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アクション最前線

2024/10/10

保育園が地域の子育て家庭を見守っていくために必要なこと【自治体向け勉強会 開催報告】

  


フローレンスは2024年3月に、地域子育て機関の整備に取り組む自治体向け勉強会『保育園等を通じた地域の見守り体制強化のための勉強会』を開催しました。

今回の勉強会のテーマは「保育園等を通じた地域の見守り体制強化」

自治体・保育施設の運営団体の関係者など、145名の方にご参加いただきました。

児童虐待を未然に防ぐためには、自治体や民間団体など様々な関係機関が連携して、子育て家庭を見守っていくための地域の体制を強化していくことが重要です。

子育て家庭にとって身近な存在である保育園等(※)を通じて、地域の見守り体制を強化していくために必要なことは何なのか。

勉強会の中では、保育園等を通じた地域の見守り体制強化が求められる実態・政策動向を追いながら、子育て家庭への見守りにおける保育園の有効性、そして保育園が子育て家庭への見守りを既に担っている実態を、事例やアンケート結果を交えてご紹介させていただきました。

勉強会後、参加者からは、

「実践事例がとても参考になり、勉強会をまた開いてもらいたいです」(保育施設運営団体)

「相談や支援につながりにくい家庭の対応が難しい。保護者支援のノウハウについて、保育者向けの研修を積極的に実施してほしい」(自治体)

などの感想や意見が出ました。

(※)本勉強会では、保育所、幼稚園、認定こども園、その他小規模保育事業等の総称として「保育園等」という言葉を使用しています。

 【勉強会概要】
・タイトル:保育園等を通じた地域の見守り体制強化のための勉強会
・主催:認定NPO法人フローレンス みらいのソーシャルワーク事業部(現:支援を広げる事業部)
    保育ソーシャルワークチーム
・内容:
 1 保育園等を通じた地域の見守り体制強化が求められる実態・政策動向
 2 保育事業者による事例紹介
 - 幼保連携型認定こども園るんびにこどもえん
 (自治体と連携して家庭支援に取り組まれている事例)
 - フローレンスおうち保育園かしわぎ
 (地域の子育て支援拠点としての実践事例)
 3 保育園等を通じた地域の見守り体制強化のために大切なポイント

子育て家庭の身近な相談支援機関として注目される保育園

昨今では児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える家庭がこれまで以上に顕在化してきています。

そういった状況を踏まえ、子育て家庭への包括的な支援体制の強化などを行うために、令和4年6月に改正児童福祉法が成立しました。

勉強会の冒頭では、こども家庭庁虐待防止対策課 武居様、成育環境課 大野様にご登壇いただき、改正児童福祉法の中で扱われている「こども家庭センター」および「地域子育て相談機関」についてご紹介いただきました。

「こども家庭センター」は市区町村により設置される子育て家庭等を包括的に支援するための機関です。

一方、「地域子育て相談機関」は行政機関である「こども家庭センター」よりも子育て家庭にとって身近な存在として設置される相談支援機関で、「こども家庭センター」を補完する役割として位置づけられています。

この地域子育て相談機関の実施場所として「保育所、幼稚園、認定こども園、地域子育て支援拠点事業の実施場所、児童館」などが挙げられており、保育園等が子育て家庭にとって身近な相談支援機関として注目されていることがわかります。

保育園は行政機関と連携しながら、地域の子育て家庭を支えてきた

子育て家庭にとって身近な相談機関として注目される保育園等が、これまでどのように行政機関と連携し、子育て家庭を支えてきたのか。 事例紹介として、「連携先としての保育園の実績と課題」について幼保連携型認定こども園るんびにこどもえん 楢﨑様よりお話いただきました。

るんびにこどもえんは行政から頼りにされており、様々な事情があり、個別の配慮の必要な子育て家庭も通園していますが、「『支援』ではなく、『いっしょに子育て』」という理念を大事にされています。

セミナーの中では、

保護者とのコミュニケーションが難しい場面があっても、まずは保護者やこどもの困りごとや事情を理解し、「一方的な価値観やルールを押し付けたり、否定をしたりしないこと」を徹底する

園内で、気になる情報の早期共有をしつつ、保護者対応を役割分担し、負担が一部のスタッフに偏らないようにする

「顔が見える関係が重要」と考え、普段からなるべく園側も市役所に行って担当課と話すようにしている

など、参加者にとって参考になる具体的な実践や工夫を紹介いただきました。

地域の子育て支援の担い手としての「保育園」の可能性

次に、おうち保育園かしわぎ 山本より「地域の子育て支援の拠点としての保育園という『場』の可能性と課題」について、保育園こども食堂の事例を交えながらご紹介しました。

 

地域にはさまざまな子育て支援に関する社会資源がある中で、「保育園」の特徴・強みとして、以下の点が挙げられます。

こうした強みを持つ保育園等では、在園児の家庭だけでなく地域の子育て支援の担い手として多くの可能性を秘めているのではないかと考えられます。

一方、在園家庭の支援にとどまらず、地域の親子支援として保育園こども食堂を始めるにあたり、スタート時には現場スタッフから「本当にできるの?」「負担が増えるのではないか」など反対の声もありました。

園で新しい取り組みを行う前に、園長・法人からスタッフ一人一人へのビジョンの共有、そしてスタッフの負担に配慮した具体的な対策を行う必要性についてもお伝えさせていただきました。

保育園が地域の子育て家庭を見守っていくために必要なこと

勉強会の最後では、フローレンスが実施した「保育事業者の親子支援実態アンケート調査結果(※)」をご紹介させていただくとともに、アンケート結果より考察した保育園等を通じた地域の見守り体制強化のために必要なことについてお伝えさせていただきました。

(※)2023年度にフローレンスは「支援が必要な保護者や子への対応に、保育所等が現在どのように取り組んでいるのか?」を明らかにすることを目的に全国の保育事業者を対象にしたアンケート調査を実施しました。

詳しくはこちらをご覧ください。

今必要なのは、保育園を社会みんなで支える仕組みづくり。【全国の保育現場向け調査結果レポート】
児童虐待、孤育て問題など、近年、日本では子育てに関するさまざまな社会課題が挙げられています。そんな中、すべてのこどもの育ちを応援する、「こども誰でも通園制度」が創設され、全てのこど...

保育園等を通じた見守り体制の強化のためには、親子のサポートを園に任せるだけではなく、親子を支える園をサポートするための仕組みや地域の体制整備が必要です。

また、勉強会の締めくくりとして「保育園と自治体のより良い連携体制をつくることが、家庭が抱える課題の早期解決、保育園の負担軽減、ひいては離職による人手不足の予防にもつながっていき、結果として、家庭支援や保育園からの相談対応を担う行政の負担軽減にもつながっていくのではないか」という点もお伝えさせていただきました。

保育現場から広がるソーシャルアクション

開催後のアンケートでは、

現場で日々こどもや保護者、地域のためにご尽力いただいている実践事例を伺うことができ、こちらの励みにもなりました。

制度説明、取り組みのポイントなどをお聞きでき、大変勉強になりました。

などのご感想をお寄せいただきました。

今回の勉強会が、親子を支える保育園等の可能性、そしてその保育園を支えるために仕組みづくりの必要性を知っていただくための1つの機会となっていれば幸いです。

フローレンスは、今後も保育現場を自分たちの手で運営しながら、そこから日々受け取る親子や園スタッフの生の声や培った事業ノウハウを社会に広げ、日本のこどもを取り巻く環境を改善していくために、様々なアクションを行っていきます。

ぜひ、今後ともフローレンスの活動を応援いただきますよう、よろしくお願いいたします。

※本勉強会は見守り体制強化促進のための広報啓発事業の助成を受け実施しました。




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