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アクション最前線

2024/07/31

立ち上げ1年で11組の出産をサポート 提携病院と共に孤立出産から妊婦を守る~無料産院事業

  


誰にも言えない予期せぬ妊娠
安心して赤ちゃんを産める場所をつくる

予期せぬ妊娠、誰にも言えない。いったいどうしたら…… 経済的困窮などさまざまな理由から孤立した妊婦が安心して健診を受けられ、赤ちゃんを産める、それがわたしたちの「無料産院」です。

赤ちゃんの遺棄・虐待をなくしたいとの思いから、「無料産院」事業を始めて一年が経ちました。この事業は、経済的困窮やさまざまな困難で医療機関を受診できずに苦しむ妊婦に対し、妊婦健診・出産費用をフローレンスが代わりに支払い、安心して医療機関を受診してもらう取り組みです。その結果、未受診のまま孤独に出産するリスクを防ぎ、母子の安全を守ることができます。

提携病院と共に ~孤立出産から妊婦を守り支援につなげる~

提携病院との協働で妊婦を孤立出産から守る
その取り組みの要は提携病院にあります。一人でも多くの妊婦を支援するためには、各地の病院との提携が不可欠です。しかし、この事業は医療機関の通常業務を超えた「福祉的業務」にあたるため、病院にとって大きなチャレンジとも言えます。

また、相談対応は医療報酬の対象でなく無償となるため、業務フローや役割分担の整理といった病院内部での整えが必要になります。このような無償での対応へ人員・リソースを割くのかどうか、は組織の風土にも大きく左右されます。現在フローレンスが提携している病院は、特定妊婦や新生児遺棄問題について課題感を持つ、さらには子育て支援などの福祉分野で活動を行っているといった共通項があり、事業に参画しています。

事業開始から一年を経た今、提携病院は4つに増え、それぞれの病院で11組の妊婦と赤ちゃんを孤立出産から守ることができました。実際に相談された方々の事例から言えることは、「無料産院」が、公的な支援からこぼれ落ちてしまう人たちへのセーフティーネットになっている、ということです。
実際に行政からのご相談が想像以上に多くありました。

あっても届かない公的支援
制度の穴を埋める無料産院事業

出産に関する国の支援策として「助産制度」はあります。しかし前年度の収入が一定を超えると対象外となり利用できません。また、非正規雇用者の場合、出産育休などの手当がない場合もあります。妊娠していても生活のために仕事を続けなければならず、病院に行きたくてもお金が払えないために受診できない妊婦がいます。実際に「無料産院」で支援した方の一人は、シングルマザーで非正規社員として肉体労働をしながらどうにかこどもを育てている方で、妊娠が分かったもののお腹のこどもの父親には経済的に頼ることができず、仕事を続けることもできなくなり、困窮状態に陥ってしまっていました。

役所や保健所に相談したものの、経済的支援を受けることができない場合、自宅やその他の場所で産んでしまったり、最悪を想定すれば赤ちゃんを遺棄してしまうことに繋がる可能性があります。救急車を呼び、病院へたどり着いて駆け込み出産になればまだいいのですが、それでも未受診での出産は、感染症の危険性など、病院にも母子にも大きなリスクを伴います。

最前線で相談対応をする役所や保健所の職員は、行政の経済的支援の対象外となる妊婦の相談を受けた場合、「お金の支援はできないけれど、病院に行ってね」というしかないのが実情です。そんなときに、「出産までの費用は心配ないよ」と伝えて無料産院の提携病院を紹介できるのは、行政側にとっても心強いものだと言えるでしょう。「無料産院」事業ではこのような、困難を抱えているが公的な支援を受けることが難しい人たちに対して、安心して医療機関につながってもらえるよう、サポートしています。

自分自身と赤ちゃんに向き合い、これからを考える

出産後の生活設計を行うためには心の余白が必要です。一時的なお金の心配を取り除くことで、これからの生活を具体的に考え、自分で選択することができます。これまで支援させていただいた方々には、母子生活支援施設に入る、生活保護を受ける、疎遠になっていた家族との仲を元に戻す、頼れる人を見つけるといったことがありました。妊娠をきっかけに社会的孤立に追い込まれていた方が無料産院支援をきっかけに繋がりを取り戻していくことを大切に考えています。

「無料産院」が目指す社会

今後の無料産院事業は、提携病院を各地に増やし、支援を広げていくことを目指しています。また、各地で収集した事例をもとに、国や自治体へよりよい制度づくりのための提言もこれからの大きな課題です。「誰もが安心して出産できる社会」。こうした社会を目指して、わたしたちはこれからも力を尽くしていきたいと思ってます。


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