フローレンスは2019年10月16日(水)、東京都千代田区の日本出版クラブ会館にて、ご支援企業向けの事業報告会を開催しました。法人向け事業報告会では、寄付やサービス提供などのご支援をいただいている企業のCSRや広報のご担当者をお招きし、フローレンスの活動成果をご報告しました。
現在、フローレンスを支援してくださっている企業は100社以上にのぼります。平日のお忙しい時間帯にもかかわらず、今年も22社29名の方にお越しいただきました。
事業報告会のタイトルは「みんなでつくる親子の笑顔」。今年15周年を迎えたフローレンスは、この15年のあいだに寄付者の皆さんと一緒に社会課題を解決し、たくさんの親子を笑顔にしてきました。
今回は、フローレンスの15年間の歩みを振り返るとともに、4人のパネリストの方にご登壇いただき、「パネルディスカッション~シナジーを創出するCSRの舞台裏~」を実施しました。
さらに、会場の皆さんにもワークショップ「やってみたい宣言」にご参加いただき、フローレンスと“やってみたい”取り組みのアイデアをざっくばらんに挙げていただきました。
当日ご都合のあわなかった皆さんや、フローレンスの活動に興味を持ってくださっている多くの皆さんにも、このレポートを通して当日の様子を少しでも知っていただければと思います。
親子領域の社会問題を日本で一番解決できる団体になっていきたい
はじめに、代表・駒崎より15年間の活動についてのご報告を行いました。
フローレンスは2004年の設立以来、日本初の訪問型病児保育事業をはじめ、小規模保育園を全国に広めるきっかけとなった「おうち保育園」、日本初の障害児保育園「ヘレン」、障害児訪問保育「アニー」、そして2019年にスタートした医療的ケアシッター「ナンシー」などの革新的な事業を通して、数えきれないほど多くの親子を笑顔にしてきました。
このように「社会課題への小さな解」を事業として生み出し、全国に拡散して制度化にまでこぎつけることができたのは、ひとえにご支援くださっている法人・個人の皆さんのおかげです。
駒崎は、これまでご支援くださった皆さんへの感謝を述べるとともに、今後のビジョンについても言及しました。
社会課題の解決に次々と取り組めたのは、皆さんがパートナーシップを組んでくださっているおかげです。起こした事業は、どれ一つとしてすぐに収益化できるものはありませんでした。どの事業も最初の数年は赤字続きでしたが、皆さんからのご支援があったからこそ、なんとか軌道に乗せることができたのです
フローレンスは、子どもの問題を日本で一番解決できる団体になることを目指しています。いつかは「日本に待機児童なんてあったの?」「家事育児しない男性がいたの?」と言われる社会をつくりたい。そのためには、今後も皆さんのご支援が必要です。さまざまな社会課題を、皆さんと一緒に解決していきたいと思っています。これからもぜひ、お力をお貸しください
パネルディスカッション「シナジーを創出するCSRの舞台裏」
続いては4名のゲストの方にご登壇いただき、「パネルディスカッション~シナジーを創出するCSRの舞台裏~」を行いました。
登壇者の皆さんはいずれも、CSRのトップランナー企業。実際に取り組んでいるCSR活動の内容や苦労話、工夫についてご紹介いただける贅沢な機会となりました。
2017年の小林製薬青い鳥財団の設立に尽力し、評議員を務める山根さん。小林製薬青い鳥財団は、病気や障害を持ったお子さんとご家族を支援するために設立されました。
設立のきっかけは、なんとフローレンスの活動を新聞やテレビなどのメディアで見かけ、「医療的ケア児」への支援に関心を持ったことだそう。フローレンスが生み出した「小さな解」の影響を、ここでも知ることができました。
青い鳥財団は、小林製薬の株の配当金を活動原資とした恒久的・持続的な事業であることが強みです。設立にあたっては株主の説得に苦労したとのことで、山根さんは当時を振り返り、「納得していただくにはやはり実績で示さなければ」と語りました。
伊藤さんはジョンソン・エンド・ジョンソンの企業理念である「我が信条」の第三の責任をもとに社会貢献活動、特に地域社会への貢献に取り組まれています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンが社会貢献活動で目指すのは、社員・会社・NPOの三者にとってWin-Win-Winであり、長期的な関係を継続する事。社会課題に対して最前線で取り組むNPOに対し、社員の方々はそれぞれ自分のできることを活かして協力しているそう。フローレンスも、「赤ちゃん縁組」の養親さんの教育やプログラムの構築においてご協力いただいています。
伊藤さんは今後について、「培ってきたビジネスの発想やスキルを、社会貢献活動にも、さらにうまく取り入れられるようにしたい」」と語りました。
株式会社セールスフォース・ドットコムで社会貢献部門のディレクターを務める松山さん。かつてはフローレンスの理事を務めながら、別の企業でも社会貢献活動に取り組まれていました。
現在勤務されているセールスフォース・ドットコムは、クラウドサービスを提供する企業。創業者が社会貢献に強い思いを持っており、「世の中を良くすることがビジネスの本質である」という全社的な信念に基づき、社員の就業時間の1%、株式の1%、製品の1%を社会に寄贈する「1-1-1モデル」というビジネスと社会貢献を統合したモデルを実践しています。フローレンスも、病児保育のシステム構築において、2004年3月にSalesforce製品の無償提供を受けたことをきっかけとして、その後さらなる活用を進めています。
また、セールスフォース・ドットコムでは、社会貢献活動を文化として浸透させるために年間8時間×7日間のボランティア活動をすることが共通の目標となっています。それぞれの社員が自分の興味関心にあったボランティアを行い、社内SNSでの情報共有、報告を行うことで意識を高め合っているそうです。
2007年にプレスリリース配信サービス「PR TIMES」を立ち上げた山口さん。PR TIMESは3万3千社、国内上場企業の37%が利用するプレスリリースのプラットフォームです。
PR TIMESはフローレンスを含む多くのNPOやNGOに対し、活動や成果について発信する場としてサービスを無償提供しています。さらに、災害によるイベント開催中止等の情報、避難情報なども無償で提供。東日本大震災や熊本地震、最近では台風19号の際にも、PR TIMESを社会的な情報流通インフラとして広く活用いただきました。
東日本大震災の際は、社員の方々自身も被災した立場でした。それでも、「情報のプラットフォームとして災害に関わる情報発信を支えなければ」という気持ちで支援を行っていたそう。山口さんは「災害時の対応については今でもジレンマを抱いている」と語りました。
ワークショップ「やってみたい宣言」フローレンスとやってみたいことを自由に提案
続いては、ご来場の皆さんに6人1組のグループを作っていただき、ワークショップ「やってみたい宣言」を開催。今回のワークショップでは、“フローレンスとやってみたいこと”を自由な発想で提案していただきました。その一部をご紹介します。
子どもたちがやりたいことをデザインする“子ども匠Method”のワークショップを開催し、リーダーシップや思いやりの心を学んだり、友達づくりができたりする場にしたい
株式会社匠BusinessPlaceさん
子育てを応援する署名キャンペーンを自社サイトで増やしたい
Change.org JAPANさん
個々の家庭の課題や幸せを多くの人にシェアするために、ミニドキュメンタリー映画のワークショップを開催したい
natural Paradoxさん
保育園向けの写真販売プラットフォームをつくりたい
株式会社リコーさん
そのほかにも、多くの素敵なアイデアが寄せられました。
これからも小さな奇跡を生み出すため、皆さんと共に走っていきたい
最後に、代表・駒崎が改めて感謝の気持ちを述べました。
この3時間、会場の皆さんと濃密な時間を過ごすことができ、より絆を深められたかと思います。
私たちが行う「赤ちゃん縁組」では、新しい家族が生まれる奇跡の瞬間に立ち会えることもあります。もしかすると亡くなってしまっていたかもしれない赤ちゃんが、新しい家族に出会ってたくさんの愛情を受ける。そんなとき、私はこの仕事を誇りに思います。
「赤ちゃん縁組」も、寄付によって支えられてスタートした事業です。皆さんのご支援があったからこそ、新しい家族の誕生という小さな奇跡が生まれました。これからも小さな奇跡を生み出すため、共に走っていきましょう。
【最後は「やってみたい宣言」のパネルを持って記念撮影!】
また、コストコホールセールジャパン株式会社さんが、来場者の方々にお茶を提供してくださいました。ありがとうございました!
参加企業(五十音順):
アーバン建物株式会社
株式会社アクトローカル
株式会社朝日広告社
株式会社アダストリア
ウイングアーク1st株式会社
エーザイ株式会社
株式会社エレファント
株式会社CROSSY
公益財団法人小林製薬青い鳥財団
ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ
株式会社セールスフォース・ドットコム
株式会社ダッドウェイ
特定非営利活動法人チャリティ プラットフォーム
ティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社
豊田通商株式会社
鳴海製陶株式会社
株式会社PR TIMES
ファンタジーリゾート 株式会社
株式会社 Brillar
株式会社マネーライフプランニング
三菱食品株式会社
株式会社Yom
株式会社リコー
株式会社林間
医療法人社団レニア会
ワタミファーム&エナジー株式会社