新型コロナウイルス感染症の拡大で、日本中の方々が厳しい環境にさらされています。
中でも、こうした経済的に困難な状況の中で家計が左右されることが多いのが、ひとり親家庭です。
ひとり親家庭のお子さんが健やかに育つように。
5年間、暖かい眼差しで支えてくださっている女性がいます。
どんな思いで、フローレンスに長い間寄付をしてくださっているのか。
代表駒崎が伺ってきました!
【インタビューをお願いした方】
Sさん、東京都在住。
フローレンスのひとり親支援へ2015年から5年間、ご寄付くださっています。
思春期に感じた 受験したくてもできない理不尽さ
駒崎:Sさん、5年という長い間、いつも寄付という形で支えてくださり本当にありがとうございます!
今日は、どうしてSさんが、ひとり親家庭への寄付を続けてくださっているのか、その思いを伺いたいと思います。
Sさんが、フローレンスを知ったきっかけは何だったのですか?
Sさん:きっかけはラジオでした、駒崎さんのお名前や活動内容を聞いて、自分もなにかできないかと思うようになり、それからネットで情報を追うようになりました。その中で、取り組みの姿勢を拝見していて、信頼できる団体だなと感じました。
私は以前からあしなが育英会にも支援をしていて、高校生や中学生から暑中見舞いが来たりして、その内容に私自身も励まされていました。勉強したい若い人たちを支えながら、もっと小さい年齢の子どもたちも支援したいと思うようになっていきました。
駒崎:そうだったんですね。Sさんは、特にひとり親家庭に寄付をくださっていますが、どうしてひとり親家庭を支えたいと思われているんですか?
Sさん:フローレンスが行っている事業は、すべて重要な事業だと思ったのですが、なぜ「ひとり親家庭の支援」に心がひっかかるのか。改めて考えると、高校時代の経験が原点かなと思います。
駒崎:高校時代の経験ですか?
Sさん:はい。当時、都立高校に通っていて、母子家庭で奨学金をもらっているという友人もいました。その頃は子どもだったので、「母子家庭は大変なんだろうな」とぼんやりと思うだけでしたが、今になって思い出すと、一人のお給料で子どもを養い進学までさせることは、どんなに厳しいことだっただろうと思います。
中でも同じ学年で3年間ずっと成績がトップだった女の子が、卒業した後すぐに就職をして、私も周りもびっくりしました。進学すると思っていたし、先生たちも進学を進めました。推薦枠でも非常に良い学校に行ける枠があったほどです。
でも、本人が言うには「私は勉強がそんなに好きじゃないから、早く働いて自分で好きなものを買いたいの」と明るく笑っていました。
しかし、母子家庭のご家庭だったこともあり、卒業後すぐに働いてお母さんを助けたいと思ったのではないかと想像します。
駒崎:身近な友達の境遇が、今でも心に残っているんですね。
Sさん:そうなんです。自分は平和に受験ができること、そして受験したくてもできない人もいる理不尽さを思春期に感じました。こうした高校時代の思い出が原体験になっているのかなと思っています。
私自身子どもが欲しくて不妊治療もしましたが、結局2回流産してことで子どもを授かることは諦めました。でも、子どもに関わる支援事業に少しですが寄付できたらと考えるようになっていきました。
子どもの貧困が珍しくない今の時代 将来日本を支える子どもたちのために
Sさん:私が寄付をしているひとり親支援の対象者の方は母子家庭の方が多いと思います。母子家庭の方々が養育費をもらわないで生活するというのは大変なことだと思いますが、養育費はどのくらいもらえているのでしょうか?
駒崎:実際、日本は先進国の中で養育費の支払い率は最低で、25%しか支払われていません。養育費の平均は1家庭2~5万円くらいといわれています。ですが、支払われていない家庭が多いため、苦しい思いをされている母子家庭がほとんどです。
養育費の未払いは、子どもの貧困にも大きな影響が出ていると考えます。
Sさん:バブルを経験している私達にとっては、子どもの貧困なんて信じられず、なにそれ!と驚く感覚でしたが、今では珍しいものではなくなっていますね。
私自身、両親を介護することになったときにも気づいたこともありました。ケアマネージャーを始めとする方々に、介護する人間も含めて支えていただいたのですが、高齢者へのケアや地域のシステムは充実しているのに、子育て中のお母さんがたを助ける制度や仕組みがないなと。
今後日本社会を支える子どもたち、そして子どもたちを育てる親御さんたち、特にひとり親家庭の親御さんのためにも、今の時代の理不尽さをなんとかしたいと思っています。
駒崎:ありがとうございます!Sさんのように、同じ志を持ち支援くださる方いることが、本当に心強いです!
今後、フローレンスに期待することや、フローレンスに目指してほしいことなどはありますか?
Sさん:中高生以上になると奨学金や進学支援はいくつもありますが、未就学児など小さな年齢の子どもとお母さんが貧困に苦しまなければならないことは、本当に理不尽なことと思います。
また、なぜ養育費をもらえない中一人で子育てをしなくてはいけない親御さんが出てくるのだろうと、社会への憤りもありました。
今ある制度に訴えかけて、もっと社会の仕組みをより良いほうへ変えるような活動もぜひ続けてほしいと思います。
いつも私が「こうだったらいいな」と思っていることを、気づけばいつもフローレンスが始めていることにを知るととても嬉しく感じています。フローレンスの活動を世の中にもっとアピールして、支援者や応援者が増えると良いなと思います。
駒崎:ありがとうございます。これからも、今日本でできていないことにいち早く挑戦をしたり、困っている親子を一人でも多く支えていくためにも、お力をお借りできればと思いっております!
#すべての親子を置き去りにしない !「新型コロナこども緊急支援プロジェクト」始動
冒頭でもお伝えしたとおり、災害や今回のような新型コロナウイルス感染症の拡大など、日本中が困難な状況に陥ったときに特に危機にさらされるのが、生活困窮家庭や障害児・障害者の家庭です。
子どもの貧困や虐待、障害児家庭やひとり親家庭支援などに取り組むフローレンスは、新型コロナウィルス感染症拡大を受け、日本国内の親子を支援する「新型コロナこども緊急支援プロジェクト」を始動しました。
緊急支援対象家庭は「医療的ケア児家庭」「経済困窮家庭」「ひとり親家庭」です。
支援内容などプロジェクトの詳細はこちら
皆さんの温かいご支援を心よりお待ちしております。