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お知らせ

2019/04/04

「食物アレルギー」の正しい知識を身につけ、事故を未然に防ごう!【2月保育塾】

 


近年食生活の変化によって、アレルギーを起こしやすい食物をよく食べるようになったことが原因のひとつと考えられている「食物アレルギー」。

現在、国民の3人に1人が何らかのアレルギーを持っているといわれています。

また「食物アレルギー」は、少しでも対応を誤ってしまうと命に危険を及ぼす事故に繋がりかねません。

保育者として、安心・安全にお子さんをお預かりするためにも「食物アレルギー」について正しい知識を身につけることがとても大切です。

そこで2月の保育塾は、【「食物アレルギー」の正しい知識を身につけ、事故を未然に防ごう!】をテーマに開催しました。

保育塾とは、フローレンスの全ての保育現場スタッフに向けた自主参加型の研修のこと。現場スタッフの「知りたい!」「学びたい!」に応えられるように、毎月違うテーマで研修を行っています。

今回の講師は、みらいの保育園事業部の栄養士・田崎広恵と小倉優香が担当しました。

DSC_0002

栄養士の2人は、給食運営を実践したり、園で働くスタッフからの食事についての疑問、悩みに応えたり、保育と食の橋渡し役として日々活躍しています。

「食物アレルギー」とは?

食物アレルギー

「食物アレルギー」というのは、特定の食べ物に含まれる「アレルゲン(※)」に「免疫」機能が過剰に反応してしまい、体にさまざまな症状をおこすものです。
※アレルギーの原因となる物質。 ほとんどはたんぱく質

「免疫」はもともと体に害となるものを排除する働きです。

通常は、体の栄養源となる食べ物が消化され吸収されても反応しませんが、免疫機能や消化吸収機能になにかの問題があると、吸収された食べ物を害があるとみなして排除しようとし、そのため多くの症状がおこるとみられています。

なお、食物アレルゲンは口から摂るだけでなく、吸入や皮膚接触などの経路から入ることもあり、いずれもの経路でもアレルギー症状がおきた場合には「食物アレルギー」といわれます。

「食物アレルギー」は、3歳以下での有病率が高い!

発生年齢分布

乳児期は、アレルギーマーチ(※)の始まりの時期であり、食物は最初に出会うアレルゲンといわれています。
※アレルギーマーチとは:乳児期から成長するにつれて、次々に異なるアレルギー疾患が連鎖的に現れる現象。

フローレンスの運営する小規模保育「おうち保育園」でお預かりしているお子さんの年齢は、0歳~2歳児まで。

「食物アレルギー」を持っているお子さんがいるのはもちろん、保育園でお預かりしている際にお子さんが「食物アレルギー」を発症してもおかしくはありません。

お子さんが食物を食べた後に、じんましんなどの皮膚症状や呼吸器症状、消化器症状などが出てしまった場合、以下の項目を記録しておいたり、症状の様子を写真にとって残しておくことが大切であると田崎は言います。

・何を食べたか。

・どれだけ食べたか。

・食べてから発症までの時間は?

・症状の持続時間は?

・症状の特徴

・症状の再現性はあるか?

なぜなら、原因食物の特定の際に、これらの記録が診断の参考に多いになるためです。

集団保育で気をつけなければいけない「誤食」の事故

それでは、実際に保育をする上で「食物アレルギー」をもったお子さんへの配慮は何が必要なのでしょうか。

集団保育で「食物アレルギー」の事故で最も多いのが「誤食」

誤食が発生する理由としては、以下のようなことが挙げられます。

・配膳の誤り

他児の配膳物をアレルギー対応児に誤って配膳してしまう

・アレルギー原因食品の除去対応漏れ

今日のこの献立なら卵は入っていないだろうから、大丈夫だ」というような思い込みでの除去食品の対応を誤ってしまう

・おかわり時の誤り

保育者がおかわりを自由に取りに行ってしまい、アレルギー対応児が除去食品以外のものを誤って食べてしまう

このように保育者の目が離れてしまうと事故が起こる可能性があります。

また、アレルギー対応を始めた頃にはきちんと対応していた事も、対応への慣れにより気が緩んでしまう時期もあるので、定期的に対応の見直しを行うことも大切です。

保育の現場で「誤食」を防ぐために

次に、実際に栄養士の田崎・小倉が保育園の給食運営で行っている、誤食を防ぐための工夫をご紹介します。

①完全除去対応にする

部分除去を認めてしまうと、調理や配膳が煩雑になってしまうだけでなく、作業のために広いスペースが必要となってきます。

また部分除去の段階では、子どもが体調の悪い時等に症状が出る可能性もあります。

②使用する食材(提供する食材)のパッケージを事前に確認する

アレルギー表記や原材料表記を確認し、アレルギー原因食品が入っていないか確認を行います。

今回の保育塾では、市販で販売されているアレルギー表記のルールや表記の読み取りかたについてクイズ形式で考えるワークショップがありました。

詳細は、記事の後半でお伝えします!

③ダブルチェックを重ねる

献立表を用いて当日の給食の除去の有無を保護者と保育者で確認し、調理後の配膳前に園のスタッフと調理者が確認を行います。

また、全職員が把握できるように、除去食品の有無をボードに記入して、見える化するのも1つの方法です。

④見た目で誰でもわかるようにする

アレルギー対応児だけ食器の色やトレーを変えたり、トレーに「〇〇除去」と記載します。

除去したものを盛り付けた際は、ラップをして除去したものを何に変更したかも明記すると分かりやすくなります。

園児名

⑤アレルギー対応児が他園児の食べ物に手が届かないようにする

アレルギー対応児の隣・正面で他児を食事させないように、隣に保育者が必ず1人つき、他児との接触が少ないよう配慮します。以下の配置図通りです。

配置図

しかし、アレルギー対応児が、食事の時間友だちと楽しく食べれるよう声掛けなどの工夫も大切です。

⑥アレルギー対応児の盛り付け・配膳は一番始めに行う

一番始めに盛り付けたら、他園児のものと隣接しない場所にラップをして置いておきます。

⑦アレルギー対応児のおかわりは取りに行かない 

おかわり分を踏まえて盛り付けを行うか、配膳時にアレルギー児の食事の乗ったトレーに初めからおかわり分を乗せておきます。

「おかわり」の際に誤って除去すべき食品を食べてしまう誤食事故が大変多く起こっています。

子どもたちの食べたい気持ちに寄り添いながらも、誤食事故が起こらないよう工夫することが大切です。

⑧ ①~⑦で挙げた対応を毎日行うことが最も重要!!

「今日は、アレルギー対応児の除去食品がないから、ダブルチェックはしなくていいや」

「子どもたちが泣いているから、今日は調理者との献立チェックは止めておこう」 などなど。

このような気の緩みや、思い込みでの誤食事故が多く発生しています!

当日の除去食品の有無に関わらず、日々繰り返し行うことで、ルーティン化され、誤食事故防止に繋がります。DSC_0004

実は知らなかった!「加工食品のアレルギー物質の表示ルール」

ここまでは、集団保育で気をつける「誤食」事故を防ぐためのお話がメインでした。

フローレンスでは、訪問型保育といった、お子さんのご自宅に保育者が伺い、マンツーマンで保育を行う、病児保育や障害児訪問保育アニーなどもあります。

( 病児保育の詳細はこちら / 障害児訪問保育アニーの詳細はこちら 

訪問型保育では、食品の確認は保護者との朝の引き継ぎ時のみ

マンツーマンの保育だからこそ、朝の保護者と短時間のやりとりの中で、お預かりした加工食品のアレルギー物質を正確に読み取ることはより重要になってきます。

今回の保育塾では、加工食品のアレルギー物質の表示ルールについて、クイズ形式で楽しく学びました。

加工食品のアレルギー物質の表示ルール

表示される物質ですが、表示義務があるものと表示推奨されるものがあります。

表示義務があるものを特定原材料といいます。
これに該当するのが、「卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに」の7品目です。

表示推奨があるものを特定原材料に準ずるものといいます。
これに該当するのが「くるみ・大豆・ごま・さば」など20品目です。

大豆アレルギーがある場合は、大豆は特定原材料に準ずるものなので、市販の食品を購入する際には、アレルギー表示がされていない可能性もあります。

そのため、より慎重に確認する必要があります。

表示されるアレルギー物質の表記は1つではない!?

表示対象となる食品が含まれている場合は、原則として食品の「原材料名欄」に表示されています。

しかし、ここにはからくりがあります。

実は表示されるアレルギー物質の表記は1つではないんです。それを「代替表記」や「拡大表記」といいます。

下記の図をご覧ください。

特定原材料

「代替表記」「拡大表記」に記載されている食品は、該当する特定原材料が含まれているものとして、暗黙の了解で表示がされています。

例えば、特定原材料の「乳」の欄を御覧ください。

「ミルクは予想できるけど、バターオイルだと一瞬分からなくなってしまうかも……」など参加者からも不安の声が上がりました。

クイズ形式で学ぼう!

表示ルールや代替表記などを学んだところで、復習を含めて食品アレルギー表示のクイズタイムが始まりました。

栄養士小倉から、以下の出題です。

2月保育塾

こちらは、私達の生活にとても身近な「チョコレート」の原材料名です。

小倉は、原材料の中に「乳アレルギー」の原因成分があるといいます。

みなさんはお分かりでしょうか?

DSC_0027

正解は・・・・
==========================
【卵アレルギー】
 全粉乳、乳糖、生クリーム
==========================

参加したスタッフの中には「ココアバターも乳が含まれているかと思った」などの声も。

ココアバターは、ローストしたカカオ豆をすりつぶして作った「カカオマス」を圧搾して取った脂肪分のため、「乳」は使われていないんです。

こうしたアレルギー表示の読み取りは、慣れと経験が必要。

日頃から、スーパーやコンビニに行った際にはアレルギー表示に目を通してみるのもいいかもしれませんね。

さいごに

最後に栄養士2人から、災害時に食物アレルギーのお子さんが誤食をしないための防止法の話もありました。

東日本大震災の際、避難所で悲しい事故が起こってしまいました。

お子さんに食物アレルギーがあることを知らず、原因食品の入ったものを心優しい方が与えてしまい、お子さんが死亡してしまった事故です。

災害時にこのようなことで命が奪われないためにも、避難時に太いテープ(又はTシャツ)と油性ペンを持参し、食物アレルギーのお子さんの胸等目立つところに「◯◯アレルギーなので◯◯を食べさせないで下さい」と記載したテープを張っておくと、誰もが一目瞭然になります。

また、災害と同じようにいつ起こってしまうか分からないのが「食物アレルギー」の事故。ちょっとした気の緩み、曖昧な判断で、取り返しのつかない事故が起こってしまうこともあります。

日頃、子どもたちの命を最前線で守っている保育者だからこそ、今回の「食物アレルギー」の学びを日々の保育で活かしていってほしいと思います。

次回の保育塾は『4月までに学びたい「ラポール形成」~保護者との信頼関係をつくるには~』をテーマに開催します。

報告記事も近々公開いたします。お楽しみに!

▼保育塾に参加できるのはフローレンスの保育スタッフだけ!
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書いた人:重松千佳


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