今年も保育園の入園不承諾通知が届き、SNSでは「#保育園に入りたい」という投稿が増えるなど、待機児童問題が顕在化しています。フローレンスでは、待機児童問題が特に深刻な地域に定員19名以下の小規模の保育園「おうち保育園」を開園するなど、待機児童問題の解決に取り組んできました。
一方で、待機児童の列にさえ並べない子どもたちがいることをご存知でしょうか?
待機児童にすらカウントされない子どもたち
日本の新生児医療は世界でもトップクラスです。救える子どもたちが増えた一方で、たんの吸引や胃ろうなど医療的ケアが必要な子どもたち(医療的ケア児)や重度の障害のある子どもたちは増えています。
しかし、医療的ケアや重い障害のある子どものケアを理由に一般の保育園では受け入れを断られてしまうことがほとんどです。また既存の療育施設をはじめとして、これまで障害のある子どもたちが長時間利用できる施設はほとんどありませんでした。このため、障害児の保護者は待機児童問題どころか、保育園に申請することさえ叶わず、仕事を諦めてしまうことがほとんどだったのです。
フローレンスでは「すべての子どもが保育を受けられ、保護者が働くことを選択できる社会」を目指し、2014年に杉並区で障害のある子どもたちの長時間保育を実現する日本で初めての保育園「障害児保育園ヘレン」を開園しました。看護師、作業療法士、研修を受けた保育スタッフがチームを組み、子どもたちが安心して過ごせる体制を作りました。経験を積んだ看護師がいるため、これまで預かりが難しかった「医療的ケア」を必要とする子どもの保育にも対応することが可能になりました。さらに8時から18時半の開園を実現し、長時間保育を実現しています。
子どもは子どもの中で育つ
障害児のいる家庭の就業率は健常児家庭の7分の1というデータがあります。実に障害児を持つ母親の95%が就業できていない現状に、「障害児保育園ヘレン」では風穴を開けることができました。しかし、「障害児保育園ヘレン」の意義はそれだけではありません。
ヘレンに通う子どもたちの中には、鼻からチューブで栄養を取る子どもたちもいます。一方で、別の場所に疾患があり、口から食事を取れる子どももいます。そんな子どもたちが関わりあう中で、「あの子のように口から食べられるようになりたい」という気持ちが芽生え、その子自身の発達も相まって、口から食事を取れるようになった子もいます。
また、子ども同士でおしゃべりを楽しんだり、歌をうたったり、遊びを中心とした療育をする中で子どもの発達が促され、成長につながることもあります。
こうして、スタッフも思いもよらない成長をとげて、複数の子どもたちが「障害児保育園ヘレン」を卒園し、一般の保育園に転園することができました。また一方で、ヘレンでの集団生活の実績を認められて、地域の認可保育園に転園することができた子もいます。
そして、こうした動きが認められて改正障害者総合支援法に「医療的ケア児」の文字が入ったり、2017年度から厚生労働省による医療的ケア児を一般の保育園で預かるモデル事業も開始されます。
「障害児専門の保育園」はベストの選択ではないかもしれない。それでも、「障害児保育園ヘレン」は障害の有無などにかかわらずともに成長することができる「インクルーシブ保育」への第一歩となればいい、そんな気持ちで開園を続けています。
江東区・しののめに「障害児保育園ヘレン」4園目が開園
「障害児保育園ヘレン」は1園目の杉並区・荻窪に続き、2016年7月に豊島区・巣鴨、2017年2月に世田谷区・経堂に開園しました。そして、2017年・6月には特に待機児童問題が深刻といわれる江東区の湾岸地域、東雲に開園します。親御さんはフルタイムに限りません。週2(週16時間〜)からでも、利用できるので、パートから仕事に復帰したい、というご家庭でも対象です。
「障害児保育園ヘレンしののめ」では、重症心身障害児5名をお預かりします。同じ建物の中に認可保育園「みんなのみらいをつくる保育園」を併設するため、交流保育も予定しています。
入園をご希望される方に向けて、2017年2月26日(日)に説明会を開催しますので下記よりお申込みください。
また、この情報をSNSなどで広く知らせていただくことでお困りの方に情報が届きます。ぜひシェアやリツイートなどによる拡散をお願いします。
障害児保育園ヘレン東雲(しののめ)6月にオープン!利用者説明会が2月26日(日)開催!
障害児保育問題へのご支援もお待ちしております。