12月は寄付月間。
今月、フローレンスニュース編集部では、寄付をもっと身近に感じてもらうために、寄付について、またフローレンスの様々な事業について、連載形式でお伝えしています。
今回は、フローレンスが寄付を原資に取り組んでいる「ひとり親家庭支援」についてご紹介します。
ひとり親家庭には深刻な課題である「病児保育問題」とは?:保育園では病気の時に子どもを預かってもらえない
ドラマ「37.5℃の涙」で知られるようになった病児保育問題。
「子どもが熱を出して保育園に行けず、会社を休んで看病したら、クビになった」
ある1人の母親の話を、ベビーシッターだった母から聞いたことがきっかけで、駒崎はフローレンスの設立を決意したといいます。
子どもが熱を出すのは「当たり前のこと」。子どもは病気にかかりながら免疫をつけ、丈夫な身体をつくっていきます。
しかし、病気になれば保育園は預かってくれず親御さんは急に仕事を休まざるをえません。
「職場の人に申し訳ないと感じる」といった心理的負担に加え、度重なる子どもの病気は、時として仕事を失う原因にもなってしまいます。
ひとり親家庭にとって:子どもの病気は最大のピンチ
仕事を休んで子どもを看護することは、共働き世帯であっても母親が担うことが圧倒的に多くなっています。
・子どもが病気にかかった時、家庭内での対応として最も多いのは、「母親が仕事を休む(63%)」。
「祖父母に預ける(25%)」「父親が仕事を休む(8%)」に比べ、母親の負担が大きくなっている。
〈2015年 一般財団法人日本病児保育協会調べ〉
しかし、もしこれがひとり親世帯であったら。
父親もしくは母親がひとりで仕事も子育ても担っているひとり親世帯にとって、子どもの病気は死活問題です。
ひとり親世帯は共働き家庭のように「両親が交代で会社を休む」といった対処ができず、自分が休むしかありません。
ひとり親世帯の多くを占める母子家庭は、下記のグラフが示すように、「貧困状態」に置かれている場合が少なくありません。
〈出典 平成23年度全国母子世帯等調査結果報告〉
日本の母子家庭の就労率は約81%で世界でもトップクラスですが、正職員の率は39%しかなく、パート、アルバイト等非正規雇用が47%です。
パートの仕事を2つも3つも掛け持ちをしている場合もありますが、母子家庭の年間収入はわずか197万円に留まっています。
一方、父子家庭においても、子育てと仕事を両立させるために、やむを得ず非正規や派遣といった働き方になる場合があります。
残業や休日出勤が難しいため、転職を余儀なくされるなど、生活が安定しづらい状況で、収入が大幅に減ってしまうおそれがあるのです。
子どもの病気が何日も続いてしまうと、さらに収入が減ってしまったり、 どうしても雇用主からの信頼を得づらくなり、最悪の場合、リストラの対象になるなど失職してしまう可能性さえあります。
厳しい経済状況下にあるひとり親家庭にとって、病児保育問題は、貧困につながる大きな問題だといえるでしょう。
現在、日本のひとり親家庭の子どもの貧困率は54.6%と、先進国で最悪の水準です。
フローレンスのひとり親家庭支援
フローレンスは2008年7月からひとり親家庭の子育てと就労継続を支えることを目的に、病児保育の「ひとり親支援プラン」を始めました。
ひとり親家庭の親御さんが安心して働けるように、寄付会員(サポート隊員)の皆さんからの寄付金を原資に低価格での病児保育サービスを提供しています。
安心して子育てにも仕事にも打ち込めることが、ひとり親家庭の親御さんを、経済的にだけではなく、精神的にもサポートしています。
2年間の「ひとり親支援プラン」を卒業したひとり親の方からは下記のようなメッセージが寄せられました。
2年間、大変お世話になりました。
皆様に支えて頂いたお陰で、我が家がどれほど育児面、経済面、仕事面、そして何より精神面で「平安」を保つことが出来るようになったか計り知れません。
現在では、2人の子ども達もそれぞれ小4と小1になり、私も定職に就くことが出来ました。
「たくさんの方に応援して頂いているんだ、見守って頂いているんだ、支えて頂いているんだ」という感謝の気持ちが、新たに3人家族となって前進して行くための何よりの原動力となりました。
皆様の支えなくして、今の我が家はあり得ません。本当にありがとうございました。
子どもを育てるのは親だけではありません。
子どもが病気になってしまったが、どうしても仕事を休めない…そんな時に、周りからそっと手を差し伸べることができたら。
そんな想いで集まってくださったサポート隊員さんは、現在1,035名いらっしゃいます。
多くの親御さんが、この「ひとり親支援プラン」を利用することで、安心して仕事に向かうことができています。
また、フローレンスの病児保育スタッフは、子どもにとって、病気が辛いだけの思い出ではなく大切にされ楽しかった思い出になるように、と日々お子さんたちに向き合っています。
大変な状況を親子だけで抱え込むことがないように。どんな境遇の子どもも笑顔で暮らせる社会を実現するために。
どうか皆さんの力を貸してください!