さる7月20日、大阪・関西大学千里山キャンパスにて、フローレンス代表理事駒崎の講演「〜半径5メートルから社会を変える方法〜」を開催しました。
東京で活動するわたしたちにとって、東京以外の場所でのイベント開催には高いハードルを感じていました。
今回、とてもよいご縁に後押しを受け、勇気をだして大阪でファンイベント開催となりました。フローレンスのアツい夏のヒトコマを少しお伝えしたいと思います。
関西大学 坂本教授がつないでくださったご縁
ことの始まりは、去年、はじめて寄付者事業報告会を行ったことでした。
その経験は、
「もっと寄付者の方と語り合いたい」
「関東以外の寄付者の方ともお話したい」
そんな気持ちを、私たちに芽生えさせました。
ただ、イベント慣れしていない私たちが、土地勘のない地域でイベントを行うことに大きな不安もあり……
全国のフローレンスファンの方と語りたいという熱い気持ちを抱えながら、業務にいそしむ日々を過ごしていました。
しかし、そんなある日、ひとつの出会いが訪れます。いつでも、素敵な縁は嵐のように突然です。
それは、イベントで寄付についての研究の講演をなさっていた講師の方に、スタッフがお声がけさせていただいたときのことでした。
「ぼく、駒崎さんの著書『「社会を変える」を仕事にする』を日本一売っていると思います」
そんなことをお話くださったのは、関西大学の坂本治也教授。関西で、ソーシャルセクターの活動をアカデミック領域から支える第一人者です。
「に、日本一ですか?!」
「少なくとも3桁は売ってますよ! 本当にいい本で。学生が、あの本を読むと明らかに行動が変わるんですよ」
聞けば、課題図書として大学の授業でお使いになり、学生さんたちが『「社会を変える」を仕事にする』を読んでマインドが変わっていく姿を見ているのだそうです。
そして、御本人もフローレンスのファンだと言うではないですか!
話を伺ったスタッフも、大興奮です。
「坂本先生、関西応援団的に、これからもよろしくお願いします」
「もちろんです。いつか、学生たちに、駒崎さんの話を直接、聞かせてやりたいですね」
「ああ……関西だと機会がないんですよね」
「そうなんですよ……。フローレンスが起こしたことをお話いただくのは、学生たちの小さなソーシャル体験になると思うんです。それが、社会を変えることに繋がる。学生を見てきた実体験からそう思うんです」
そう言い切る坂本教授の言葉が胸に刺さります。
もともとの「関西のファンの方にも、フローレンスのやってきたことを届けたい」というスタッフの心の小さな火が、めらめらと燃え上がってきました。
「大阪で、イベントをやってみよう!」
立ち見も出る大盛況の講演に
そして、迎えた当日。
いざ、会場関西大学に到着すると、100名定員の講義室が満杯、立ち見も出るほどの聴衆の方々が!まさに、満員御礼です。
想像を超えた集客状況でしたが、坂本教授をはじめ坂本ゼミの皆様にも、受付等のお手伝いいただき、 トラブルなく無事に講演を始めることができました。
今回は関西大学の法学部学術講演会として「〜半径5メートルから社会を変える方法〜」というタイトルでの講演。
フローレンスの展開する病児保育、赤ちゃん縁組、障害児保育といった事業がどんなキッカケから、どのようにできあがっていったかを駒崎が実体験をもとに語りました。
前のめり気味になる若者、静かにうなずきながら傾聴する初老の男性。お子様と一緒に参加してくれた母親の真剣な眼差し。また、関西大学とは別の大学の学生の方も多くいらっしゃいました。
文字通り老若男女さまざまな方々が、ソーシャルビジネスの話に集中して耳を傾ける姿がそこにありました。
質疑応答もとても活発に行われ、駒崎も感銘をうけたのか、力強くマイクを握りしめ情熱を込めて、一人ひとりの質問に答えて、講義は終了となりました。
講演後のアンケートも回収率が非常に高く、また文字がびっしりと書かれたものがほとんど。駒崎も一枚一枚もくもくと、頷きながら目を通していました。
自分の半径5メートル以内にもたくさんの問題が潜んでいる。その問題を認識することが解決への第一歩。
重要なのは、解決するために何か小さくてもアクションを起こすこと。身近な問題を解決することが、社会全体の問題を解決することに繋がります。
駒崎が講演の最後に伝えたのはこのメッセージでした。きっとそのメッセージは、来場くださった皆さんの心にしっかりと届いていたのではないかと思います。
みなさまの温かい心をいただき、関西大学での講演は盛会のうちに無事終了しました。当日ご参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました!
そして第二部・寄付者交流会へ
講演後は、場所を関西大学梅田キャンパスに移し、寄付者の方々との交流会を開催しました。
ここでも、坂本教授にご協力いただき、駒崎と坂本教授のトークセッションからスタート。駒崎からはNPOやソーシャルビジネスにおける寄付の価値を、寄付のお礼とともに語りました。
坂本先生からは、ソーシャルセクターの活動が日本の社会問題解決のためにどのように役に立っているのか、またこれからの課題と、その解決のためのヒントなどについてお話がありました。
アカデミックな立場からNPOやソーシャルセクターの活動について研究されている坂本教授のお話は、フローレンススタッフにとっても学びが大きく、また参加者の皆さんも集中してお話に聞き入っており、質疑応答では多くの質問が寄せられました。
坂本教授によれば、ソーシャルセクターの課題のひとつは、NPOに関わるキッカケのひとつである寄付が、文化として社会に浸透していないこと。
そこで、トークセッションの後は、その課題を解決し、日本に寄付をもっと広めるために、自分たち一人ひとりにどんなことができるかということを、参加者の方とともにグループワーク形式で話し合いました。
フローレンススタッフもグループに入り、NPOで社会問題に相対する当事者として意見を述べながら、寄付者の皆さんとさまざまなアイディアを出し合います。
話し合った内容をまとめ、各グループごとに発表。短い時間であったにも関わらず、大小さまざまなアイディアが議論の中で生まれていました。
寄付者の方々の一人ひとりが、社会問題に対してそれぞれの想いを持っていることが強く感じられ、私たちフローレンスはその想いを受けてこれからなお一層、問題解決のために尽力していかねば!と思わされる機会でした。
社会を変革していくための同志である寄付者の皆さんと、濃密に語り合うことのできた2時間となりました。
交流会にご参加くださった皆さん、本当にありがとうございました!
さいごに
フローレンスを応援してくださっている方々は、日本全国にいます。
そんな支援者、ファンの皆さんの想いに応えるべく、フローレンスは今後も事業を通して社会問題を解決していくことに尽力していきます。
今回のように、関東以外の場所で支援者の方々とお会いするイベントを開催することは簡単ではありませんが、将来的にはSNSなどのプラットフォームを活用して、さまざまな手段で交流していけたら、と考えています。
今後ともフローレンスをどうぞよろしくお願いいたします!