人手が足りない多胎児育児を社会で支える
多胎児家庭支援
「どんな親子も孤立しない日本」を叶えるとりくみ
Story ストーリー
多胎児家庭の課題を可視化、
交通機関利用の改革など
新たな支援を構築。
「双子ベビーカーは折りたたまないとバスに乗車できない、だからバスの乗車を諦めるしかない」という友人の声を聞いたフローレンスの社員のひとりが、「多胎育児のサポートを考える会」を設立しました。
多胎児を育てる保護者に向けたアンケートを実施した結果、多くの多胎児家庭がその過酷な育児を家族だけで担わなければならない状況にあり、気軽に外出できない状況が明らかに。この課題を解決するために、フローレンスは公共交通機関の利用を促進するため国や都、バス会社と交渉を開始。その結果、2020年9月に都バスの一部区間で、22年5月には都内全路線で、「双子ベビーカーを折りたたまずに乗車」が解禁されました。
また、過酷な育児をサポートするための多胎児専門訪問サービス「ふたご助っ人くじ」を開始し、都内の多くの家庭に訪問をしています。
事業をつくる
「もうひとり大人がいてほしい!」人手が足りない多胎児育児への支援を実現
多胎児家庭専門の訪問サービス「ふたご助っ人くじ」を開始
多胎児家庭では、同時に2人以上のこどもを育てるため、一日中育児に追われがち。保護者は、入浴や食事、外出時に「もうひとり大人がいてくれたら」と感じることが多いといいます。フローレンスは、こうした人手不足を解消するために、多胎児家庭専用の訪問サービス「ふたご助っ人くじ」をスタート。20年からのトライアルを経て、22年4月に正式リリースを果たしました。
「ふたご助っ人くじ」は、保育スタッフが家庭に訪問し、保護者とともに育児を行います。このサービスは自治体のベビーシッター助成を活用することで、実質無料で利用できます。24年1月には、多胎児家庭の外出をサポートし、社会とのつながりを提供することで保護者を支援し、課題解決に寄与したとして「令和5年度東京都女性活躍推進大賞」の特別賞を受賞しました。
しくみを変える
「ふたごを連れてバスに乗れない」その制限を変える
公共交通機関を利用できない多胎児家庭の困難を国や都に訴え
「多胎育児のサポートを考える会」とともに19年に多胎児家庭へのアンケートを実施し、「外出・移動が困難」と回答した家庭が89.1%に上ることが判明しました。この結果「#助けて多胎育児」緊急記者会見として世の中に問題提起。国会で多胎児支援について議論されました。
20年1月には、小池百合子東京都知事に対し、都バスでの2人乗りベビーカー利用の改善を求める要望書を提出。その結果、同年9月に都バスの5路線で、22年5月には都内全路線で2人乗りベビーカーを折りたたまずに乗車できるようになりました。
都の「とうきょうママパパ応援事業」に「多胎児家庭支援」が新設
東京都では、20年度予算で「とうきょうママパパ応援事業」に「多胎児家庭支援」を新設しました。これは、3歳未満の多胎児家庭を対象に母子保健事業利用時の移動経費や家事育児サポーターの派遣、多胎ピアサポート、多胎妊婦健康診査への加算を行う市町村への支援を実施するものです。台東区が先導した多胎児支援は24年現在、多くの市区町村で実施されています。さらに、東京都の20年度予算内「ベビーシッター利用支援事業(一時預かり)」では、多胎児は単胎児の倍の助成が実現し、公的支援が広がりを見せています。
文化を生み出す
「公共交通機関でお出かけをする」ことを、多胎児家庭のあたりまえに
車内広告で2人乗りベビーカーの安全な乗車を周知
フローレンスは、東京都交通局に対して広報・PR活動を提案し、21年に「2人乗りベビーカーの安全な乗車方法」や「席の譲り合い」に関する動画を作成いただきました。
また、東京都交通局はリーフレット「都営バス ベビーカー安全ご利用ガイド」を新たに作成し、バス車内で配布して周知を行っています。
これにより、多胎児家庭が公共交通機関を安全に、そして安心して利用しやすくなりました。
さらなる文化醸成を目指し東京都交通局と当事者を交えて意見交換
東京都交通局とフローレンスは、2人乗りベビーカーを折りたたまずに乗車できるよう、当事者を交えた意見交換を3回行いました。22年12月には、バス会社と当事者の双方が理解を深めるための会を開催しました。
この意見交換会の背景には、「ルールを、みんなが自然に行動できる文化に変えたい」という想いがあります。フローレンスは、この取り組みが新しいあたりまえとして定着し、誰もが気持ちよく公共交通機関を利用できる社会を築くことを目指しています。これには、配慮が必要な人々とバス会社だけでなく、すべての利用者の理解と協力が不可欠と考えています。
これからしていくこと
東京都のベビーシッター助成のような仕組みが全国で広がり、多胎児が利用できるベビーシッター事業者が全国に増え、フローレンスだけでは支えられない地方の多胎児家庭にサポートの手が届く、そんな未来を目指し活動を続けていきます。
また、一般に、負担や孤立が重なることが虐待リスクとなることが知られています。多胎児家庭ならではの負担を軽減したり、外出困難による孤立状態をつくらないためにも、ヘルパーやシッター、保育園を優先的に利用できるしくみづくりに向けて政策提言をしていきます。さらに、「公共交通機関に2人乗りベビーカーを折りたたまずに乗車」できるルールが全国に展開されるよう活動を続けていきます。
「ふたご助っ人くじ」年間サポート件数
のべ1,800件※
- 2023年4月~2024年3月末まで(2023年度年間)
古いあたりまえ
2人乗りベビーカーは大きいのでバスには乗れない。
多胎児はかわいい存在であり、公的支援の対象ではない
新しいあたりまえ
2人乗りベビーカーもバスに乗れる。
公的支援の対象として社会で支える
こどもたちのために、
小さな変化を起こしませんか?