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【寄付者インタビュー】初めての起業、初めての寄付。その裏にあるストーリーとは?

【寄付者インタビュー】初めての起業、初めての寄付。その裏にあるストーリーとは?

#寄付

フローレンスの活動は、皆さんからのご寄付によって支えられています。

親子に関する様々な社会問題の解決に向け、私達と志を共にしてくださる寄付者の皆さん。

一人ひとりからのご寄付の裏には、様々なストーリーがあります。

今回は寄付者の方への訪問を通じて、寄付に込められた想いをお伺いしました。

 

 

独立のタイミングで人生初の寄付――春山さんの場合

某日、フローレンス代表駒崎と広報は、2018年末に「フローレンスの活動全体へのご寄付」として大きなご支援を届けてくださった春山周夏さんのお宅に伺いました。

今回、人生で初めての寄付をされたという春山さん。

技術士としてのスキルを活かし、昨年の春に独立して「技術士CE(コンサルティング・エンジニア)事務所」を立ち上げられたばかりだそうです。

まずは、代表駒崎から春山さんへ、ささやかながらお礼の気持を込めて感謝状を贈呈させていただきました。

 

写真左よりフローレンス代表 駒崎、春山周夏(ハルヤマシュウカ)さん

 

なぜ、春山さんは独立のタイミングで、フローレンスへの寄付を決意されたのか。

代表駒崎からお話をお伺いしました。


 

中小企業の技術不足課題を解決したい。資格を活かして独立へ

駒崎:独立されて、もうすぐ1年になるそうですね。お子さんもいらっしゃる中で、なかなか勇気のいる決断だったのではないですか?

春山さん:私は技術士という国家資格を持っているのですが、その資格を持つ人のコミュニティの中で、たまたま独立した人の話を聞きました。数は少ないのですが、同年代で独立している人もいるということを知り、そんな世界もあるんだなと思って…という感じでした。

駒崎:「技術士」という資格について、あまり馴染みがないのですが、具体的にはどんな資格なんですか?

春山さん:医師の資格などとは違って、この資格を持ったから具体的に何かができるようになるというものではないのですが、専門能力をあらわす指標にはなります。

自分が今まで積み上げてきた技術がどのくらいのものなのか、チャレンジしてみたかったんです。

技術士とひと口にいっても、機械、原子力、航空、繊維、環境…など、約20の部門があります。私は機械部門の技術士です。

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(春山技術士CE事務所HPより)

 

駒崎:独立を決心したきっかけは何だったんですか?

春山さん:私は元々、大きな企業で働いていました。工場の中に新しい機械を導入して自動化したり、危険な作業を安全にしたりといった生産技術を担当していました。

大きな組織で働く中で、ここには人材も資源も豊富にあるけれど、お付き合いのある中小企業の中には技術不足で困っている現場がたくさんあるなということを知りました。

そんなとき、さっきお話した技術士コミュニティの中で独立した人の話を聞いたというのもあって…色々なタイミングが重なったんです。

駒崎:技術者と聞くと、確かに大きな工場や組織の中にいる人というイメージがあったのですが、独立しコンサルするという働き方は新鮮な感じがしますね。

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春山さん:私自身も、独立・開業自体は自分のような技術者には縁のない世界だと思っていました。でも、技術者って組織の中にこもりがちなので、世の中のニーズに気づかないことも多いんです。

当たり前だと思っていた技術が、外に出ると誰かにとって革新的な技術だったりして、面白いです。

独立してから、「こういう人がいないか、ずっと探してた」と言われたときは、やってよかったと思いました。

自分自身、過去にうつ病になって半年くらい働けなくなった時期があって……製造業の中で苦しんでいる人を技術で楽にしたいという気持ちもあります。

あとは、Amazonにもおすすめされて……

駒崎:Amazon?

春山さん:Amazonで買い物をしていたら、おすすめ商品の欄に「技術士 独立・自営のススメ」という本が表示されていて(笑)

駒崎:見えざる手に導かれたんですね!(笑)

春山さん:AmazonのAI、優秀だな~と思いました。(笑)

子どもの顔が見られなかった生活から、一変

 

駒崎:独立して、生活は変わりましたか?

春山さん:前職では平日の間ほとんど出張だったので、土日だけ家に帰っていましたが、今は毎日子どもに会えています。昔は日曜夜になると子どもから「もう行っていいよ」「バイバーイ」と言われていましたが、今思えば強がりというか、心配させないように言っていたのかなと思います。最近はかなり甘えてきます。子どもに無理をさせてしまっていたんだなぁと。

駒崎:良かったですね…!パートナーさんや親御さんも応援してくれているんでしょうね。

 

春山さん:一番はじめに、妻に独立の相談をした時のこと。ひとこと、「顔が暗い!」と言われました。

「なに?」と聞くと「独立・開業って、自分の好きなことをやるんでしょ。それを語る顔が暗い。楽しくないならやめとき」と言われました。

駒崎:ちょっとかっこよすぎませんか?

春山さん:こっちとしては一大決心で言ったのに、笑いながらそんなこと言われてしまって…ぐうの音も出なかったです。(笑)

駒崎:春山さんに楽しく自分らしく働いてほしいという思いがあったからなんでしょうね。愛ですね!

春山さん:言っても聞かないと思われていたかもしれないです。(笑)それに、妻の父も事業主、僕の両親も自営業だったので、会社員がそもそも少なくて抵抗が少なかったというのもあるかもしれません。

駒崎:うちも母は自営業だったので、その感覚はわかります。

春山さん:独立の苦労を知っているということもあり、妻の母に話すときが一番緊張しました。以前から色んな話を聞いていました。輸入業をやっていたので、貯金がゼロになったとか、輸入したのに売れなかったとか……家の中がヒラメだらけになったとか……(笑)正月に集まったときに聞く笑い話だったんですが、いざ自分が起業するとなると笑えなくなっちゃいましたね。

独立については意外とすんなり受け入れてくださって、「独立するのであれば、自分の手を一つ動かすにしてもお金がかかるんだと心得てやりなさい」と言われました。なんでも安請け合いしないようにしなさい、と。

駒崎:言葉に重みがありますね。

春山さん人生の達人だと思いました。また、実の父からはこういわれました。「おぉ、そうか。まぁ頑張れや」

男同士はこんなもんですね。(笑)あっさりしているように見えますが、それは信頼の裏返しだなと感じましたし、よし!頑張ろう!!と決意を固めることができました。

 

 

売上の3割を寄付すると決めた。きっかけは自分への戒め…!?

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駒崎技術士のコンサル事務所、ということですが、コンサル先を探すのは苦労されましたか?

春山さん:しばらく無収入も覚悟していたのですが、本当にご縁に恵まれて、9月に大きな契約を1ついただきました。その他にも単発で技術的なレポートを依頼されたり、ちょっとしたセミナーを行ったり……なんとか軌道に乗りました。

駒崎:初年度から順調に黒字化って素晴らしいですね。あまり無いことです。

春山さんうまく行き過ぎだなと。コンサルタントとして独立したわけですから、いろいろな会社さんと契約して色々な問題を解決していきたいんですが、大きな案件をひとついただいて、安心してしまっている自分がいました。これではいけないと思いました。

「たまたま運が良かっただけで、自分の実力ではない」と割り切って、売上の3割を寄付しようと思いました。

駒崎:ストイックですね!!僕なんか、独立した年は自分が飢え死にしないかどうかばかり心配していました。

春山さん:でもそれを妻に言ったら、「そんなお金あるんやったら海外旅行にでも連れて行け!」と言われてしまいました(笑)。GWはシンガポールに行こうと思います。

駒崎:よかったです。僕らのせいで家族の仲に不和が生まれなくて(笑)

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人生初の寄付、フローレンスへの支援の決め手は

 

春山さん:寄付しようと思ったのは良いのですが、寄付に関する知識が全く無くて、ぱっと思いついたのは赤い羽根募金やユニセフでした。ただ、大きいところよりも、もっと身近なところに寄付したいなと思いました。

私自身、第2子が生まれたときに2ヶ月の育休をとったんです。子どもはふたりとも帝王切開だったので特に産後、妻の負担が大きかった。それに、実家は京都だったし…ということで育休をとったんですが、育児は本当に大変でした。

また、知り合いは皆共働きなんですが、知り合いから「フローレンスの病児保育を使ってるよ」「結構お世話になっているよ」という事を聞いたこともあって。じゃ あそこにしようかなと思いました。

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駒崎:嬉しいなぁ。人生初の寄付先に私達を選んでいただいて、ありがとうございます。

春山さん:それから、ホームページでもフローレンスの事を調べて、駒崎さんが私と同い年でびっくりしたというのもあります。同い年の人でこんな事をする人がいるんだ!と思って寄付を決めました。

駒崎:そういえば同い年ですね!よかった、39歳で……(笑)。

日本ってまだまだ寄付をする文化が根づいていないと思うのですが、そんな中、独立初年度に寄付が頭に浮かんでくる事自体、とても素晴らしいことだと思います。

 

独立を考えている人、寄付を考えている人に向けて

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駒崎:これから起業される方に向けて、どんなメッセージを送りたいですか。

春山さん:たまに、独立を考えている技術者の方から相談を受けたりするのですが、会社員として10年くらいこつこつ仕事をやっている人って、やっぱりそれなりに積み上げてきたものがあるなと感じています。チャレンジしたいものがあるのであれば、臆せずやってみたら良いと思います。

また、技術者の方向けに独立・開業の話をさせて頂く機会があるのですが、そこで寄付をした話もします。

会社員は月額で決まった給料がありますが、独立すると、売れば売るほど売上は上がります。それで罪悪感を感じるのか、開業している人でも安請け合いをしてしまう人が多いんです。そうではなくて、自分の技術の対価はきちんと頂いた上で、その分寄付をしたら良いよという話はします。

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駒崎:適切な価格を設定するのは大切なことですね。必要以上に安く受けてしまうと、業界全体のダンピングにもなってしまうので。寄付の話をすると、どんな反応をされますか?

春山さん:「すごいね」とは言われますけど、同世代の人のほうが共感してくれていると感じています。ちらほら寄付してみたよ、という話も聞きますし。

駒崎世代的に、社会をもっと良くしたいとか、他者に還元したいというのがあるのかもしれないですね。

春山さん:阪神淡路大震災があったり、東日本大震災があったり、人生の中で「寄付」や「募金」というワードが割と身近にあったかもしれないですね。私は自分の子どもを育てることしか出来ませんが、このお金がなにか日本の子どもたちのためになったらいいなと思います。

フローレンスさんの活動を、これからも応援しています。

駒崎:ありがとうございます。春山さんが多くの企業の技術現場を良くするために尽力されて得られたお金が、こうして別の課題解決の投資に使われ循環していく…。社会を共に変えていく仲間になっていただき、本当に心強く思います。

(終)


 

お子さんのおもちゃに囲まれた賑やかなお部屋に迎えて下さり、優しい眼差しで想いを聞かせてくださった春山さん。

改めて寄付に込めた想いに触れ、私たちも身の引き締まる思いがしました。

皆さんから託していただくご寄付は、日本国内の子どもの福祉喫緊の子育ての課題解決のために活用させていただいています

ご支援者一人ひとりのストーリーと共に、フローレンスはこれからも走り続けます。

フローレンスでは、様々な寄付の方法をご用意しています。

クレジットカードはもちろん、Amazon Pay、銀行振込でのお支払いもできます。Amazon Payでは、ワンコインからの寄付も可能です。

また、フローレンスは寄付控除対象となる東京都の認定を受けている認定NPO法人です。制度を利用し確定申告をすることで、フローレンスへの寄付金の最大約半分が戻ります。

寄付金控除について詳しくはこちらをご覧ください。


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