「ふくやまっこ」ってどんな子ども達?
「障害児訪問保育アニー」のサービスを利用する3歳のヒラノロロ君は、「福山型先天性筋ジストロフィー」という重い障害を持って生まれた男の子です。この病気は、弥生時代、日本人の祖先の遺伝子上で起こった突然変異が原因とされている我が国特有の難病です。何種類もある筋ジストロフィーの中でも一番重く、児童期のうちには筋肉が壊れていくとされる大変過酷な病気です。
知的障害も伴い、近年までは不治の病と言われた「福山型先天性筋ジストロフィー」ですが、日進月歩の研究により症状改善の可能性も期待できるようになってきました。親御さん達は愛情を込めて我が子を「ふくやまっこ」と呼んでいます。
「ふくやまっこ」達が未来を生きるための活動を全国に広げている「ふくやまっこ家族の会」のメンバーでもあるロロ君のお母さんは、「障害児訪問保育アニー」の利用をスタートして2か月目。そして、現在0歳2ヶ月の赤ちゃんもいらっしゃいます。「ふくやまっこ家族の会」の活動に参加し、ご自身のお仕事も2人目のお子様も諦めずに前進してきた平野さんに、お話を伺ってみました。
ーーー現在の活動や「障害児訪問保育アニー」との出会いについて教えてください
最近は我が子を通して、居住地である港区内で障害児に関する制度改革について活動しています。といっても特別なことをしようとしたわけではなく、最初は子どもが保育園に入れなかったことが大きなきっかけでした。
自営業で長く仕事を休むことができませんので、当然保育園への入園申請をしました。障害児=保育園に入れないという認識がなかったのです。肢体不自由児は健康維持のために日々のケアがとても大事なのですが、そのケアに対応する制度がないという理由で、保育園に入ることができませんでした。
働くことも諦めきれず葛藤し途方に暮れていた時に、友達に「この議員さんにメールしてみなよ!」と言われたのがきっかけで港区の区議さんと接点を持つことになりました。困っている状況をメールしたところ、即座に返信があって「こんな法律を利用したら?」「どんなやり方があるか考えましょう!」と具体的に動いて下さったのです。
ーーーその区議さん…なんだかうちの駒崎(代表)と通じるところがあります!(笑)
「障害児訪問保育アニー」とも、こうした情報収集の中で出会いました。フローレンスは「誰もが子育てと仕事を両立できる社会」を目指して、訪問型病児保育サービスや小規模保育園、 全国初の障害児保育園を運営していると知りました。
フローレンスの「障害児訪問保育アニー」は、他の働くお母さんと同じく、区の制度を利用して保育を受けることができます。仕事が続けられるんだ!と本当に不安が解消されました。担任の平山さんには楽しく向き合っていただいていて、安心して預けられます。
同じ「ふくやまっこ家族の会」のメンバーからも駒崎さんの活動にいつも注目している話を聞いています。その方は駒崎さんのfacebookにもコメントを入れるほどですよ。
社会保障の話題においては「障害者はお金がかかる」と言う人がいますが、だからこそ私は働いてしっかり税金を納めながら、より良い社会づくりのために意見も出していきたいと考えます。
ーーーロロ君の病気をきっかけに、たくさんの子どもの明るい未来につながる活動へと発展しているんですね。
「保育園に入れないせいで仕事ができない!」と不満を言っていても状況は何も変わりません。ものは考えようとよく言いますもんね。ネガティブな現実に目を向けるより、想いを共有できる人と一緒に前に進む方が堅実です。
これまでは幼くして亡くなる例が多かったそうですが、今は新しい治療法や薬の研究が進んでいます。「ふくやまっこ」が「生きることを前提」とした社会を作っていくことが、今の私達の前向きな課題です。
「ふくやまっこ家族の会」のメンバーとはそれぞれの人脈や得意分野を活かして、子ども達の生活環境を向上させること、多くの人に知ってもらい治療法を早期に確立させることを目指しています。
ロロ君が小さい頃は全介助で両親共に夜も眠れず過酷な状況だった、と語った平野さんでしたが、今は多くの仲間を得てロロ君とたくさんの子ども達の未来のために生き生きと働いていらっしゃいます。そんな平野さんの仲間の一員としてフローレンスが関われていることを、とても誇りに思いました。
平野さん、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
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