“障害のある子どもは保育の預かり先がなく、母親のほとんどが仕事を諦めなければならない”
そんな障害児保育問題を解決するため、2014年に東京都杉並区で開園したのが「障害児保育園ヘレン荻窪」です。
そのヘレン荻窪で開園当初から園長を務める遠藤が、2月19日に東京都福祉保健局主催で行われた、「東京都医療的ケア児支援者育成研修」の研修講師を務めました。
たんの吸引や経管栄養が必要な医療的ケア児の支援に関する基本的な理解を深めることを目的に、医療的ケア児の支援に関係している方や、これから携わろうという方に向けた研修です。
この研修では、医療的ケア児の支援に関して第一線で活躍している方々が講師を務めるのですが、今回その1人としてヘレン荻窪の園長である遠藤を選出していただきました。
研修では、ヘレン立ち上げのきっかけや医療的ケア児の受入れの状況、ヘレン荻窪での保育の様子をお伝えしました。
今回はそんな遠藤がヘレンの園長になったきっかけについてご紹介します。
ヘレン荻窪園長 遠藤 愛
知的障害児の通所施設での支援員を経て、日本初の障害児保育園ヘレンという新天地に飛び込む。
バイクでツーリングがもっぱらの休日の楽しみ方。夏休みの9日間で北海道にソロツーリングに行く程のバイク好き。最近は、たくさんの荷物を乗せた「キャンプツーリング」にハマっている。
通所施設の児童指導員から、障害児保育園ヘレンの園長へ
「医療的ケアが必要な子を預かってくれる保育園がないので一緒に探してほしい」
ある一人のお母さんからのお問い合わせをきっかけに、ヘレンはそれまで保育園でのお預りが難しいとされていた重症心身障害児や医療的ケア児を専門的に長時間お預かりする施設として、2014年に東京都杉並区で開園しました。
現在では東京都内で5園展開されていますが、その第一号となる「障害児保育園ヘレン荻窪」で当時から園長を務めているのが遠藤です。
遠藤がヘレンの園長となったきっかけは、前職で知的障害の子どもを対象とした通所施設で児童指導員をしていた頃に、当時ヘレンの立ち上げ準備をしていた森下(障害児保育事業部マネージャー)との出会いでした。
「仕事をすることが当たり前と思っていた母親が、障害のある子どもを持ったことで仕事を諦めなくてはいけない。それがどれだけつらいかと思うと……障害児保育園ヘレンは、待っている人たちがたくさんいる施設なんだ」
そんな、森下のヘレンにかける熱い思いを聞いたことで、それまで「障害児の母親は働いていないことが当たり前」だと思っていた自身の価値観がガラリと変わったのだそうです。
そんなきっかけから、フローレンスで共に働くことになった遠藤は、前職での経験を活かしてヘレンの園長に抜擢されました。
0からのスタートで、新しいあたりまえを創り上げてきた
日本でも前例のない事業となるため、スタートの時は全てが0から考えなくてはいけないことが本当に大変だったと、遠藤は言います。
スタッフも子どもも園の生活に慣れていない試行錯誤の日々で、戸惑っているスタッフに良いアドバイスがすぐにできない自分をもどかしく感じることもあったとのこと。
それでも、スタッフ同士での話し合いを重ね、試行錯誤しながらヘレンならではの保育のカタチを必死に模索してきました。
そして現在では、ヘレンを利用している親御さんの中で、希望する全ての親御さんが就労可能になりました。
「障害児の母親でも仕事を続けられる」
そんな新しいあたりまえを、保育の現場で切り開いてきた1人が遠藤です。
量の拡充だけでなく、支援者の質の向上にも力を入れる
ヘレンは1園目の荻窪に次いで、2016年豊島区巣鴨に2園目が開園。その後も世田谷区経堂、江東区東雲、渋谷区初台に順次開園し、現在は5園で障害のあるお子さんをお預かりしています。
ヘレンを待っている最後の1人まで保育を届けるため、今後も園を増やしていく予定ではありますが、同時に支援するスタッフの質、保育の質の向上にも努めていきます。
今回遠藤が講師を務めた研修でも、ヘレン荻窪での保育の様子を詳しくお伝えしました。
障害児保育という前例のない分野において、ヘレンは日本初の障害児専門保育園として着実に結果を出してきました。それができたのも、今も現場で子どもと向き合い続けているスタッフの努力があってこそです。
これからも障害児保育園ヘレンは、量の拡充とともに支援者の質の向上にも務めていき、より多くの親子に保育を届けていきます。
ヘレンでは園長職をはじめとして新しい仲間を募集しています。
興味がある方はぜひ採用説明会へお越しください!皆様のご応募お待ちしております。
障害児保育園ヘレンの保育の様子についてはこちらの記事もどうぞ。