プレスリリースを送る3つのルートとは?
プレスリリースが作成できたら、さっそく配布しよう。送る場所は、大きく3つ。以下、それぞれについて見ていこう。
<1>関係省庁の記者室
まず1カ所めが、自分たちのサービスに関連する省庁の記者室。記者室とは、公的機関などに置かれているメディア関係者のための部屋。厚生労働省なら、厚生労働省記者室というものがある。そこにある報道機関ごとのポストに直接リリースを投げ込み、記者のだれかに「おもしろそうだから連絡をとってみよう」と思ってもらう。実際、ソーシャル・ビジネスの場合、いまの社会問題を取り扱っていることが多く、しかもミッションが明確なので、マスコミに取り上げてもらいやすい。
<2>都道府県庁の記者室
各都道府県の庁舎にも記者室がある。ここにも出向き、各報道機関のポストに投げ込もう。ここで記者の目にとまれば、新聞の地域欄(例えば、都庁記者室に投げ込んで、日経新聞東京欄に載る、というような)で扱ってもらえる可能性がある。
<3>地方新聞に直接連絡
3つめは、地方新聞に直接連絡をとり、その後、個別の記者にプレスリリースを送る方法である。
地方に行くと、その地域限定で絶大な影響力がある新聞がある。東北だったら「河北新報」、東海や中部地方だったら「中日新聞」、九州だったら「西日本新聞」などが有名だろう。地元を中心にソーシャル・ビジネスを展開する場合には、こうした新聞に取り上げてもらえると相当な効果が期待できる。
地方新聞の場合には、記者室のポストに投函するだけでなく、直接、電話をしてみよう。そこでアポをとり、記者にプレスリリースを手渡すのだ。ただし、記者は基本的に忙しいから、「会ってくれ」とお願いしても、簡単には会ってくれない。ましてや取材をしてくれるなんて不可能に近い。なにせ、どこの馬の骨ともわからない人間を取材し、それがとんでもない誤報だった場合に、困るのは記者なのだから。
そこで、「私の身元ははっきりしています」とアピールする意味で、「紹介」ベースで連絡をとったほうがいい。アドバイザーだったり、ソーシャル・ビジネス仲間だったりに当たれば、1人や2人、地方新聞にツテがある人がいる可能性が高い。知り合いだったり、以前、取材してもらったり……。
そういう人が見つかったら、その記者の連絡先を教えてもらい、さっそく電話。「○○さんからご紹介いただいて、ご連絡をさせていただきました」と切り出せば、「あの人の紹介だったら……」と先方も話を聞いてくれる場合が多い。うまくいけば、そこで取材依頼を取りつけられるかもしれない。
ツテがない場合は、多少は食い下がるべし
一方、万が一、地方新聞のツテが見つからない場合には、ダメもとで、取り上げてくれそうな部署に直接電話。自分たちのサービスを説明し、会ってもらえないかとお願いする。断られてしまったら、今度はファクスなり、メールなりでプレスリリースを送付。その後、ふたたび電話して、「プレスリリースは見ていただけましたか? いかがでしょうか?」と食い下がる。
上記は基本的には新聞というマスメディアへのリーチの方法だが、ラジオやテレビも基本的には同じである。ただ、新聞はテレビラジオの担当者も読んでいることが多く、新聞に掲載されると他メディアにも波及することが多いため、狙い目である。
FAX等で媒体各社に一斉に送りつける、ということもしたことがあるが、投げ込みに比べると掲載確率が低いように感じている。一方、記者のメールアドレスをデータベースに入れて、プレスリリースを添付して送る、というやり方は、後々連絡先が溜まったら、投げ込みと並行的に行える良い手段となる。一方、どの新聞にも興味を持ってもらえなかったとしても、HPやSNSにプレスリリースを掲載しておくことはしよう。後から別枠の取材に繋がったりすることもあるからだ。
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