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マンツーマン保育を「ひとりにさせない」ためにーー訪問型病児保育を支える事務局の仕事とは

マンツーマン保育を「ひとりにさせない」ためにーー訪問型病児保育を支える事務局の仕事とは

こんにちは、金沢でリモートワーク中の須田です。

1年前から金沢に住みはじめ、リモートワークで病児保育事務と代表秘書の仕事を兼務しています。

フローレンスでは、この夏、病児保育のお預かり件数累計5万件を達成しました。

今回は病児保育を事務局から支えている「コーディネーター」と「サポートセンター」の仕事についてお伝えします。

入社以降、私も「コーディネーター」や「サポートセンター」の業務を経験していたのですが、東京を離れて早1年……

病児保育の裏側は今どうなっているのか、最新事情を知るべく、月1回の定期出社の際に、コーディネーターとサポートセンターの業務に密着取材してきました。

安心安全の病児保育を提供するための仕組みは、日々進化していて驚きの連続でした…!

病児保育の裏側に1日密着!

18:00 夜のコーディネート業務が開始

退社時間を迎え、社員が帰宅する中、夜のコーディネーターがコーディネート業務を開始します。

今日はベテランの徳田(病児保育事業所属)、2017年度新入社員の重松(病児保育事業部所属)、鈴木(みんなで社会変革事業部所属)の3名が当番です。

左:重松、右:鈴木。 病児保育事業がフローレンスの根幹事業であることから、コーディネーター業務は新入社員全員が部署にかかわらず経験する業務となっています。

コーディネート業務とは、病児保育の予約と、こどもレスキュー隊員(以下「隊員」)のシフトを見ながら、どのお宅にどの隊員が訪問するかを決める業務です。

重松会員さんのご自宅と、隊員の最寄り駅の近さも見ていますが、他にもさまざまなことを考慮して決定します。

たとえば、保育するお子さんが猫アレルギーを持っている場合、猫を飼っている隊員は伺うことができません。保育時間が10時間半を超える場合は、お子さんを1対1で保育する病児保育をより安全に行うために、リレー形式での保育とし、時間を区切って2人の隊員を派遣します。

コーディネートの様子。予約情報を元に訪問する会員宅をマッピング。予約が集中しているエリアなども確認しています。(画像の一部を加工しています)

鈴木:今日予約されているこのお子さんは、卵アレルギーを持っています。隊員にもこういった情報を伝えていて、持参する昼食に持ち込まないようにしています。

きょうだいでの病児保育利用の場合、隊員が2名でお伺いしますが、たとえば上の子はアレルギーがないけど、下の子に小麦アレルギーがある、といったこともあります。

保育の対象ではない下の子のアレルギー情報を伝えることで、上の子の保育者がアレルゲンを持ち込んでしまわないよう、そういった情報も共有するようにしています。

夜のコーディネートリーダーの徳田。この日は新人スタッフの現場研修のコーディネートもありました。「研修受け入れ可」で予約してくださっている会員さんから、明日の研修先を決めます。

保育するお子さん以外の情報も、安全な病児保育のためには重要なんですね……!

徳田:「こういった情報があれば共有してほしい」と隊員から意見をもらい、反映してきた歴史があります。事故が起こらないよう、コーディネートや情報の共有に細心の注意を払っています。

依頼内容を確認した隊員から、内容確認の電話があることも。過去のデータなどを参考にしながら、不安や心配事なく、会員宅に向かえるようにしています。

20時までに入った予約のコーディネートを終えると、隊員あてに1通のメールを送ります。

重松:翌日の依頼を確認してもらうためのメールです。隊員の皆さんはこの時間に専用の社内ウェブサイトにアクセスします。

隊員は、明日の病児保育依頼について、何の病気でどんな症状なのか、受診の必要はあるのか、などを確認します。明日の病児保育を依頼した隊員全員の確認が取れたら、夜のコーディネートは終了となります。

この日の夜のコーディネートは、予約件数61件で終了となりました。

朝のコーディネーターとは顔を合わせることがないので、Googleスプレッドシートの引き継ぎ表に、夜から朝への引き継ぎ事項を記載します。

6:30 朝のコーディネート業務の開始

翌朝は、6時過ぎに朝のコーディネーターが出社します。

この日の朝のコーディネーターは小川(病児保育事業部所属)・木下(働き方革命事業部所属)とアルバイトの方で計3名です。

左:小川、右:木下。2人とも子育て中のママさんです!

予約状況を早速確認。

ん……? 昨夜の時点では61件の保育依頼が来ていたのに、59件になっている……

小川:夜のうちにお子さんの病状が回復してキャンセルになることが多々あります。今日だと、昨日の夜から今朝までに、12件の予約が追加で入り、14件がキャンセルになって59件になっています。

8時のご依頼までは予約に対して100%対応をしていますので、昨日の夜に依頼された病児保育がキャンセルになった隊員は、朝に依頼があったお宅にコーディネートし直します。

なるほど……そうやって8時までの依頼に100%応えているのですね。

と、そこで事務局用のスマートフォンが鳴りました。

会話の内容を聞くと、どうやら隊員が道に迷っているもようです。

木下:会員さんのお宅には、会員さんがサイトから入力してくださった、ご自宅への道順を元にお伺いしています。ですが、毎回違うお家に向かうので、初めてお伺いする場合など、道に迷ってしまうこともあります。

迷ったときには自己判断せず、すぐに本部に連絡するように伝えています。こちらもGoogleマップやストリートビューを見ながら、隊員が今どこにいて、どの道を誘導すれば会員さんのお宅に到着できるのか、道案内をしています。

毎回同じところではなく、別の場所に行くという難しさがここにあるんですね。

そうこうしているうちに、先ほどの隊員は無事に会員さんのお宅についたようです。

隊員と適宜連絡を取りながら、無事に時間通り病児保育がスタートできているかを見守っています。

小川:朝コーディネートの最大のミッションは、8時までの予約に100%対応すること。隊員が無事に保育をスタートできているのを確認できるとホッとします。

8時を過ぎ、予約の申込みが落ち着いて来た頃、スタッフも続々と出勤してきます。

9:30 サポートセンターに引き継ぎ

サポートセンターのメンバーが揃うと、朝のコーディネーターからの引き継ぎが始まります。

サポートセンターの業務は、病児保育中の隊員からさまざまな問合せを受け、保育をサポートすること。今日の予約件数、症状が重めのお子さんについて、隊員の状況など、昨日の夜のコーディネーターから引き継いだ事項も含めて、しっかりと共有します。

これをもって朝のコーディネート業務は終了。

サポートセンターに安心安全を守るバトンが渡ります。

今日、サポートセンターのデスクに座っているのは、森、後藤、宮下、宮坂、古川、篠崎、そして看護師の青山の7名。

左:この日のサポートセンターリーダーの森。もともとはこどもレスキュー隊員として入社し、現場経験を積んだ後に事務局に異動しました。

:サポートセンターは、病児保育中の隊員からの電話連絡を受けるチームです。時短勤務や午後から出勤するメンバーもいるので、私達サポートセンターチームの要は『情報共有』です。

フローレンスでは勤務時間や勤務日がスタッフによって異なることも珍しくありません。

どのタイミングでサポートセンターに入っても、状況がわかるような情報共有の仕組みを作っているのだそうです。

11:00 与薬報告電話を受ける

朝の引き継ぎからそろそろ落ち着いてきたかな、と思う11時ごろ。

また少しずつ、サポートセンターにかかってくる電話の数が増えてきました。

宮下:お子さんのお昼どきになると、「与薬報告」の電話が入ってきます。隊員がお子さんの食後のお薬をあげる際には、必ず与薬前に電話報告をしてもらっているんです。

そのお薬が「今日保育しているお子さんのもので間違いないか」「どういった効能のお薬か」「どれぐらいの量か」「粉かシロップか錠剤か」「お薬手帳との照合はできているか」といったことを確認します。

きょうだいがいるご家庭だと、上の子のお薬と間違えて薬が用意されていることもあるのだそう。年齢や体重によって、お薬の用量が違うからこそ、与薬は慎重にならねばなりません。

与薬ミスが起こらないよう現場の隊員と相互チェックをしているんですね。

13:30 既往歴についての相談

お子さんがお昼寝に入るころ、隊員から一本の電話がありました。

喘息の既往があるお子さんだが、服用している喘息のお薬が最近変わり、定期的な通院をしているとの報告でした。

既往歴の変更については、より専門知識のある看護師に引き継ぎます

青山:喘息で重めの場合は、定期治療内容や悪化時の病状について親御さんに聞き取りを行います。アレルギーもアナフィラキシー経験など、重篤な場合に確認しています。

親御さんには、そのお子さんに応じて質問項目をまとめ、メールでお知らせしつつ、会員専用サイトから既往歴情報を更新していただくようお願いをします。

喘息の症状がない状態でお預かりしていても、体の免疫力が落ちているときだからこそ、症状が出やすくなったりすることも。

隊員が代行受診する際にも、定期的に飲んでいるお薬との飲み合わせについても確認する必要があります。

病児保育には、健康なお子さんをお預かりするとき以上に、把握しておかなければいけない情報がたくさんあるんですね。

17:30 終了電話番との引き継ぎ

保育が次々と終了していく中、今日の最終病児保育は20時まで。

病児保育のサポートを終了電話番に引き継ぎます。

この日の終了電話番は川村(病児保育事業部所属)と、引き続き篠崎・宮下が入ります。

左:篠崎、中央:川村、右:宮下。この日の最後の保育終了まで見守ります。

川村:この時間は会員さんからの帰宅時間変更連絡や、隊員からのクーポン利用確認の電話が増えますね。

フローレンスの病児保育は会社の福利厚生や自治体の助成を利用できるので、クーポンをお持ちの方から、今日の利用条件について確認が入ります。隊員だけでは判断しかねるものもあるので、そういったときには事務局の出番ですね。

自治体が提供している病児保育施設だけでは、病児保育ニーズを拾い切ることが難しい。そんな時、こういった福利厚生や自治体の助成を利用しつつ、フローレンスの訪問型病児保育をもっと利用して頂けると嬉しいですね。

さて、電話の件数も落ち着いてきたので、日頃サポートセンターに入っている宮下と篠崎にもう少し話を聞いてみたいと思います。

会員さんと隊員の橋渡し役、サポートセンターのお仕事とは

ーー今日のサポートセンターリーダーの森さんは「情報共有がサポートセンターの要」と言っていました。日頃どういったところに注意をしていますか?

宮下:サポートセンターは曜日ごとにリーダー担当を変えて運用していて、私も別の曜日のリーダーを担当しています。リーダーの役目は、1つの案件にかかりきりになるだけではなく、全体を見ることです。また、社内ポータルサイトにマニュアルや過去の対処事例をまとめています。

篠崎:本当に情報共有は大切だと思います。私は毎日13時に出社するのですが、出社したらすぐ、朝からの全体の状況がわかるように、その日の共有情報が記載されたGoogleスプレッドシートを開きます。

また、個別の保育の状況については、利用会員や保育データを一元管理しているSalesforceに、親御さんや隊員とのすべてのやり取りの記録を残しているので、対応者が変わっても、何があったかはわかるようにしています。

ーーなるほど、「すべてを記録に残し、見ればわかる」という状態にすることで、対応者が変わっても情報が共有されるようになっているんですね。では、そんなお二人にとって、これまでで対応が難しかった保育の案件はありますか?

宮下:私は入社してまだ3ヶ月なのですが、熱性けいれんによる救急搬送を4回経験しました。救急搬送のフローは決まっていますし、隊員も研修で学んでいるので、対応は大丈夫だったんですが……

ーー3ヶ月で4回!そんなにあるんですね……

宮下:夏の病気の流行期を挟んだこともありますが、こんなにあるんだ、とびっくりしました。一番緊張したり慌てているのは隊員なので、私達が冷静になり、落ち着かせてあげるようにしています。

 

サポートセンター用のスマートフォンにはこどもレスキュー隊員の顔写真が登録されています。常に隊員の顔を想像しながら話すための工夫なのだそう。

ーー隊員の中には初めて熱性けいれんを目の当たりにする方もいますものね。隊員と親御さんの間に入っているわけですが、サポートセンターってどういうお仕事だと思われますか?

宮下:そうですね……病児保育って、お子さんを安全に保育するとか、親御さんに安心してもらうとかのイメージが強かったんですが、お子さんだけじゃなくて、隊員の安全も守ることも、サポートセンターの役目なのかなと感じています。

篠崎:親御さんによっても、食事なのか、水分なのか、熱なのか、今日の保育について気になるところが違います。親御さんもお仕事されている間に電話を取ってくださっているので、短い会話の中で、親御さんが何に不安を思っているか聞き取ることが大事ですね。

また、隊員も何を不安に思っているかをくみ取り、親御さんに伝えるべきことは正確に伝えるようにしています。

(インタビューはここまで)

隊員からの報告の中で、後ろからお子さんの声が聞こえるとほのぼのすることも。


サポートセンターのお仕事は、その時どきの、お子さん・親御さん・隊員それぞれに寄り添った対応が求められるものなのですね。

そんな病児保育の現場を日々裏側で支えるサポートセンターには、隊員からも

「サポートセンターがなかったら病児保育の仕事は危険がたくさんある。サポートセンターが病児保育の仕事を続ける上での重要ポイントとなっている」

”こんなこと言えない”、がない

「質問がしやすい雰囲気がある」

「みんなフレンドリーでバックアップしてくれる。「1人でやっているんじゃない」と思う

と、とても頼りにされています。

まさに、訪問型病児保育という、マンツーマン保育の難しさや、施設併設型と違い小児科医や看護師がそばにいないリスクを抱えているからこそ、「病児保育をやっているのは1人ではない、1人にはさせない」という気持ちで、保育を支える様々な仕組みが生まれているんですね。

丸一日の密着取材を通して、こどもレスキュー隊員の日々の保育と、事務局スタッフの後方支援の積み重ねが、病児保育件数累計5万件として実を結んだのだと感じました。

次なる、病児保育お預かり10万件に向けて、こどもレスキュー隊員・事務局スタッフ共々、これからも安心安全の病児保育を届けていきます。


フローレンスでは、これからも多くの親子を助けるために、こどもレスキュー隊員を募集しています。

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