山崎
こんにちは!「みんなのみらいをつくる保育園」開園チームの山崎です。
「誰かを思いやり、行動する子どもに育ってほしい」そんな願いを込めて、フローレンスは「みんなのみらいをつくる保育園」という名前の、新しい保育園をつくります。
先日、フローレンスが運営する「おうち保育園」の全スタッフが集合する全社会議がありました。そこで、代表理事の駒崎が、「みんなのみらいをつくる保育園」の開園に合わせ、「みんなのみらいと保育」について考えるワークショップを行いました。本日はその模様をお伝えします。
2050年を生きる子ども達のために、どんな保育を届けるか。
駒崎「(子どもの写真を見せながら)息子と娘がいます。かわいいでしょう?(笑) 今、僕は37歳なんですけれど、この子達が、僕と同い年になる未来が来ます。2050年には、同じくらいの年になります。一体、どんな大人になるんでしょうね」
駒崎「僕の子ども達が、今の僕の年になった時、いったい、未来の社会はどうなっているでしょうか。上の()に入る言葉は、なんだと思いますか? アメリカの経済学者、キャシー・デイビッドソンが提唱しているのですが……」
会場「非正規雇用」「介護」「パート?」
駒崎「実は、最初の()の中に入るのは、「今ない仕事」です。例えば、20年前、ドコモショップの店員さんという職業はありませんでした。」
(会場にざわめきが起こる)
駒崎「ソーシャルゲームのプログラマーなんて仕事も、もちろんない。保育士はありましたが、病児保育士はなかった、障害児保育士はなかった。今存在しない仕事って、結構あります。みなさんの周りでも、小学生の頃にはなかった仕事についている方も多いのでは?」
駒崎「では、下の()にある、高齢人口の割合はいくらでしょうか。答えは、なんと2050年に、高齢人口は40%。働く人は、60%に減少します。高齢人口は、今20%ちょっとですが、こんなにも増えることは、人類史上ありません。昔は、長寿社会が憧れでしたね。
それでは、今、小学生が100歳まで生きることが出来る可能性は、どれくらいあるでしょうか?」
会場「3割?」
駒崎「実は、50%です」
(会場、再びざわめき)
カンニングのできない社会
駒崎「今後僕たちは、今まで誰も体験したことのない社会に移行しようとしています。これは、すごいことです。前例がなく、カンニングもできない、今まで誰も受けたことのない試験のような。そんな予測のできない社会に突入します」
駒崎「それでは、これから近くに座っている人達と、こんな社会にどんな力が必要で、どんな力を子ども達にプレゼントしたいかを考えてみてください」
駒崎「それでは聞いてみましょう。どうですか?」
会場「自己肯定感?」
駒崎「なぜ自己肯定感が必要でしょうか?」
会場「自分を好きになると、自分がやることに自信がもてるようになるから」
駒崎「なるほど。他の方にも聞いてみましょう、どうでしょうか?」
会場「生き抜く力?」
駒崎「具体的にはどんな力ですか?」
会場「自分のことも、周りのことも考えて行動できるような……」
駒崎「自分の環境と、相手の環境を思いやりながら、最適な行動が取れる、ということでしょうか。他にも聞いてみましょう。いかがですか?」
会場「生きる力……?」
駒崎「具体的には?」
会場「自分で食べるものも、住むところも、そういうのが全部自給自足できる」
駒崎「自分で自分のことをハンドリングできる力、ということでしょうかね。ありがとうございます。他にはどうでしょう?」
会場「創造力、今ない仕事を作り出せる力」
駒崎「うんうん、どれも根源的な力ですね」
誰も体験したことのない社会を生きる子ども達のために、今できること。
駒崎「来るべき社会と、その社会ではどんな力を必要されるか、考えもらいました。それでは、その力をプレゼントするために、どんな保育をしていくべきでしょうか? どんな関わり方をしていくべきでしょうか? これまでの幼児教育の主流は、百人一首を暗唱とか、1歳でも平仮名を、とか、フラッシュカードをやらせる、とかでした。
これまで述べてきたような社会が到来するときに、保育はどうあるべきか。抽象的な、大きい話かもしれないけど、ぜひ話し合ってみてください」
駒崎「それでは、聞いてみましょうか」
会場「私たちが与えるのではなくて、子ども達から引き出す保育」
駒崎「うんうん」
会場「子どもの意思を尊重して、見守って、ダメなことは注意して。子ども自身がどうしたいか、というところを問いかけながら保育していくこと」
駒崎「子どもの内発性を重視していく。先程の意見の、引き出すというところとも近いですね」
会場「同じようなところで、子どもの自主性、自発的な行動を育てる。それを見守りながら大切に関わっていく」
会場「今、自主性を育むような保育をしています。子ども達に何をして遊びたいか?と聞いたりして、自主性を尊重している保育はしています。でも、全ての”やりたい”だけをすくっていてもいけないよね、というところで話が盛り上がっていました」
駒崎「自主性を引き出すんだけれど、どの範囲までなのか。より深い話をしてくれましたね」
会場「子供達が主体となって、選んでいけるような保育。与えるのではなく、選んだり考えたりできる自主性というところになるのではないでしょうか。子どもが持っているものを引き出してあげられるような保育が必要だと思います」
駒崎「皆さん、ありがとうございました。大人が、あれやれこれやれと引き出すのではなく。子ども達が持っている内発性をいかに大切にできるか。皆さんのイメージが、重なり合う感じになったのではないでしょうか。
今日は、来るべき社会と、保育を一直線に考えるWSをしてみました。これからみんなで、「みんなのみらいをつくる保育園」でどのように風に体現していくのか、おうち保育園の0~2歳はどうするのか、という話を考えていきたいと思っています。普段は、なかなか考える機会もないかもしれません。今回は短い時間になりましたが、来るべき時代に対して、どういう保育をやるべきか、話し合えたのはよかった。みなさんの進みたいという方向性に共感ができたので、よかったと思っています。」
山崎
いかがだったでしょうか。ワークショップの雰囲気を感じていただけましたか?
皆さんは、どんな未来を描き、子ども達に何を届けたいでしょうか。「みんなのみらいをつくる保育園」では、子ども達が自ら考え行動できるように、「子どもミーティング」を開き、いろんなことを、たくさん話してもらおうと思っています。保育者もまた、子ども達のために、未来のこと、保育のこと…たくさん話し合っていきます。
駒崎のワークショップが終わった後、「おとなミーティング」と題して、普段自身が担当する子ども達のことを話し合いました。ミーティングはとても熱の入ったものになっていました。皆さんはこのワークショップを覗いて、どんな風に思いましたか?ぜひ、皆さんの思いも教えて下さいね。
「みんなのみらいをつくる保育園」では、わたしたちと一緒に保育をつくりあげていくスタッフを募集しています。ぜひ、あなたの保育と、みらいにかける想いをぶつけて下さい。
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