ひとり親を、社会の力でひとりにしない
ひとり親家庭支援
「どんな親子も孤立しない日本」を叶えるとりくみ
Story ストーリー
ひとり親の病児保育支援から、
ひとり親が抱える課題全体に
総合的にアプローチ。
「わたしはフローレンスの病児保育を使えません。お金がなくて。わたしほど使いたい人はいないのに」。そんなあるひとり親の切実な声を受けて、2008年に寄付を原資として低料金で病児保育を提供する「寄付によるひとり親支援プラン」を開始。
これを皮切りに、ひとり親家庭に向けさまざまな支援プログラムを提供していきました。政策提言では、児童扶養手当の金額が第2子以降大きく減額されることに異を唱え、手当額の倍増を実現。また、法的に離婚が成立していないために行政の支援を受けられないひとり親への公的支援を確保するため、「実質ひとり親」という概念を提唱し政策提言を実施。公的支援が届くしくみづくりを後押ししました。
事業をつくる
「ひとり親家庭をひとりにさせない」病児保育や体験の提供で社会との接点をつくる
2008年「寄付によるひとり親支援プラン」をスタート
経済的な理由で病児保育を利用できないひとり親家庭向けに、フローレンスは「寄付によるひとり親支援プラン」の構想を練りはじめました。これはインターネット上でいただく継続的な寄付を原資として、低料金で病児保育を提供するものです。
当時はインターネットを通じてクレジットカードで個人が寄付をすることはそれほど一般的ではありませんでした。そのような状況で07年にネットから申し込み、支援をしていただく個人寄付会員(サポート隊員)の募集をスタートさせましたが、当初の不安をよそに、多くの会員の皆さんが申し込みをしてくださり、その協力で支援が続いています。
「こども冒険バンク」で体験格差問題に取り組む
経済的な困難を抱える家庭のお子さんから、「僕、海を見たことがないんだ」といった声を聞くことがありました。
このような体験格差を解消すべく、23年に、民間企業と連携しひとり親家庭や経済的な困難を抱える家庭のこどもたちに体験を提供する「#夏休み格差をなくそうプロジェクト」を始動。旅客機を整備する工場の見学やプログラミング教室などの体験プログラムを実施し、大きな反響を呼びました。
しかし、一度きりの思い出では、体験格差の解消とはいえません。これを一過性のもので終わらせず、継続的なこどもの「体験格差」の解消を目指して、24年8月には「こども冒険バンク」を開始しました。これは体験が不足しがちな家庭が、企業が無料で提供した体験を自由に選べるプラットフォーム事業です。
しくみを変える
ひとり親家庭の貧困問題解決に向けた政策提言
児童扶養手当の2人目以降増額
ひとり親家庭向けの「児童扶養手当」は、1人目のこどもに最大4万2,000円が支給されますが、2人目以降は5,000円、3,000円と大幅に減額される制度でした。しかし、こどもが増えるほど家計にかかる負担は大きくなります。
フローレンスは、15年に複数のNPOと連携し「ひとり親を救え!プロジェクト」を実施しました。ネット署名で3万8,931筆を集め、内閣官房長官に手渡しました。
その後、16年1月に安倍総理(当時)は施政方針演説で児童扶養手当の引き上げに言及。実に36年ぶりに児童扶養手当が引き上げられ、第2子以降の手当額が倍増されました。
文化を生み出す
「ひとり親家庭」の定義拡大と「実質ひとり親」支援の強化
実質ひとり親家庭を支援する「ノーセーフティネットひとり親家庭を救え!」キャンペーン
21年、プロサッカー選手・長友佑都さんと行った「ひとり親をみんなで支えよう」プロジェクトを通じて、パートナーと別居中または離婚前でこどもと同居する保護者を対象に全国実態調査を実施しました。その結果、ひとり親家庭と認定されず、児童手当などの公的支援を受けられずに困難な状況にある「実質ひとり親」の存在が明らかになったのです。
これを受け、フローレンスは実質ひとり親も児童手当を受給できるよう、国や行政に制度改善を訴えました。さらに、DVで避難中などの家庭が支援を受けられるよう、国から自治体への運用改善の通知発出や、周知徹底を提言しました。
これらの活動が実を結び、21年2月末には、国から全国の自治体に「法的に離婚していなくともこどもとともに暮らす保護者に児童手当を支払う」旨の通知が発出され、実質ひとり親家庭への支援が強化されました。
これからしていくこと
わたしたちは、ひとり親家庭の経済的な困窮を解消するためにさまざまな取り組みを続けてきました。今後もあらゆる角度からアプローチをし続けます。
病児保育の寄付によるひとり親支援プランの提供や、こどもの体験格差の解消を図る「こども冒険バンク」の実施、AIを活用した相談サービス「おやこよりそいチャット」の全国展開など現在行う取り組みを続けるのはもちろん、政策提言も強化し、養育費不払い問題に対する解決策として、政府による取り立てや立て替え制度などの実現を目指します。さらに、離婚を「人生の新たな一歩」としても捉えられる新しい価値観を提案したいと考えています。
ひとり親家庭への病児保育お預かり人数
のべ1,788人※
- 2024年3月末時点
古いあたりまえ
法的に離婚が成立していない保護者はひとり親ではない。
よって公的支援は受けられない
新しいあたりまえ
法的に離婚が成立していなくともひとり親。
公的支援は必要こどもたちのために、
小さな変化を起こしませんか?