「NPOで働く」ことが普通の時代になってきました。そのような中であるプログラムが行われていました。
「NPO若手合同研修」
このプログラムは、複数のNPOや一般企業の若手スタッフが集まり、3ヶ月かけて行われます。4回の集合研修と、グループワークをベースに、社会問題に対する提言をつくっていくというのがその内容です。
12団体の19名の若手スタッフによる合同研修の最終回を迎えましたのでご報告します!
NPOなどで働く20代の若者を中心とした研修プログラム。今回が3期目となりました。
今年は12団体から19名のスタッフが集まり、3ヶ月の間、4回の集合研修とグループワークをベースに、それぞれが関心のある社会課題に対する提言を行いました。
これから社会問題を解決していくために、最重要のスキルを学ぶ。
では、この研修では具体的に、何を学んでいくのでしょうか?集合研修では、これまでに社会問題を解決しようと試行錯誤する中で、とても重要だと考えている3つのスキルを学んでいきます。
1. 多様な人と合意形成をしていくために必要な「ファシリテーション」のスキル。
2. ファンやリソースを獲得するための「プレゼンテーション」のスキル。
3. 子どもの貧困問題など、複雑な問題にチャレンジしていくための「システム思考」。
初回の研修は9月10日に行われました。約3ヶ月、苦楽を共にする参加者全員が集まり、チームビルディングを実施しました。各グループごとに自分のこれまでの人生を開示していく、マイストーリーの共有を行い理解を深めました。
このプログラムは、同世代の仲間達と、自分自身の学び・成長のためのサードプレイスとなるようなコミュニティを形成していくことも大きな狙いです。
その後、ファシリテーションについて学びました。
ファシリテーション研修では、講師に櫻井亮さんお招きして、実務で活かせるファシリテーションのエッセンスを体得することを狙いに行われました。
櫻井 亮氏
GOB Incubation Partners株式会社 代表取締役
日本ヒューレッド・パッカード、企業支援等を経て、2007年よりNTTデータ経営研究所にてマネージャー兼デザイン・コンサルティングチームリーダー。
2013年より北欧系ストラテジックデザインファームDesignitの日本拠点Designit Tokyoの代表取締役社長に就任。2015年1月より独立してシリアルアントレプレナー実践中。新規ビジョン策定・情報戦略の企画コーディネート、ワークショップのファシリテーション、デザイン思考アプローチによるイノベーションワークなどを手掛ける。
第2回研修では、講師に熊平美香さんをお迎えして、問題発見・解決研修が行われました。
熊平 美香氏
ハーバード大学経営大学院修士課程修了1985年 (株)熊平製作所入社。新規事業開発に従事。日本マクドナルド創業者藤田田氏と共に新規事業開発に取り組んだ後、(株)エイテッククマヒラを設立し、企業変革推進およびリーダーシップ開発のコンサルテーションを行う。現在は活動を広げ、昭和女子大学キャリアカレッジ学院長としてダイバーシティ・働き方改革を推進。一般財団法人クマヒラセキュリティ財団では幼稚園・小学校向けにピースフルスクールプログラムを展開。昨年には一般社団法人21世紀学び研究所を立ち上げ、教育のエコシステムを企業と共に創る活動を開始。Learning For All、Ashoka JapanなどNPO活動にも参画。
問題発見・解決研修では具体的に下記のポイントについて学んでいきました。
1.課題認識
現象としての課題を捉える自己認識の明確化
2.氷山モデル
氷山モデルを活用した、課題の全体像の理解
3.セオリーオブチェンジ
セオリーオブチェンジのフレームワークを活用した課題解決のための思考プロセスの学習
各グループが設定した社会課題に対して、何が原因なのか・それを生み出す社会的背景や構造を分解して考えました。社会課題の背景や構造を考えると当初想定していた解決方法では問題解決にはならない?などモヤモヤする事もありつつ取り組みます。
また、熊平先生からの社会問題の因果関係は根深く簡単には解決しない。「問いと共に生きる」という言葉が印象的でした。
第3回研修では、講師に岡本佳美さんを迎えて、支援者の共感を生むためのプレゼンテーション研修が行われました。
岡本 佳美氏
株式会社アム 代表取締役社長認定NPO法人フローレンス 理事
NPO法人クロスフィールズ 理事
大学卒業後、広告会社勤務を経てフリーランスに。2005年、病児保育問題を事業によって解決するNPO法人フローレンスの創業に参画。副代表に就任し、本業との二足のわらじでNPOのマネジメント業務に関わり手腕を発揮。2008年、フローレンスの黒字化を契機に理事就任。同時に、フリーランス業務を法人化し、株式会社アムを設立。以来、民間企業やNPOはもちろん、官公庁、政治家などのブランド・マネジメントをサポートしている。
具体的には下記の5つを中心に学んでいきました。
1.支援者の共感を生むプレゼンテーションとは
2.プレゼンテーションにおけるメッセージの法則
3.プレゼンターが肝に銘じるべき5つのこと
4.本番で力を発揮するポイント
5.事前準備で力を発揮するポイン
ト
各グループのプレゼンに対して濃厚なフィードバックをもらい、ハッとさせられる回でした。
そして、11月30日に研修の最終回が行われ、各グループより社会課題の構造の分析と、その課題に対する解決策が提言されました。
会場の皆さんが投票権を持っており、最も支援したいグループに票を入れる仕組みです。
オーディエンスには、アドバイザーや、普段それぞれが一緒に働く上司の皆さんがずらり。緊張の中、これまで集合研修で学んだスキルを活かしながらプレゼンテーションが行われました。
アドバイザーは各グループの提言内容の質の向上や参加者の思考の深耕、学習の促進を目的に、各グループにフィードバックを行っていただく役割を担って頂いています。
「発達障害の子どもを持つ家族の問題」「学校におけるいじめの問題」「イクメンブームの問題」といった社会課題について、それぞれが熱いプレゼンを披露しました。
全てのプレゼンが終わった後、会場からの投票が行われ、最優秀賞が決まりました。
結果に一喜一憂するのもつかの間。すぐに3ヶ月間の取り組みのリフレクションが行われます。
最後には、修了証書を授与。
3ヶ月に渡る研修でしたが、誰一人欠けることなく全員が修了の日を迎えました。
最後に業務で忙しい中グループワークの時間を作り、取り組んで頂いた参加者の皆さん。
3ヶ月間、受講者に伴走し発表についてアドバイスを頂いたLearning for All代表理事 李様、弊会理事・日本IBM社会貢献担当部長 松山様、また、本研修にご理解頂き若手を送り出して頂いた団体・企業の上司皆様に改めて感謝申し上げます。
そして、「ソーシャルセクターの若手スタッフのためなら!」と講師をしていただいた櫻井様・熊平様・岡本様にこの場をお借りして、御礼申し上げます。
本日お伝えするのは、ここまでです。
年が明けたら改めて、NPOの若手スタッフを対象に団体横断で行ったこの画期的な研修の全貌について、たっぷりお伝えします!