フローレンスが運営する、「おうち保育園」、「みんなのみらいをつくる保育園」ではシチズンシップ保育が行われているのはご存知でしたか?
みんなを思いやりながら自分たちの未来を変えていける力を育むために、共感性・内発性・創造性を伸ばしていく保育を、フローレンスでは「シチズンシップ保育」と呼んでいます。
今回は、みんなのみらいをつくる保育園東雲の成川園長が作成した記事を紹介します。
シチズンシップ保育がどのようなものか、園で実際にあった温かいエピソードからお伝えできればと思います。
シチズンシップ保育~多様性を重んじる毎日~子ども自身の言葉で言い換えられる瞬間~
みんなのみらいをつくる保育園東雲 園長の成川です。指示命令したくない、子どもは自ら考え行動したいと思っている、と考え開園し、理念を掲げ試行錯誤の毎日が続いた保育園は、今年度はまた一歩前進の年となりそうです。
自分の感情に向き合って感情カードを毎朝選ぶことや、輪になって園生活について話し合うサークルタイムやピースフルスクール・プログラム(オランダ発祥の自立と共生のプログラム)を更に大事にしてきた昨年度、毎日何かしら輪になって話し合っていると、4歳児がある日、ある意見に対して、
「でも、ひとりの『いい』はみんなの『いい』じゃないかもしれないから」と述べました。
自分のこの考えは友達とは違っていても当たり前だと認識していて、園の参加者のひとりとして話し合いに参加するからこその発言を嬉しく感じたものです。
そんな4歳児が年長になった今年度、新型コロナ感染症が猛威を振るい、春には園児たちは休園期間も体験しました。エッセンシャルワーカーの保護者の園児は登園、殆どの園児が自宅で過ごす中始まった今年度はいったいどんな一年になってしまうのだろうと大人は皆危惧したことでしょう。
しかし、園が再開すると子どもたちはすぐにいつものとおり様々な活動を楽しむようになりました。子どもたちは何もないところでも遊び、何事かあっても遊びます。
その姿に大人たちは多くを学ぶことができます。すべてが遊びから始まっている子どものような心を持ってすれば、ステイホームもあながち苦でもないのかもしれません。
今年度の冬のある日、散歩に行きたい3・4・5歳児たちは出かける準備をして、出発準備も早々に済ませ玄関でおしゃべりしていた時、5歳児ふたりの間で言い合いが起こりました。通りすがりの私が片方の園児のきつめの言葉に気づき、「大丈夫?」と声をかけますと、そのふたりの園児の周りにいた園児たちが口々に意見を言い始めました。
「今のは赤い帽子?」(ピースフルスクール・プログラムで赤い帽子が喧嘩を意味する印)
「対立は悪くないけど喧嘩は良くないよ」(意見の対立は悪くないが喧嘩をしなくても解決できるというレッスンを行っています)
私も子どもたちに習って続け、
「今の言葉は『けなし言葉』になっていなかった?」
「もう少し違う言い方だと素敵ね」
と場を離れました。
子どもたちだけで解決できる、また、その場だけで解決に至らなくても良いと思っているからです。
子どもたちは時間が解決してくれることもある、相手の立場であったら違う気持ちになることもある、と知っているようです。
今年度初めに起きた社会現象を思い出す時、このような場面を当事者の大人たちに教えてあげたくなります。この子どもたちのような文化があれば、自粛警察や買い占めなどの子どもたちには到底見せたくなかった大人たちの恥ずかしい現象は起こらなかったのではないかと。
また一方でこのことこそが保育と教育のあり方に繋がっていると思い、共感・内発・創造を大切にしていきたいという思いを新たにします。子どもたちの視線の先の大人たちもまた、これまでの教育を受けてきた結果の姿であり、まだ発展途上だとも思いたいです。
朝の挨拶に園内を回ると0歳児が風船を持ってきました。挨拶代わりに貸してくれるのかと思いきや、その小さな指は風船の結び目を離さず不満げな表情をしています。
「さっきお友達に取られちゃったのよね」と担任保育士が言いました。私は、「それは大変だったね、だから大事なのね」と返し、小さくても園の立派な参加者のひとりである園児と一対一の対話ができました。
このような心通う瞬間があってこそ、またその0歳児は、何か伝えたいことがあれば行動で示してくれるのでしょう。
何をしていいのか、何はしてはいけないのか迷う今年度の園生活も終盤になってきました。しかし子どもたちは確実に毎日成長しています。環境の中で一番翻弄されるのは小さな子どもたちですから、私達はこの子どもたちのたくましい平常心に助けられながら、毎日を楽しく過ごさねばなりません。
「ひとりの『いい』はみんなの『いい』じゃないかもしれない」という当たり前のようで大人は忘れがちなことを大切にしていければ、大人であっても子どもたちに負けずに楽しく過ごすことを諦めずにいられるのではないかと思います。
誰かに尊重してもらった経験の多い子どもはきっと、他者を尊重できる人になります。
この文章を読んでくださる方は子どもたちの保護者の方でしょうか、保育者の方でしょうか。私の毎日は、批判より共感から始めようと園児に教えられる、楽しい毎日です。皆さんの環境もまたそうでありますようにと願っています。そうでないとすれば自ら一歩踏み出す年にしたいですね。大人も子どもも発展途上。明日からでもまた、成長していけますように。
(園長 成川宏子)
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