子どもの貧困や虐待、障害児家庭やひとり親家庭支援などに取り組むフローレンスは、新型コロナウィルス感染症拡大を受け、日本国内の親子を支援する「新型コロナこども緊急支援プロジェクト」を始動します。
首都圏を中心に、感染者数の急増に反比例するように私たちの日常生活が失われています。
先行して外出禁止下にあるフランスやアメリカなどでは、DVや虐待が急増しており各政府が対策を発表するといった報道もありました。
すべての国民が困難に直面する今、中でも障害児を育てる家庭や頼り先が少ない家庭が孤立することによるリスクが、懸念されます。
環境的、経済的に困難を抱える子育て家庭への、サポートやセーフティネットが必要です。
フローレンスおよびフローレンスの運営する外郭団体では、3月に「一斉休校に関する緊急全国アンケート」「医療的ケア児 一斉休校に関する緊急全国アンケート」「こども宅食モデルを運営する全国団体による調査」等により、それぞれ属性の違う子育て家庭に対し緊急ニーズアンケート調査を行い、課題を抽出しました。
緊急時において、特に支援ニーズが高いのは、
「医療的ケア児家庭」
「経済困窮家庭」
「ひとり親家庭」
であることがわかりました。
それをもとに、以下の緊急支援プロジェクトを立ち上げ、本活動への支援を全国から募ります。
※以下の支援活動内容は随時更新し、活動実績や具体的な支援計画を記載していきます。(アップデート部分は赤ハイライト記載)
新型コロナこども緊急支援プロジェクト
緊急支援対象家庭は「医療的ケア児家庭」「経済困窮家庭」「ひとり親家庭」
寄付で支援を届ける支援先
①医療的ケア児と呼ばれる障害児を育てる家庭(全国の医療的ケア児者家庭、全国のNICUやこども病院などの医療機関)
②経済的に不安定な家庭(食品宅配やこども食堂などを運営する全国支援団体の利用者)
③ひとり親の家庭(フローレンス病児保育ひとり親支援プラン会員、全国のひとり親家庭)
支援内容
①いまだ不足する医療物資の提供、社会から孤立する医療的ケア児に対する支援を模索
フローレンスが事務局を運営する「全国医療的ケア児者支援協議会」で実施した全国緊急ニーズ調査アンケートによると、アルコール綿やマスク、エタノールといった医療的ケア児者の日常生活に必須となる医療物資が枯渇していることがわかりました。
全国医療的ケア児者支援協議会ではこれまでにもエタノールやマスクなどの医療物資のマッチングを行い迅速に障害児者家庭に配送を行ってきました(●寄贈者数:277名●医ケア備品を希望された家庭数:1219家庭●配送済み家庭数:503家庭)
また、本プロジェクトにいただいた寄付を原資にアルコール綿を確保し、希望する障害児者家庭への配布を進めています。(●希望家庭数:6082家庭)
しかし、まだ全国には医療物資を待っている親子がたくさんいます。
また、重い障害を持って産まれた子ども達が最初にケアを受けるNICUでも同じ課題があります。
4月末日現在、本プロジェクトに提供いただいたマスクを、全国各地のNICU14施設に合計22,000枚寄付しています。引き続き、マスクや防護服など不足している医療物資の提供を行っていく予定です。
また、コロナ情勢悪化に伴い、医療的ケア児のほとんどは特別支援学校に通えなくなっています。
障害児の学童保育とされる、放課後等デイサービスも医療的ケア児のお預かりはほとんどありません。基礎疾患を抱え感染すると重度化のリスクが高い彼らは、頼みの綱の訪問看護でさえ断らざるを得ないケースが出てきて、ますます孤立を深めていきます。長期化が予測される新型コロナウイルスの影響下で有効な解を検討し実行に移します。
②こども宅食モデルなど、食で子育て家庭支援をする全国団体の活動促進
ひとり親世帯・生活保護世帯、就学援助対象世帯、その他介護・病気・失業などで経済的に困窮し支援が必要な世帯や、見守り型支援が必要な家庭(全国)への、宅配型支援活動を強化します。
コロナ関連の緊急支援を行っている団体、および、フードバンクや子ども食堂のうち「こども宅食」モデル(宅配型)で緊急支援を行う団体など、全国10以上の団体に助成を実施します。
「宅配型」の緊急支援を行うことで、経済的に厳しい子育て家庭に直接つながり、地域で孤立してリスクを高めることを防ぎます。困っている家庭を次の支援につなぐことが可能になります。
4月末時点で、沖縄県で新しい「こども宅食」モデルの支援がスタートしたほか、全国各地で配送開始に向けた準備が進んでいます。
また、フローレンスが事務局を務める「一般社団法人こども宅食応援団」で以前から伴走支援を行ってきた全国各地の団体でも、寄付を原資に「臨時便」の配送が決定しました。(対象:400世帯・1200人以上を想定)
※こども宅食とは、就学援助世帯など経済的に厳しい子育て家庭に、定期的に食品をお届けしながら、ご家庭とつながりをもち、地域や社会からの孤立を防いでいく取り組みです。2017年文京区からスタートし、現在全国に活動モデルが広がっています。フローレンスは、こども宅食モデルを全国に拡げる活動を担う「一般社団法人こども宅食応援団」の事務局運営事業者です。
③ひとり親家庭の支援ニーズ調査・支援物資や病児保育の無料提供
勤め先の休業や学校休校措置に伴い、収入減や食費などの支出増の傾向にあります。中でも、ひとり親家庭への経済的、心理的負担は子ども達への影響も甚大です。
フローレンスでは、4月に訪問型病児保育を利用するひとり親家庭(ひとり親支援プラン利用者)を中心に、困りごとをアンケート調査しニーズを可視化しました。
調査の結果、「行政や民間企業による支援策として、どんな制度やサービスがあったら助かりますか」の問いに「ベビーシッターなど自宅で子どもをみてくれるサービス(60%)」のニーズが高くなったことを受け、フローレンスの訪問型病児保育を利用するひとり親会員の月会費無償化(5月・6月引き落とし分)を実施するとともに、健康児・病児に関わらず一人当たり月16時間の無料保育サービスの提供、きょうだい児へ保育を提供する「ひとり親・きょうだい児サポートプラン」の新設、寄付を原資とした生活必需品の提供なども行っています。
全国のひとり親家庭に向けても、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむと連携しひとり親家庭向けの食糧配送支援を実施しているほか、外部団体と連携しながら、相談窓口の運用など様々な支援内容を検討・実施しています。
また、4月24日にはプロサッカー選手の長友佑都選手がひとり親支援のためのクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げました。フローレンスもプロジェクトメンバーとして参加し、ひとり親家庭への支援をより一層強化してまいります。
使途の詳細
①ヒアリング、ニーズ調査費と結果に伴う施策に係る費用(例:訪問看護人件費等)
②食を通じて子どもの貧困課題に取り組む全国各団体への助成費
③ひとり親家庭へのニーズアンケート調査実施費用、物品や病児・健康児保育の無償提供
その他、郵送費・交通費・印刷費等の実費やスタッフ人件費等
支援先 | 支援内容 | 使途の詳細 |
---|---|---|
医療的ケア児と呼ばれる
障害児を育てる家庭 全国医療機関 | ●障害児の命に関わる医療物資の迅速な提供 ●社会から孤立する医療的ケア児に 対する支援を模索・提供 | ●ヒアリング、ニーズ調査費と結果に
伴う施策に係る費用 ●医療物資のマッチングと、物資配送 ●医療物資の購入費 |
経済的に不安定な家庭 (食品宅配やこども食堂などを運営する 全国支援団体の利用者) | ●こども宅食モデルを中心に食で 子育て家庭の支援活動をする 全国団体の活動促進 | ●全国の困窮世帯への食糧支援等、 食を通じて子どもの貧困課題に 取り組む全国各団体への助成費 |
ひとり親家庭 全国のシングルマザー家庭 | ●全国のひとり親家庭への物品寄付の
配送、支援ニーズ調査 ●フローレンスの訪問型病児保育を 利用するひとり親会員の月会費無償化、 無料保育提供 | ●ひとり親プラン月会費・無償保育提供 ●ひとり親家庭へのニーズ アンケート調査実施費用 ●食品・物資の配送費用 |
新型コロナウィルス感染症拡大に伴いフローレンスがこれまで実施した施策と成果
私たちは、新型コロナウィルス感染拡大が日本国内で本格化した2月末から「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」というミッションに従い、行動を起こしてきました。
全国アンケートを行い、子育て家庭のニーズをそれぞれ属性別に可視化しました。
それをもとに適切な支援の企画運営と、行政への提言活動を同時に進めています。
有事の時だからこそ、国内のすべての親子を置き去りにしない。
フローレンスは、子どもと親子領域の総合福祉事業者として、また国内親子領域の課題解決に最前線で取り組む団体として、全国の皆さんと共に「親子の笑顔」を守っていきたいと思います。
ぜひ、本プロジェクトへのたくさんの方のご参加をお待ちしています。ご支援よろしくおねがいします。