フローレンスはこのたび、NPO 法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(理事長・湯浅 誠)、ライオン株式会社(代表取締役社長・掬川 正純)と協働し、オーラルケア機会の格差是正を目的とした「インクルーシブ・オーラルケア」を経済的困窮家庭を対象に展開していくことで合意し、協定を2021 年3月8日(月)に締結いたしました。
「インクルーシブ・オーラルケア」とは
歯みがき行動は、全身の健康と密接に関係しており、人が本来持っている“健やかに生きる力”をひきだし、育む、非常に重要な習慣です。しかし、その人を取り巻く生活環境、身体、経済、教育、情報などの様々な状況により、オーラルケアの実施には格差が生じ、歯と口のケアが十分にできない人がいます。
ライオン株式会社は、この健康格差をサステナビリティの重要課題ととらえ、事業アクションとして取り組まれています。
経済的困窮家庭で育った子どもたちは、そうでない子どもたちと比べ、他者から褒められること、親以外の大人とのコミュニケーションをとることや、歯みがきなどのライフスキルの獲得体験が不足しており、自己肯定感が著しく低いことが特徴と言われています。
そこで、子どもたちの食を支える「こども宅食」や「こども食堂」を通じ、「食」と親和性の高い「歯みがき」や「歯と口の健康」をテーマにした体験プログラムを提供し、子どもたちの自己肯定感の向上に貢献する「インクルーシブ・オーラルケア」を実行していきます。
フローレンス、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ、ライオン株式会社の3社は、この活動を支える仕組みを構築する協定を結び、持続可能な仕組みにより、オーラルケア機会の提供による子どもたちへの自立支援を推進します。
協定の概要
目的 :子どもたちの経済的状況によるオーラルケア機会の格差をなくす
活動内容 :
1.「歯みがき」や「歯と口の健康」をテーマにした体験プログラムの実施
2.オーラルケア製品の提供
3.保護者向けオーラルケア基礎講座の実施
活動開始日:2021年4月1日(木)
活動場所 :全国のこども食堂や家庭、オンラインツールも活用し活動を展開予定
代表者コメント
フローレンス 代表理事・駒崎 弘樹
貧困と子どものむし歯は密接な関係にあります。歯科検診の支援を行っているこども宅食の現場でも「歯の正しいみがき方がわからない」、「ハブラシをこまめに交換できない」といった声があがっています。ひとり親家庭の場合、仕事を休んで平日の診察に子どもを連れていけないという物理的な制約もあるようです。親御さんにとって分かりやすく正しい情報を届けること、歯科医以外にも気になっていることを気軽に相談でき、物理的なサポートを行う存在が必要であると感じています。
こども宅食は、「食」をきっかけに困難を抱えるご家庭とつながり、支える事業です。今回の協働プロジェクトを通じて、子どもたちの「食べる」健康を支えていきたいと考えています。
NPO 法人全国こども食堂支援センター・むすびえ 理事長・湯浅 誠
先日、ひとり親家庭のお母さんから「子どもが家に帰ってきて『今日はお父さんから勉強を教えてもらった』と言ったのでびっくりした」という話を聞きました。その子は、こども食堂で、主催する女性の夫(女性は「お父さん」と呼んでいた)から勉強を教わったそうです。そのお母さんは「息子は、私の子ども時代より幸せに過ごしていると確信しています。
それは、居場所に出会ったからです。」とお手紙を書いてこられました。こども食堂は、このような「お父さん」「お母さん」「おじいさん」「おばあさん」「おにいちゃん」「おねえちゃん」に多く出会う場です。歯みがきの生活習慣がない子も、多くの人々に見守られ、励まされる中で、変わっていくでしょう。今回の協働プロジェクトでも、こうした居場所の力が発揮されることを信じています。
ライオン株式会社 代表取締役社長・掬川 正純
ライオンは、長年にわたり日本の口腔衛生を見つめ、「予防歯科」を広く社会に浸透させることで、オーラルケアの市場を成長へと導いてまいりました。市場が成長する分だけ、健康な人が増えていると自負しています。
従来の活動に加え、今後は健康格差・オーラルケア格差に着目し、「インクルーシブ・オーラルケア」を通じ、ひとりひとりが、適切なオーラルケアを実践できる状況を支援し、更なる市場拡大を牽引していきます。
3社は、ひとりの力では解決できない課題に対し、みんなで支えあう仕組みをつくることで、誰もが健康であり続けられる社会に向けた活動に貢献していきます。
◆NPO 法人全国こども食堂支援センター・むすびえについて
NPO 法人全国こども食堂支援センター・むすびえは、ビジョンである「全国に広がるこども食堂を通じて誰も取りこぼさない社会をつくる」ために、こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整え、こども食堂を通じて、多くの人たちが未来をつくる社会活動に参加できるように活動しています。具体的には、こども食堂の実態を明らかにし普及・啓発する調査研究、各地域のこども食堂ネットワークを支援する地域ネットワーク支援事業、企業・団体とこども食堂支援を行う企業・団体との連携事業を行っています。コロナ禍では3月5日に「新型コロナウィルス対策緊急プロジェクト」を立ち上げ、食材等の寄付を呼びかけ、その後、こども食堂の資金支援をするために「むすびえ・こども食堂基金」を創設し、2020 年4月から12 月までの半年で674 団体に対して総額1億2 千万円を助成しました。他にも、感染症に詳しい小児科医の協力を得て「こども食堂・フードパントリー開設簡易ハンドブック」の発行、動画「地域みんなで子どもを育てるためにこれならできる with コロナ時代のこども食堂」の制作、個別相談会の開催などを実施しながらこども食堂の活動をサポートしています。
◆ライオン株式会社について
ライオングループは、「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を経営ビジョンに掲げ、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」を企業のパーパス(存在意義)として活動を行っています。当社グループが目指す「Vision2030※ 1」の実現に向けて、「健康な生活習慣づくり」「サステナブルな地球環境への取組み推進」をサステナビリティの最重要課題と位置づけています。そして、事業の成長戦略の新たな方向性として「オーラルヘルス」「インフェクションコントロール」「スマートハウスワーク」「ウェルビーイング」の4つの提供価値領域の追求による顧客体験価値の創造を推進し、地球環境や社会課題に対するサステナビリティ重要課題への相乗的な取組みを強化してまいります。
フローレンスでは、このように多くの企業・団体と協働し、「みんなで子どもたちを育む社会」を拡げていく活動を行っています。こうした活動は、企業からのご寄付や協働事業によって運営されています。
フローレンス一団体では社会を変えていくことはできません。
企業の皆さんとシナジーを最大化することで、より多くの親子の笑顔を実現していきたいと思います。CSR活動をご検討中の皆さん、ぜひ、お問い合わせください。