こどもの発熱時も安心して働ける

訪問型病児保育

「子育てがしんどくない日本」を叶えるとりくみ

訪問型病児保育

Story ストーリー

「こどもを看病したらクビになった」
そんな親御さんの声から始まった、
フローレンスの事業の原点。

「こどもの看病で仕事を休んだ母親が、会社をクビになった」という話を聞いた創業者・駒崎が、当時はほとんどなかった「病児保育」を2005年にスタート。自宅に保育スタッフが駆けつける訪問型で、当日の急な熱にも対応できるしくみに。目指したのは、プロの保育と「近所のおばちゃんが預かってくれる」ような安心感の両立でした。

Journey & Reflection 歩みと想い

1本道を歩く2人のこども

事業をつくる

日本初の「訪問型・共済型」の病児保育が、働く親たちの新しい「お守り」に

ピンチに駆けつける、1対1で寄り添う、という安心感

発熱や体調不良を頻繁にくり返す幼いこども。「ごめんなさい、また熱で――」。仕事に穴を開ける心苦しさは、働く親たちを長い間悩ませてきました。そこで、こどもの発熱時に保育スタッフが自宅に駆けつけてお子さんを見守る「訪問型」の病児保育を事業化。病児保育の依頼に100%対応できるよう、月会費を会員が出し合う独自の「共済型」のしくみをつくりました。

低価格で利用できる「ひとり親プラン」も

08年からは、仕事を休むことが家計に影響を与えやすいひとり親の負担軽減のため、「寄付によるひとり親支援プラン」がスタート。病児保育を低価格で利用できるプランを整えました。こうして「どんな親子のピンチにも、必ず駆けつけてくれる」という新たな安心は、多くの親たちに受け入れられ、「病児保育」という新しい市場を開拓。業界最大規模の事業に成長しました。

しくみを変える

「訪問型病児保育」が、国の進める緊急サポートネットワーク事業のモデルに採用

厚生労働省の事業に病児保育のノウハウを提供
厚生労働省の事業に病児保育のノウハウを提供

フローレンスの「訪問型・共済型」の病児保育が生まれる前は、病児保育は施設型で、それも常時満員状態。預けたくても預けられない。結局、親は仕事を休まざるを得ない。そんな状況が「あたりまえ」でした。
国に先んじて訪問型の病児保育を事業化する準備をしていたフローレンスでは、同省から視察を受けてノウハウを提供。「緊急サポートネットワーク事業」が開始されました。緊急サポートネットワーク事業は廃止となりましたが、その後、同省既存の病児保育事業のなかに「訪問型」が設置されることになりました。

新型コロナ対応でも、平時でも「ベビーシッター助成金」が非課税に

20年、新型コロナウイルスの猛威によって休園・休校が相次ぎました。18年から東京都ではベビーシッター利用者への助成金制度を立ち上げていましたが、新型コロナウイルスに起因するベビーシッター利用時にも、この助成が受けられるようになりました。
そこで、わたしたちがかねてから訴えていた「利用者が助成を受けた際にはその助成金分が所得とみなされ、課税対象になってしまう現状を改善してほしい」という提言を当時の財務副大臣に提出。その後税制改正が実現し、平時でも新型コロナ対策時においても、非課税との決定を引き出しました。

文化を生み出す

こどもは熱を出すのがあたりまえ。社会で子育てするのがあたりまえ

仕事に行くのは「ごめん」じゃない

訪問型病児保育が生まれたばかりの頃、社会ではまだまだ「こどもが熱を出しているのに、仕事を優先するなんて」という価値観が強い時代でした。当の親たちも、「体調が悪いのに、仕事を休めなくてごめん」と、どこか後めたい気持ちに支配されていました。病児保育を「あたりまえ」にしていくには、わたしたちがまず高らかに宣言する必要がありました。
「こどもは熱を出すのがあたりまえ! 社会みんなでこどもを育てよう!」
そんなメッセージを込めて「フローレンス 病児保育憲章」をつくりました。この憲章は今でもわたしたちの活動にとって大切な旗印になっています。

病児保育をモデルにした漫画『37.5℃の涙』が話題に

多くの保育園では、お預かりの基準として「37.5℃」以上の熱がないことが条件です。それ以上の発熱は病児保育の出番。そんなフローレンスの病児保育現場をモデルに、新人病児保育スタッフの成長を描いた漫画『37.5℃の涙』(椎名チカ・小学館)が14年に出版され話題に。15年にはテレビドラマ化されました。
この反響によって社会に広く「病児保育」という言葉が浸透し、働く親たちの働き方や社会制度のあり方が社会問題として可視化されました。

これからしていくこと

病児保育は最初に、「新しいあたりまえ」を生み出すことができた事例でした。
これからは、病児保育の利用会員(クルー)の皆さんにデジタル相談を提供したり(ハイブリットソーシャルワーク)、寄付によるひとり親支援プランの会員さんたちに「こども宅食」を提供するなど、フローレンスの開発したさまざまな支援を組み合わせ、利用してくださっている子育て家庭に、総合的に伴走していきたいと考えています。

Social Impact 社会的インパクト

赤い文字で「Florence」と書かれた白い壁の一部

20年間の病児保育のべお預かり件数

のべ13

  • フローレンス設立当初から、2024年3月末時点まで

病児保育お預かり件数のべ12万件のうち、ひとり親家庭のお預かり件数

のべ1,788

  • フローレンス設立当初から、2024年3月末時点まで

New Normal 新しいあたりまえ

国会前に集合する医療的ケア児の家族と支援者たち

古いあたりまえ

こどもが熱を出したときくらい、
母親が仕事を休むべきだ!

新しいあたりまえ

急な発熱でも病児保育がある。
あたりまえの社会インフラに!