本日6/21、フローレンス代表駒崎が発起人のひとりとなった「なくそう!子どもの虐待プロジェクト2018」による緊急記者会見を開催しました
記者会見では、駒崎のほか発起人のひとりであるNPO法人キッズドア代表理事渡辺由美子さん、共同発起人である国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗さん、東京都で里親、ファミリーホームを運営するホッブス美香さん、本キャンペーンのスポンサーである一般財団法人村上財団代表理事の村上絢さんが登壇。
プロジェクト発足の経緯と署名キャンペーンの進捗状況を説明、そしてメディア関係者からの質問に答えました。
相次ぐ虐待事件の報道もあり、メディアからの関心も高く、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、東京新聞、東洋経済、日経ビジネス、共同通信、時事通信、TBS、日本テレビ、テレビ朝日、NHK、TOKYOMX、文化放送、BuzzFeed Japanなど合計30メディア50名の報道関係者の方にお越しいただきました。
小児科学会の推計では、日本で虐待で亡くなる子どもは毎年350人程度。1日に約1人、子どもが殺されている計算です。
日本の虐待対策はその状況をなかなか改善できていません。児童相談所はいつでも「マンパワー不足」。ITの仕組みも十分とは言い難く、児童相談所がケアしていても、転居などで居場所がわからなくなってしまった子どもはFAXで探している現状です。
毎日約1人、子どもが虐待で死んでいくことを救えないのは、私たち大人と、大人たちが選んだ政治家と行政の責任です。我々の納めた税金を、きちんとした予算という形で子どもを守ることに使ってもらうため、専門家の方々の知見を踏まえた、以下の8つの総合的な対策を求めるというのが今回のキャンペーンの主旨です。
<児童虐待八策>
(1)児童相談所の人員を大幅に増加させ、さらに常勤弁護士を設置してください。合わせて市町村の虐待防止体制の強化を
(2)通告窓口一本化、児相の虐待情報を警察と全件共有をすること、警察に虐待専門部署(日本版CAT)を設置することを含め、適切な連携を検討する会議を創ってください
(3)児相が積極的に司法を活用できるよう、児相の組織改革を!
(4)リスクの高い場合すぐに一時保護できるよう、一時保護所・里親・特別養子縁組の拡大と支援を推進してください
(5)児童相談所間でケースを共有できるITシステムを導入・推進してください
(6)東京都で11個の児相は少なすぎます。特別区・中核市の児相設置を急いでください
(7)若年妊娠リスクや子育てについて早期から知る、包括的性教育を義務教育でしてください
(8)これら全てを迅速に実行できる十分な予算を確保してください
※詳細はキャンペーンサイトをご覧ください
記者会見では、今回のキャンペーンの発足の趣旨や署名の進捗について駒崎から説明し、登壇者それぞれよりコメントをいただきました。
村上絢さん(一般財団法人村上財団 代表理事)
私自身も2歳と3歳の子どもを育てる親でもあり、児童虐待は大きな問題だと考え、今回キャンペーンを支援しています。
たとえば目黒区には児童相談所がなく、渋谷区が2区を管轄しているなど、現在圧倒的に児童相談所の数がたりない現状です。
虐待事件の再発防止のためには、制度を変えていくことが必要だと思っています。
土井香苗さん(ヒューマン・ライツ・ウォッチ 日本代表)
日本は国として、「子どもの権利条約」に批准しており、そこには子どもの基本的権利として「暴力を受けない権利」が明言されています。国として子どもへの暴力を防ぐシステムを作る義務が国にはあります。児童虐待八策にあるような施策を、地方自治体、都道府県、国がまだ着手できていないことが問題です。
私たちは社会的養護におかれた子どもたちの人権状況を調査しています。残念ながら日本の子どもの権利は、他の国と比較して遅れています。全ての子どもが愛情ある家庭で育てられるべきですが、家庭での養護という点で特に、日本は大きく遅れています。
渡辺由美子さん(NPO法人キッズドア 代表理事)
キッズドアでは低所得家庭の子どもの学習支援を行なっていますが、その中で日々感じているのは、貧困と虐待に相関があるということです。亡くなるというところまでいかなくても、家庭環境が厳しい状況で育つ子も多いです。
児童虐待の事件があると、児童相談所や親を責める意見も見られますが、それだけでは変わりません。
虐待が、どういう家庭でどういう状況で発生するかを理解し、それを防ぐ仕組みを作っていかなければなりません。このような不幸を再発させてはいけないのです。福祉の現場では、誰もががんばっています。国民全体で、予算をつけて、戦って行く必要があります。
ホッブス美香さん(東京都里親、ファミリーホーム)
結愛ちゃんがもし保護されていたら、どこにいっていたでしょうか。おそらく、もとのうちに帰ることはなかったでしょう。
社会的養護の場合、一時保護から、最終的に里親委託となるケースはまだ多くありません。日本もようやく児童養護施設のような施設養護から里親へと移行する転換期を迎えています。
しかし、地域社会はまだ、里親のような代替養育に対する偏見が強く、里親家庭の引っ越しが断られるなどという事例もあります。
虐待、貧困の原因になる社会養護三大要素として、貧困、シングルマザー、エスニックマイノリティ(多国籍)が挙げられますが、地域でまだまだ受け入れられないケースが散見されます。多様な家族を、地域で受け入れていくんだという姿勢が大切です。
「虐待された子どもがかわいそうだ」という意見で終わってしまわないようにしてほしいと思っています。
その後の質疑応答では、児童相談所と警察の全件共有や親権停止といった八策の内容や、親の支援という観点での施策など、さまざまな観点で29件以上の質問をいただきました。質疑は40分近くに渡って続き、ご来場いただいた方々の問題意識の強さが強く感じられました。
今回の署名キャンペーンでは、共同発起人である犬山紙子さんやつるの剛士さん、福田萌さん、眞鍋かをりさんらをはじめ、芸能・文化、 ビジネス、 アカデミック、 医療、 ソーシャル等の各分野で150名以上の賛同者が署名を呼びかけてくださいました。
それによって署名数も、2018/06/21 15:30時点で96,797にのぼっています。この問題に対する問題意識の高さ、そしてその問題を解決したいという多くの方の思いが目に見えるようになりました。
6月中に、この署名を政府(厚生労働省加藤厚生労働大臣)、東京都(小池都知事)に直接届け、国と都を中心に児童虐待を防ぐための施策に取り組んでいくよう伝えていきます。
まだ、署名をなさっていない方は、ぜひ以下のサイトから署名と、メッセージを寄せていただければ幸いです。
キャンペーン · もう、一人も虐待で死なせたくない。総力をあげた児童虐待対策を求めます! · Change.org