概要】

・タイトル:保育の質向上にむけた政策勉強会

     ~不適切保育や保育事故をなくし、すべてのこどもに健やかな育ちの環境を保障する~

・主催:認定NPO法人フローレンス みらいの保育園事業部

・内容:

  日本総合研究所 池本美香先生より「子ども人口減少下の保育の在り方」について解説

  弊会代表理事・赤坂よりフローレンスの取り組み紹介(保育に関わる政策提言、保育の質向上について)

  対談「保育の質向上の視点から考える、保育政策の課題」

    

「全てのこどもたちに質の高い保育を」勉強会開催への想い

乳幼児期はこどもたちの健やかな成長の土台となる人格形成にとって、非常に重要な時期であり、だからこそすべてのこどもに質の高い保育を保障していくことが重要です。

これからのこどもたちが生きる社会は貧困や環境問題、グローバル化、コロナなどもあったように、答えの用意されていない未知の課題で溢れています。保育園は、こどもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培う役割が、保育所保育指針でも示されています。質の高い保育とは、こどもたちが心身ともに充実し、豊かに生活するための環境や経験が十分に担保されているということです。

日本ではこれまで待機児童問題の解決を第一として、国・自治体ともに施設設備の充実に力を入れてきました。しかし、地域差はあるものの、ここ数年で待機児童問題は解決に向かいつつあり、保育園の定員割れが起きている地域もあります。今後もこどもの人口減少が見込まれる今こそ、すべてのこどもに質の高い保育を保障することに本気で取り組んでいくべきです。

今年度から保育士の配置基準が見直されましたが、海外の先進国と比較すると、まだまだ改善の余地があります。残念なことに、不適切保育や保育園での虐待事案などのショッキングなニュースが後を絶たない現状もあります。不適切保育などが起きてしまう状況・理由はさまざまですが、保育士不足や配置基準の厳しさにより保育士の負担が大きいことも要因の一つといえるでしょう。「こども誰でも通園制度」の創設により、保育へのアクセス、子育てのインフラとしての保育園へのつながりやすさという観点は改善が期待されますが、保育の質の改善は大きな課題です。

フローレンスは親子の笑顔のため「今を生きるわたしたちとまだ見ぬこどもたちが希望と手をつないで歩める社会。さあ、心躍る未来へ。」というビジョンを掲げています。当初は「こどもたちの育つ環境の質をあげていきたい」「そのためにどのような仕組みがあると良いのか考えたい」という思いのもと、現場事務局の垣根を超えた社内研修を企画していましたが、池本先生のご厚意により、社外にも開いた政策勉強会が実現しました。

 

「保育の質向上にむけた政策勉強会」当日の様子

当日は論文「子ども人口減少下の保育の在り方」を池本先生に解説頂きました。

日本の保育の現状を豊富なデータとともに共有いただき、子ども人口減少下の保育という視点から、海外の動きについて各国事例を紹介していただきました。すべての子どもに保育へのアクセスを保証するという考え方、保育形態の多様性確保、保育の質確保に向けた取り組みという3点において、配置基準の改善だけでなく、インクルーシブな環境の整備、親参画の仕組みやモニタリングの制度など、海外の事例に学ぶべき点が多くあることを実感しました。日本の保育政策の課題についても問題提起いただきましたが、「日本には改革の原動力がない」という指摘にはドキリとさせられました。
先生の「「親が働くため」の保育から「子どもと親と保育者が幸せな園」を目標に」「保育の質確保には保育者の幸せが大前提」というメッセージは、参加者の心に響きました。

解説の後、弊会代表理事の赤坂と保育の質向上の視点から考える保育政策の課題について対談をしていただき、また、参加者からの質問にも、わかりやすくお答えいただきました

~参加した保育関係者の感想~

海外の保育と日本の保育との比較について、とてもわかりやすく学ばせていただきました。特に、「(諸外国では)保育は子どものための制度」という根本的な考えが日本と大きく違うところでもあり、我が国の課題であることを再確認しました。
また、こどもにあった保育園を保護者が選べるように保育が多様化していることは、少子化の中でも小規模保育事業は残していくべきであるという確固たる理由につながると思います。

園として保育の質の向上を目指す事が、安定した園運営に繫がるという思いで日々努力していますが、もっと広い視野で質の向上を捉える必要があると気づかせて頂きました。『どういう保育を目指すかと配置基準はセット』『安全で質の高い保育を当たり前に』また、『現場任せで無い仕組み作り』自園のことはもちろん、地域、そして全てのこどもたちを視野に、考えていきたいと思います。貴重な学びの時間をありがとうございました。

全てのこどもたちに質の高い保育を

「全てのこどもたちは質の高い保育を受ける権利がある」という考え方は、日本ではまだまだ浸透していません。
フローレンスの保育園では、保育の質向上のために、こどもの権利を尊重し、こどもをまんなかにした「シチズンシップ保育」を行うためのスタッフ研修の充実にくわえ、ノンコンタクトタイムの確保や業務の平準化・ICTの積極的な活用により、働きやすい環境を整備することなど、保育現場で日々工夫を続けていきます。
合わせて、フローレンスでは、配置基準の見直しや、最低保育保障の実現など、仕組み自体をより良い物に変えていきたい、そのために現場の声を集め、声を上げ続けていきたいと考えています。

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(東京都 江東区/渋谷区)
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