新型コロナウイルスの感染拡大により、大きく変容した私たちの暮らし。約2カ月間に及ぶ自粛期間を経て、少しずつ新たな生活に移行しつつあります。
一方、長期に渡る休業や営業時間の短縮を余儀なくされたなど、経済的な打撃を受けたご家庭も多くあるのが実情です。そういった家庭の支援のため、国から1人あたり10万円の特別定額給付金の支給が始まっています。
すべての国民が影響を受けたと言える状況の中、「よりダメージの大きな家庭の支えになれば」という思いで、特定給付金を私たちの<新型コロナこども緊急プロジェクト>へ寄付された男性がいます。
ご自身もコロナ禍で生活の変容を強いられながら、給付金で寄付をした思いについて、自粛要請が続く5月、オンラインでお話を伺いました。
Oさん
都内在住の40代男性
研究開発職のエンジニア
妻と保育園児の3人家族
今はリモートワークが推奨されていて、週に1~2回出社し、それ以外は自宅で仕事をしています。保育園も休園(※5月現在)しているので、子どもの面倒を見ながら働く日もあります。集中できないので、在宅勤務はつらいですね。
子どもとの関わりが以前と比較して、より濃密になったことで、しつけの意識が高まったというか、厳しく叱ってしまうことがあったり…。5歳児と真剣に向き合うことの難しさをひしひしと感じています。保育園や保育士さんのありがたみが改めて身に沁みました(笑)
外出自粛やリモートワークなど、行動に一部制限がある他は、幸いコロナによる大きな影響は受けていません。
そんな中で特定給付金を受け取ることになった。まず思ったことは、「これは”コロナ被災者”の人たちのために使うべきお金なんじゃないか」ということでした。
例えば同じ保育園に通わせる親御さんの中には、飲食店経営で大きな打撃を受けたご家庭もあった。そういった「より大変な人たち」のために何かできないかと。
特に生活に変化のなかった自分たちが、この給付金でそういった人たちを支援しないとバチが当たるように思ったんです。
コロナで困っている方たちを応援するために自分ができることは何なのかを考えました。近所の商店や飲食店を利用するなど、経済を回すのも一つの手かもしれない。でも自分は、もうちょっと広い意味で「コロナ支援」をしたかった。
そこで、思い切って「コロナで影響を受けた人たちを支援している団体」に寄付してみることにしました。普通のサラリーマンが1人でできることには限りがありますしね。
給付金の使いみちを寄付と決めたあとは、世の中に多くある様々な団体のうち、どこに寄付をするべきかを考えました。
自分も子どもに厳しく接することがあったとお話しましたよね。コロナの閉塞感の中、親子とも家に閉じ込められている時間が長くなっているわけで、もしかして虐待も増えているかもしれないということが気になり、そういった親子を助けている団体を選びました。寄付金をちゃんと社会に還元してくれる実績があるかどうかもポイントでした。
もともと、社会貢献したい!とか、困っている人を助けないと!といった熱い思いなどはありませんでした。ただ、子どもが産まれて親になったとき、「この子のためにより良い社会を残したいな」といった気持ちが芽生えた。それと今回の寄付とが繋がっている部分はあると思います。
寄付したことで何か物質的なリターンが自分にあるかというとそうではありません。突き詰めれば自己満足に過ぎないのかもしれない。でも、自分の寄付によってほんの少しでも世の中がより良くなるのであれば、そのことが自分を肯定する要素になると考えています。
目下の課題は自宅保育とリモートワークとの間でたまったストレスの解消だというOさん。
自身と子どもが生きる社会をほんの少し良くしたいという気持ちを持っている、どこにでもいるお父さんです。
「困っている誰かが笑顔になるといいな」という思いに、特別に高い社会貢献意識や豊富な資産は必要ありません。
あなたにもできることが、必ずあります。
フローレンスでは4月より<新型コロナこども緊急支援プロジェクト>として、孤立リスクを抱えた医療的ケア児家庭、生活困窮家庭、ひとり親家庭を様々な形で支えてきました。皆さんのご寄付により、のべ12,000人の子どもに支援の手が届いています。
「新しい生活様式」のもと日常生活が再始動していますが、経済的な影響は長期に渡り続いていくとも言われています。「withコロナ」の時代を迎えるにあたり、私たちは生活困窮家庭・ひとり親家庭を継続的にサポートする活動を続けます。どうか皆さんのお力をお貸し下さい。