フローレンス代表理事の駒崎です。
2018年3月11日。2011年の東日本大震災から、7年が経ちました。
7年という月日と、想いのある人々の支援によって、被災地の復興は着実に進んでいますが、まだ、震災の爪あとは残っています。
2018年1月末現在、岩手、宮城、福島の被災3県では1万3584人が、プレハブの仮設住宅で暮らしています。民間の賃貸住宅や公営住宅といった「みなし仮設」も含めると、仮設住宅で暮らす人たちは2万9639人にのぼります。
(ヤフージャパン「データで見る震災復興のいま」より)
また、宮城県の「2017年度学習意識調査」によれば、小学5年生のうち7人に1人が、現在でも突然、震災を思い出し、「授業に集中できない」「気持ちが落ち着かなくなる」といいます。
被災地の子どもたちの、目に見えづらい苦しみをなくすこと、それは今でも大きな課題です。
僕自身、妻は福島県郡山市出身。震災と、その後の原発事故の影響を大きく受けた地域です。震災の被害と、その後被災地であらわれたさまざまな課題は、ニュースなどの報道もさることながら、何より妻の様子を見て、とても他人事とは思えませんでした。
これは自分たちも何かしなければならない。僕自身、そんな思いに駆られ、フローレンスでも、被災地支援としてこれまでにいくつかの取り組みを行ってきました。
震災後、2011年12月から2015年3月31日まで、「放射能が不安で外で遊べない」といった親子のために、室内で子どもたちが楽しく遊べるふくしまインドアパークを運営。
遊び場としての場所というだけでなく、コミュニティが生まれる場所となったと思います。インドアパークを中心とした、地域住民の皆さんとフローレンスの活動・思いが郡山市に伝わり、2015年度には、市の屋内遊び場等整備事業として、新しい遊び場が複数作られるようになりました。
2015年4月からは、被災した東北の中心地でありながら、待機児童がとても多い宮城県仙台市において、小規模認可保育所であるおうち保育園を、3園運営。
この仙台おうち保育園では、待機児童問題解決を目指すだけでなく、家庭に何らかの問題を抱える親子を支援するため、保育園を中心としたソーシャルワークにも、取り組み始めています。
被災地でも、親子の笑顔を妨げる社会問題を解決するため、今もフローレンスは走り続けています。
被災地の子どもを支援するハタチ基金の想い
こういった事業の原資のひとつは、公益社団法人ハタチ基金からの助成金です。
ハタチ基金は東日本大震災の被災地の子どもたちに寄り添い、継続的に支援を行うことを目的とした基金。
そのコンセプトは
「東日本大震災発生時に0歳だった赤ちゃんが、
無事にハタチを迎えるその日まで」
寄付を集め、被災地の子どもたちを支援する取り組みをしている団体に助成することで、被災地の子どもがハタチになるまで見守り、支える。
そんな想いが込められた基金です。
僕自身もこのハタチ基金の理事を務めています。
今年の3月11日に合わせて、そのハタチ基金から、ひとつの動画が公開されました。
タイトルは「ハタチ基金〜創設の想い〜」です。
ハタチ基金の理事の1人であり、僕の大学時代からの友人でもある今村久美が、震災直後に被災地を訪れたときの、ひとりの少女との出会いが描かれています。この出会いが、ハタチ基金の創設のきっかけになりました。
3分ほどの動画ですので、ぜひご覧ください。
助成を受けるだけでなく、強みを活かした参画へ
また、フローレンスは、ハタチ基金から助成を受けるだけでなく、その活動をこれからも広く知ってもらうため、今年度からハタチ基金の広報・WEB発信に参画しています。
震災から年月が経ち、当時の記憶は少しずつ人々の心の中で薄れていってしまいます。でも、忘れてはいけない、被災地の子どもたちの「いま」がまだある。
そんなことを、多くの方々に思い起こしてもらうために、僕たちもこれから、尽力していきたいと思います。
2017年に始まった「こども宅食」のように、企業やNPO、自治体などがお互いの強みを持ち寄り、社会に変化を起こすアプローチを「コレクティブ・インパクト」と呼びます。
ハタチ基金に、広報やWEB発信の分野でフローレンスが協力することも、コレクティブ・インパクトの形のひとつです。
フローレンスはもともと、WEBマーケティングに力を入れており、WEB上での情報発信や広報活動が団体の強みのひとつでもあります。
そんな、フローレンスの強みを、フローレンスのためだけでなく、同じように子どもと向き合い、その未来を見守ろうという想いを持つ仲間のために活かしていく。そんなことができれば、それは公益を負うNPOとして非常に嬉しいことです。
ぜひこれからも、フローレンス、そしてハタチ基金を応援よろしくお願いいたします。
ハタチ基金の特設ページはこちらから。
ハタチ基金 | 東日本大震災からはじまった子どもたちの時間を支えていく
ハタチ基金の背景にある被災地の子ども達をめぐる課題については、昨年、同じくハタチ基金の理事である今村との対談記事もあります。興味のある方は、こちらもご覧ください。
東日本大震災から5年半、子ども達の居場所となった「コラボ・スクール」と今も残る埋められない傷跡
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