日本の「子どもの貧困」の背景にある、ひとり親家庭の問題
「子どもの貧困」という言葉はここ数年で少しずつ聞かれるようになってきたものです。
これまでは、「貧困は自己責任」という考え方も多く、大人の貧困に日本の社会は長い間無関心でした。子どもの貧困という言葉が出てきて、ようやく貧困が自己責任とは言えないことが理解されつつあります。
子どもの貧困が生まれる背景のひとつに、日本のひとり親家庭の生活の困難さがあります。
日本の母子家庭の就労率は80.6%で世界でもトップクラスですが、正職員の率は39.4%しかなく、パート、アルバイト等非正規雇用が47.4%です。
パートの仕事を2つも3つも掛け持ちをしている場合もありますが、母子家庭の64%が年収200万円以下に留まっています。
一方、父子家庭においても、子育てと仕事を両立させるために、やむを得ず非正規や派遣といった働き方になる場合があります。
残業や休日出勤が難しいため、転職を余儀なくされるなど、生活が安定しづらい状況で、収入が大幅に減ってしまうおそれがあるのです。
現在、日本のひとり親家庭の子どもの貧困率は50.8%と、先進国で最悪の水準です。(厚生労働省2017年6月27日発表「2016年国民生活基礎調査」)
ひとり親家庭にとって、子どもの病気は最大のピンチ
さらに、父親もしくは母親がひとりで仕事も子育ても担っているひとり親世帯にとって、子どもの病気は死活問題です。
ひとり親世帯は共働き家庭のように「両親が交代で会社を休み看病をする」といった対処ができず、自分が休むしかありません。
子どもの病気が何日も続いてしまうと、さらに収入が減ってしまったり、 どうしても雇用主からの信頼を得づらくなり、最悪の場合、リストラの対象になるなど失職してしまう可能性さえあります。
厳しい経済状況下にあるひとり親家庭にとって、病気の子どもを預かってもらえない病児保育問題は、貧困につながる大きな問題だといえるでしょう。
2008年からスタートしたフローレンスの「ひとり親家庭支援」
フローレンスは、2008年7月からひとり親家庭の子育てと就労継続を支えることを目的に、病児保育の「ひとり親支援プラン」を始めました。
ひとり親家庭の親御さんが安心して働けるように、寄付会員(サポート隊員)の皆さんからの寄付金を原資に、低価格での病児保育サービスを提供しています。
安心して子育てにも仕事にも打ち込めることが、ひとり親家庭の親御さんを、経済的にだけではなく、精神的にもサポートしています。
2年間の「ひとり親支援プラン」を卒業したあるひとり親の方からは下記のようなメッセージが寄せられました。
2年間、大変お世話になりました。
皆様に支えて頂いたお陰で、我が家がどれほど育児面、経済面、仕事面、そして何より精神面で「平安」を保つことが出来るようになったか計り知れません。
現在では、2人の子ども達もそれぞれ小4と小1になり、私も定職に就くことが出来ました。
「たくさんの方に応援して頂いているんだ、見守って頂いているんだ、支えて頂いているんだ」という感謝の気持ちが、新たに3人家族となって前進して行くための何よりの原動力となりました。
皆様の支えなくして、今の我が家はあり得ません。本当にありがとうございました。
子どもを育てるのは親だけではありません。
子どもが病気になってしまったが、どうしても仕事を休めない……そんな時に、周りからそっと手を差し伸べることができたら。
そんな想いで集まってくださったサポート隊員さんは、現在のべ2,387名いらっしゃいます。そして、今までに920名のひとり親家庭のお子さんに病児保育を届けることができました。
多くの親御さんが、この「ひとり親支援プラン」を利用することで、安心して仕事に向かうことができています。
また、フローレンスの病児保育スタッフは、子どもにとって、病気が辛いだけの思い出ではなく、安心して身体を休めることができ少しでも楽しかった思い出になるように、と日々お子さんたちに向き合っています。
大変な状況を親子だけで抱え込むことがないように。どんな境遇の子どもも笑顔で暮らせる社会を実現するために。
どうか皆さんの力を貸してください!