フローレンスの障害児保育園ヘレンでは、障害や医療的ケアのある子どもを長時間お預かりしています。
そんなヘレンでの保育は、いわゆる普通の認可保育所と、どう違うのでしょうか?
預かる子どもの障害の度合いや発達状況はさまざま、そして保育士だけでなく看護師やリハビリスタッフといった多職種が連携して保育の流れを作る……それがヘレンの特徴ですが、なかなか言葉だけではイメージしづらいかもしれません。
そこで今回は、世田谷区にあるヘレン経堂の1日を紹介します。どんな部屋で、どんな子どもが、どんな保育を受けているか、写真を通してきっとイメージがわくのではないでしょうか。
9:00 登園
登園すると、まずは看護師を中心に、子どもの健康状態のチェックを行います。
どのような疾患や医療的ケアがあるかは、子どもそれぞれ。ひとりひとり、状態に合わせたチェックを行い、必要に応じてスタッフ間で共有します。
10:00 体操
ヘレン経堂には、重症心身障害児(※)中心のれんげ組と、歩いたりお話したりできるたんぽぽ組の2クラスの子どもたちがいます。
体操の時間は、たんぽぽ組・れんげ組一緒に、保育スタッフの歌に合わせて楽しく体操します。
体操の中では、手や足を握ってマッサージし、優しい刺激を与えて、触る感覚を楽しんでもらいます。
10:30 朝の会
体操の後は朝の会を行います。
たんぽぽ組では、みんなで椅子に座って、保育スタッフがひとりひとりお名前を呼んで返事してもらったり、今日は何月何日?というのを問いかけて答えてもらったり。
普通の保育園での朝の会と変わらないやり取りで、子どもとのコミュニケーション、集団生活の基礎を作ります。
れんげ組でも、朝のあいさつとして保育スタッフがお子さんに声がけをして、明るい声や表情で楽しい1日の始まりを伝えます。
11:00 午前の活動
保育スタッフが計画を立て、その日ごとにさまざまな活動を行います。
例えばある日は、さまざまな布を使っての遊び。カラフルな布をみんなで触って、鮮やかな見た目とさらさらとした触感を楽しんでみたり……
その上で風船遊びをして、お互いに風船を投げあって遊んだりします。
自分では動くことが難しいれんげ組でも、保育スタッフが子どもを小さなハンモックに入れてゆらゆらと揺らすなど、さまざまな工夫をして、楽しい遊びと刺激の時間を作っています。
また、朝の会や活動の合間に、たんの吸引などの医療的ケアを行うことも。保育、看護スタッフなど、多職種が連携するヘレンならではの光景です。
担任制のような、マンツーマンでケアをする子どもが決っているわけではないので、保育スタッフと看護師がチームを組んで、保育の中で必要な医療的ケアなどを行っていきます。
11:30 昼食
午前の活動が終わると、お昼ごはんの時間。
食べたり、飲み込んだりする力が未発達な子どもも少なくないため、食事はご家族が用意したお弁当を、スタッフが補助しながら、園で食べます。
お口から食べる子もいれば、経管栄養の子もいます。経口摂取の子は保育スタッフ、注入の子は看護師が担当します。
ひとりひとりにスタッフが丁寧に寄り添い、食事の介助をしながら、少しずつ「食べる練習」をしていきます。
時には、経管栄養でチューブからご飯を食べていた子が、口からもぐもぐ食べるお友達の様子を見て、経口食にチャレンジ!なんてことも。
楽しい食事の時間の中で、それぞれの発達に合った食べる練習を、スタッフと一緒に重ねていく。ヘレンのお昼ごはんは、とても大事な時間です。
12:30 午睡
食事のあとはお昼寝の時間です。
普通の保育園でも、睡眠中の呼吸のチェックを行いますが、ヘレンでは酸素などの医療的ケアを必要とする子どももいます。
看護師を中心に、医療器具などを用いて、子どもの状態をチェックしながら見守りつつ、スタッフも交代で休憩をとります。
14:00 職員ミーティング
お昼寝の間、子どもたちの安全を見守りながら、保育・療育・看護スタッフ・園長が保育・療育の計画や一人ひとりの子どもの発達について情報交換・共有を行うミーティングの時間をとります。
15:00 おやつ
お昼寝が終わって、ひと息ついたら、おやつの時間です。
スナックやお茶など、それぞれの子どもに合ったおやつを食べて楽しみます。
お昼ごはんの時間だけでは足りない分の食事を、チューブからとる子どももいるため、看護師が様子を見ながら対応します。
15:30 午後の遊び
おやつの後は、五感の発達を促しリラックスできるような活動です。
普通の保育園と同じように絵本を読んだり、スヌーズレンや、ボール、絵の具、など、まさに五感を使って楽しめる遊びも。
子どもたちの「自分でやってみたい」「参加したい」という気持ちを引き出せるよう工夫して、スタッフは遊び方を考えています。
16:00〜 降園
16時ごろから、ご家族が迎えにきて順次降園となります。
お迎えにきた保護者と、お子さんの様子・家庭での過ごし方についてお話し、次の日の保育に備えます。
子ども達の育ちに合わせて、保育計画を作り、その日の保育内容をスタッフ同士で話し合い、進めていく・・・そんなところは、ヘレンも普通の保育園と変わりません。
いっぽうで、一人ひとりの障害や医療的ケアに応じた適切な処理が、保育スタッフ、看護師、リハビリスタッフといった多職種連携の中で行われているのが、ヘレンの特徴です。
●障害児保育の利用者募集
「障害児保育園ヘレン」「障害児訪問保育アニー」では毎月の利用希望者向け説明会を実施しています。
「どんな保育をしているの?」「利用条件は?料金は?」など、実際の保育の映像を交えながらご説明し、不安や疑問にお答えします!お子さんやきょうだい児も同伴可能です。この機会に、ふるってご参加ください!
子どもたちの個性も発達もそれぞれ。ヘレン経堂の14人の子ども達には、14通りの日々の保育があります。バラエティに富んだ保育の現場だからこそ、毎日が発見の連続だとスタッフは言います。
そんな障害児保育園ヘレンの現場に興味があるかも、と思ったあなた、ぜひお仕事説明会に来て、もっと詳しくお話を聞いてみませんか?お待ちしています!
障害児保育園ヘレンは、開園費用やスタッフの研修など、皆さんからの寄付が事業のために欠かせません。ぜひ、ヘレンを寄付で応援して下さい。
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撮影:赤堀 雛