今年のインフルエンザは流行時期が早く、都内の小学校では既に学級閉鎖になっているところもあるようです。
皆さんはインフルエンザの予防接種を受けましたか?
先日フローレンスでは提携するマーガレットこどもクリニックの医師と看護師が神保町オフィスでスタッフにインフルエンザの予防接種を行いました。
インフルエンザの感染力は非常に高く、ウイルスが体内に入ると急激に増殖を始めます。
1個のウイルスが体内に侵入してしまうと、8時間後には100個、24時間後には100万個に増殖すると言われています。
特に子どもは、罹患すると重症化しやすいため注意が必要です。
フローレンスの保育塾は、プロが学ぶ場
障害児保育、病児保育、認可保育園事業、さまざまな保育現場を運営する保育事業者フローレンスでは、現場の保育スタッフ向けに自主参加型の研修「保育塾」を毎月違うテーマで開催しています。
11月の保育塾では、「冬の感染症に備えよう!~もらわない・うつさない・ひろげない~」をテーマにフローレンスの病児保育事業部で看護師として働く前田優美が講師となり、開催しました。
保育現場のプロたちが学ぶ、「冬の感染症対策」とはどのようなものなのでしょうか・・?
菌やウイルスはどのように体内に入り感染するのか
ドアノブ、スイッチやリモコン、手洗いした後に使用しているタオルといったように、皆さんの日常生活の中にはたくさんの菌やウイルスが潜んでいます。
菌やウイルスは目には見えません。そのため知らずしらずのうちに菌やウイルスに触れていることになります。
ただ安心してください。
菌やウイルスを触るだけで風邪、インフルエンザ等には感染しません。
それではどのような経路で体内に菌が入り、風邪やインフルエンザに感染してしまうのでしょうか。
感染とは、菌やウイルスが(※1)接触感染または、(※2)飛沫感染のルートで体内に入り風邪等の症状を引き起こすことです。
(※1)接触感染:皮膚や粘膜の直接的な接触、または手すりやタオルなどのような物体の表面を介しての間接的な接触により、病原体が付着した手で口や鼻等を触ることで粘膜から感染すること
(※2)飛沫感染:咳やくしゃみ、会話の時に空気中に拡散された病原体が体内に入りことで感染すること
菌やウイルスが目に見えずに触れているのに気がつかないように、気がつかないうちに菌やウイルスを体内に入れてしまっているのです。
1日の自分の行動を振り返ってみましょう。
菌やウイルスのついた手で鼻をかんだり、手を洗わずに食事をしたりしていませんか?咳やくしゃみをするとき必ず手を添えていますか?
くしゃみや咳で飛び出した飛沫は、半径2mの範囲に飛ぶとされています。
くしゃみや咳で飛び出した飛沫を吸い込まないためには、単純に2m以上離れて話すことが求められます。
ただ人と話すときに2m以上離れて話すほうが不自然ですよね。
そんなとき今日からできる予防策をお伝えします。
予防策1 咳エチケット
咳やくしゃみをするときにはティッシュ等で口と鼻を被い、1m以上離れることが重要です。そして何より大事なのは、そのティッシュをすぐ捨てることです。
1m以上離れたところで咳やくしゃみをし、使ったテッシュをすぐ捨てる。これで菌やウイルスの感染を防ぐことができます。ただし、現実的にこの咳エチケットができない場面も多いと思います。
予防策2 マスク
そんなときは、サイズの合ったマスクを鼻・口を覆うように着用しましょう。
マスクの付け方にもポイントがあります。イラストをご覧ください。
(参照:https://med.saraya.com/kansen/ppe/chakudatsu/mask.html)
ときどき鼻だけマスクから出ていたり、鼻も口も両方出ていて顎あたりにマスクをしている人が見受けられますが、その付け方では残念ながらマスクの意味がありません。
マスクを効果的に使用し、菌から身を守りましょう。
それでもマスクを着用すると息苦しくなってしまうこともあり、子どもはマスクを嫌がり着用してくれないことも多々あると思います。そんなときは子ども用にかわいいデザインのものを用意して興味を持ってもらうと良いかも知れませんね。
着用するだけではなく、マスクは外し方も重要です。
マスクは口に触れている内側と外気に触れている外側どちらの方が汚いと思いますか?
私は外気に触れている外側の方が汚いとずっと思い込んでいました。
私と同じ様に外側の方が外気に触れているため汚れているのではと思われがちですが、実は内側も同じくらい汚れています。内側も咳やくしゃみなど体内から排出された菌が付着しているのです。
マスクは基本的に使い捨てなので、1日中繰り返し使うのではなく、マスクの紐の部分を持ちながら外し、紐以外の場所は触らないようにすぐに捨てましょう。
予防策3 手洗い ~1アクション1ウォッシュ~
基本的には手洗い・うがいが1番大切です。
菌やウイルスを寄せ付けないことは大切ですが、気がつかないうちに着いてしまった場合は、洗い流すことが必要になります。
この手洗い・うがいという予防策にも実は落とし穴があるのです。
手を洗ったあと清潔なタオルで手を拭いていますか?
せっかく手を洗って菌を洗い流したのにも関わらず、多くの人が使用したタオルで拭いてしまうことで、また菌が付着してしまう可能性があります。
この菌付着サイクルを断つためは、空気が乾燥し感染力があがっている冬の間だけでもペーパータオルや紙コップを使うことをおすすめします。
そして何か1つのことをしたら1回手を洗う、1アクション1ウォッシュの意識がけが必要になります。手洗い・うがいにプラスして乾いた手にアルコール消毒をすると効果アップ!
まんべんなく伸ばせるジェル状のアルコール消毒がおすすめです。
それでも感染してしまった場合は
まずは環境を整えましょう。
季節に合わせた適切な室温や加湿、そして換気が大切です。
これからより寒くなり気温が下がりますが、換気を意識的に行うことで感染拡大防止になります。改めてバランスの良い食事、休養を心がけましょう。
また、フローレンスの保育園では、おもちゃの除菌や嘔吐してしまったときのために次亜塩素ナトリウムを用途によって濃度を変え使用しています。
ノロウイルス対策にはアルコール消毒より次亜塩素ナトリウムの効果は絶大なのですが、作り置きは推奨できません。なぜなら、時間の経過とともに次亜塩素ナトリウム液は蒸発してしまい濃度が薄まってしまうからです。
必要になったタイミングで適切な濃度の次亜塩素ナトリウム液を作れるようにするためには、職員間で連携取れるよう日々シュミレーションを行うことが大切かもしれません。
毎回保育塾では、訪問型のマンツーマンで行う病児保育や障害児保育スタッフ、小規模認可保育園で0~2才児までの子どもたちの保育を行っているスタッフが参加し学んでいます。
訪問型で保育現場は利用者宅のスタッフ、施設型で保育現場は保育園のスタッフなど毎日の保育環境は様々です。異なる状況であってもその時々の最善の保育を行っています。
保育塾では普段知ることのできない隣の保育を共有しあうことで、それぞれの保育士自身の保育に活かせる学びを得ることもできます。
フローレンスの保育現場では、日々試行錯誤して冬の感染症流行期に備えています。
訪問型のマンツーマンで行う病児保育では、子どもが嘔吐してしまったときの対応ももちろん1人で行います。新聞紙を広げ飛び散らないようにしつつ、自身の感染予防、保育の継続のために迅速な対処が求められます。
また日々の保育では下痢や嘔吐に備え、嘔吐物をすぐ入れられるようビニール袋を多めに借りたり、嘔吐物の飛び散りを防ぐために新聞紙を多めに借りる等保護者とコミュケーションを図りながら大切なお子さんの保育をしています。
今回の保育塾では感染症予防方法・対策方法を学ぶだけではなく、普段自分とは異なる環境で保育をしているスタッフの対応方法を知ることで保育の幅を広げることができました。
このように、フローレンスでは日々保育現場のスタッフが専門のスキルを磨き、お子さんの保育にあたっています。
保育の質を高めながら、子どもたち1人ひとりの育ちに寄り添い、親御さんに伴走します!