こんにちは。ハタカク(働き方革命事業部)の橋本です。
皆さん、毎日のメールチェックにどれくらい時間をかけていますか?
毎日大量のメール処理に忙殺されていて、どうにかしたい!という問題意識を持っている方も多いかと思います。
そんな方々におすすめしたいのが、「メールコード」という、社内メールのライフハック。
もともと代表理事の駒崎が、メールでのコミュニケーションを効率化するために編み出した仕組みで、今では新入社員も3日でものにする、シンプルでわかりやすいツールです。しかも、コストはいっさいかかりません。
今回はそのメールコードについてご紹介します。これは!と思ったら、ぜひ使ってみてください。
メールを読んだ後のアクションを決める「メールコード」
フローレンスでも、例に漏れず、コミュニケーションツールとしてのメールの重要性は非常に高く、毎日大量のメールが送受信されています。(ちなみに私の最近のメール受信件数を数えてみたところ、だいたい150〜200件の間でした)
実際には、メーリングリストに送られたものや、業務日報なども含まれるので、受信したメールの中で、自分がアクションを起こさなければならないものはごく一部です。
ですがこれだけメールが多いと、ひとつひとつを読んで、自分に関係するか、そしてなにかアクションを取るべきかを判断していくのはそれなりに時間がかかりますし、確認の優先順位をつけるのも大変です。
そこでフローレンスが設けている社内ルールが、メールコードです。
メールコードとは、メールタイトルと本文の一番最初に、
【共有】【依頼】【意思決定】【要FB】(※)
など、【】で囲われたキーワードをつけるもの。要は、そのメールを読んで相手にどうして欲しいかを明示するためのものです。(※FB:フィードバックの略)
メールコードの利用事例
例として、実際に私が受信したメールのタイトルを挙げてみましょう。
【依頼】【0831迄】朝礼カレンダーの記入お願い致します。
であれば、読んだ人への、「朝礼カレンダーに(何かを)記入する」というタスクの依頼を意味します。
なお、【0831迄】は、期限の明記で、この場合であれば8月31日までにアクションをとってほしいという意味になります。
【要FB】【0826迄】Webサーバ監視のメール通知先について
こちらは、監視メールの通知先について、何らかのアドバイス・意見を求めているメールです。
【共有】【期限無し】Backlogのアカウント発行、利用手順書について
この場合は、「共有事項の連携」になるので、原則として返信や何かのアクションを取る必要はなく、メールを読んで内容を理解してもらえばOKということになります。
ちなみに、【共有】の中でも、全スタッフが必ず把握すべきメールは、埋もれてしまわないよう、通常のものとは別の、特別なメーリングリストに送ることをルールとしています。
メールコードで、何がどう良くなるのか?
メールを受信する側からすると、メールコードにより、メールを読み始める段階で、自分が何を求められているかが明確になります。
また、時間がないときは【要FB】【依頼】で期限が近いものを先に読む、といったこともできるようになります。
さらに、メーラーの振り分け機能(フローレンスはGメールのフィルタを使っています)を利用すれば、メールのフォルダ整理もやりやすくなります。
いっぽうで、これは私がフローレンスに入社し、コードを実際に使い始めて感じたことですが、メールを送る側としても、「自分が誰にどんなアクションを期待しているのか」を意識するようになるので、考えが整理されるという一面もあります。
メールを送る側、受け取る側のどちらにもメリットのある施策と言えるでしょう。
メールコード導入のためのポイント
例を見ていただいたとおり、メールコードはとてもシンプルでわかりやすい仕組みですが、コミュニケーション効率の向上が目的なので、組織のルールとして運用するというのが重要です。
実際の業務に導入するためのポイントを2つご紹介します。
(1)ユーザー辞書にメールコードを登録する
たとえば【要FB】を普通に変換で出そうとすると、 「 を打って 【 に変換し・・・というのをやらねばならず、ちょっと面倒ですよね。
そこでフローレンスでは、Google日本語入力のユーザー辞書機能を利用して、
ふぃ
と打ってスペースキーを押すと、
【要FB】【迄】
と変換されるようにしています。(【迄】は、期限を入力するエリアです)
こういった工夫は、ITが得意な方は自分でやっている場合も多いと思いますが、フローレンスの場合、この設定は、業務用PCの設定マニュアルに、PCの初期設定の手順として記載されています。
ユーザー辞書のインポートデータも共有フォルダ上に置いてあるので、全スタッフで、同じように変換ができるようになっています。
これによって、メールコード利用の負荷をぐっと下げています。
(2)スモールスタートで始める
こういった社内ルールを決めようとすると、「【共有】のなかでも、マネージャには知っておいて欲しい場合は【MGR共有】にしよう」といったように、細かくやりすぎて、ルールを覚えるのが大変で運用がうまくいかない・・・などとなりがちです。
ですのでまずは、コードは簡単に【共有】【要FB】【依頼】【意思決定】くらいにしておき、とにかく使い始めてみるというのをおすすめします。
メールコードは導入にいっさいコストがかからないというのが最強のポイントなので、とにかく運用してみるというのが大事です。
こういった施策は、実際にやってみないと、組織にあったかたちというのは見えてこないものです。ある程度運用した上で、組織の都合に合わせてカスタマイズしていくのがいいと思います。
番外編:組織でやることのハードルが高いなら
ここまで読んで、「たしかによさそうな仕組みだけど、いきなり組織のルールにするのは難しい」と感じる方もいらっしゃると思います。
そんな方には、「とりあえず自分が送るメールにコードをつけてみる」ことをおすすめします。自分ルールにしてしまうということです。
費用や時間のかかるものではありませんし、コード付きのメールを受け取った側からすれば、「なるほど、依頼事項があるのか」「フィードバックが欲しいのか」など、メールの意図がよく理解できるようになります。そして自分にも相手にもいっさいデメリットはありません。
コツコツとコード付きのメールを送り続けていれば、そのうちその有用性が他のメンバーにも染み入って、皆で使うようになる・・・かもしれません。
他人の行動を変えることは簡単ではありませんが、自分の行動を変えることは今すぐにでもできます。メールに問題意識を持っているのであれば、ぜひ試してみてください。
さいごに:相手を意識した情報の伝え方
フローレンスのメールコード利用ルールのひとつは、「期限設定で『なるはや』はしない」というものです。
送った側は「すぐやってほしかった」、受けた側は「数日中にやればよいと思った」というように、曖昧な表現で認識の違いが埋まらず、トラブルに・・・ということは、皆さんも経験があるのではないでしょうか。
「今日中」「明日中」など期限を伝えることは、気まずく感じることもありますが、受け手はその期限で難しければ難しいと言えばよいだけです。
メール処理では、「誰に何をしてほしいか、あえてぼかしたメールを送ることで、いろんな人に助けてもらおうとする」という高等テクニック(?)もあったりしますが、実際のところ、それは送り手の怠慢にほかなりません。
「行間を読む力」は大事ですが、それを前提として組織のコミュニケーションを成り立たせるのは不可能でしょう。(誰もが行間を読みまくる職場というのも、息苦しい気がします・・・)
曖昧なものを、相手にわかるよう明確にして伝えるということが、仕事のコミュニケーションの基本ですよね。
さいごに、フローレンス代表理事の駒崎が、メールコードを使ってどんな効果があったか、著書の『働き方革命』から引用します。
社内でやり取りする全てのメールをコード付きにすることによって、圧倒的にメール処理の時間が早まった。それまで5分に1回メールチェックしていたのを、一日2回にスマート化することができた。メール処理にかける時間が3時間半から1時間になった。にもかかわらずコミュニケーションの滞りは全くなかった。自分のメールチェックの無意味さに、また驚愕した。
メールは多くの組織で主要なコミュニケーションツールとして使われており、小さな工夫でも、レバレッジは想像よりずっと大きくなる可能性があります。
メール処理に時間がかかって困る、という方は、ぜひメールコードを試してみてください!
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