男女共同参画社会基本法が施行されて、20年が経ちました。
男女が互いに人権を尊重しつつ、能力を十分に発揮できる――そんな社会を目指して施行された法律ですが、こうした社会の実現を体感できている人はまだまだ少数なのではないでしょうか?
新しい時代が始まろうとしている今、まだ男女差別?
2018年、平成が終わりを迎え、新しい時代へと変わろうとしているときに、ある男女差別問題が明るみになりました。
大学医学部の入試で、女子学生が不利になるように点数が操作されていた問題です。
そうした対応は1つの大学ではなく、複数の大学で行われていました。
この点数操作の理由として、大学側は「女性医師は将来、出産・育児を控えており、職場復帰が難しいことや当直や緊急時の対応が困難であること、その結果医師不足が見込まれるため」と説明しました。
こうした「出産・育児を経ると医師として職場復帰できない」という課題を、その医師が「女性だから」という理由で片付けてしまっていた考え方は、新たな時代を迎えた今でも、様々なメディアで現代に残る男女差別として大きく取り上げられています。
Gender equalityが実現できていない現代
フローレンスは今年で設立15周年を迎えましたが、この15年間、様々な子育てや保育に関する社会課題に立ち向かってきました。
その中で感じるのは、子育てに関わるあらゆる課題は、gender equality(男女同権/ジェンダー平等) が実現されていないことに起因する、ということ。
病児保育が増えないこと、保育園が増えないこと、ワンオペ育児が平然とあること、ワンオペ育児によって児童虐待がおこること……。
こうした社会課題の多くは、「子育ては女性の問題」とされ、子育てを経験しない男性らが国会で多くの議席を占め、政策として議論が巻き起こりにくい環境に起因しています。
Gender equalityを実現するためには、私たちが活動する子育てや保育のフィールド以外からも働きかけていく必要性を感じました。
あいちトリエンナーレ協賛の背景
こうした課題を感じていた最中、Gender equalityの実現に向けて『あいちトリエンナーレ』が動き始めた、と一報を受けたのは、2019年4月のことでした。
大学の医学部に限らず、美術界にも男女差別はある――この問題を世の明るみに出し、国際芸術祭を通じてGender equalityを実現するとおっしゃったのは、ジャーナリストでありながらも、『あいちトリエンナーレ2019』の芸術監督を務めていらっしゃる津田大介さんでした。
あいちトリエンナーレがこれまでの芸術祭と大きく違うのは、「アファーマティブ・アクションとして、参加作家の男女平等を実現する」という点。
※アファーマティブ・アクション:弱者に不利な現状を積極的に是正する動き
もちろん、女性の参加比率を上げるために、やみくもに採用したわけではなく、今回のテーマ「情の時代」に合致する作品かどうかを重視しての選定が行われたとのこと。
また、芸術作品への制作費用が低く見積もられており、予算が不足していること、こうした業界の体質を改善していきたいことなどを、津田さんから伺いました。
フローレンスが立ち向かっている子育てをめぐる社会課題との闘いは、Gender equalityをめぐる闘いでもあります。あいちトリエンナーレも、同じく美術界でGender equalityを実現するために闘っています。
こうした動きに私たちも賛同し、女性作家さんを支援したいという思いから、協賛を決めました。
あいちトリエンナーレは8月1日開幕!
あいちトリエンナーレは本日、2019年8月1日に開幕します。
10月14日(月・祝)までの75日間の会期中に、ボランティアによるガイドツアーや、アーティストとみるツアーなど、様々なイベントも催されます。
また、託児サービス(要予約)もあるので、お子さんと一緒でも安心して芸術祭を楽しむことができます。
この夏のお出かけ先としていかがでしょうか。
あいちトリエンナーレを通じて、皆さんがGender equalityを考えるきっかけを提供できたら私たちも嬉しいです。
▼フローレンスのGender equalityへのこれまでの取り組み
▼妊娠中の女性・生まれてくる赤ちゃんを風疹から守るために、本部・保育現場のスタッフに風疹の予防接種を実施。定期予防接種の対象外である30~50代男性も風疹の免疫を獲得。
▼「育休は休暇じゃない!でっかい仕事だ」男性育休取得率100%のフローレンスに務めるパパ社員たちの本音トーク!
▼男女格差を身近な社内文化から変えていこう!「ご主人様」という呼称の廃止を行いました。