コロナ不況が子育て家庭に影を
緊急事態宣言下で迎える2度目の静かなゴールデンウィーク。旅行も外出もイベントも自粛となり、家族だけで自宅で過ごす予定の方も多いでしょう。
今年もこどもの日がやってきます。
コロナ不況は子育て中の世帯において非常に深刻な影響を及ぼしています。経済的困窮や親のストレスは、そのまま子どもの虐待問題、貧困問題、いじめ、若年層性被害といった課題に繋がっているともいわれます。
先日厚生労働省から発信された「2020年度子どもの虐待」件数は過去最多となっています。国会では児童虐待や教育格差など子どもに関わる政策を一元的に担当する「子ども庁創設」の議論も活発化していますが、私たちフローレンスも、国内の親子の課題にあらゆる角度から切り込み、活動しています。
厳しい子育て環境にある家庭へ支援の必要性
コロナ不況で深刻な影響を受けているのが、シングルマザーや子育て中の生活困窮家庭です。日本のひとり親世帯の相対的貧困率は48%※1と高い数値で、じつに、ひとり親の半数近くが、相対的貧困に苦しんでいます。
※1 出典:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」
コロナ禍により、フローレンスには、「食品や学用品、生理用品など日用品を買う余裕もない」といった声も寄せられています。
以下は、フローレンスと、フローレンスが事務局を運営している「こども宅食応援団」が2020年5月にこども宅食利用世帯を対象に実施した「新型コロナウイルスの影響に関するアンケート」の抜粋です。経済的に厳しい環境にあるご家庭が、コロナ禍でより困窮を深めていること。孤立が深まる中、行政や地域の支援にほとんどつながっていないことが明らかとなっています。
「こども宅食」は、経済的に困窮している子育て家庭へ定期的に食品や日用品などを届ける仕組みです。 お届けをきっかけにしてご家庭とのつながりを作りさらに必要な支援につなげていくための取り組みで、コロナ禍にも非常に有効な支援モデルとして、全国に拡大しています。
フローレンスは2017年からこども宅食のモデル開発に携わり、全国各地で「こども宅食」をきっかけとしたアウトリーチ支援がインフラ化されるよう現場支援と政策提言を続けています。
また、フローレンスでは、ひとり親家庭の命綱である「就労」を支えるため、訪問型病児保育でのサポートを2008年から提供しています。新型コロナウイルス感染症が拡大した昨年は、病児保育での支援に加え、食品や日用品の配送などを実施し、全国のひとり親家庭のべ2,400世帯以上に支援を届けました。
子ども達が安心して育つ環境をつくるため
子ども達は、もう1年以上も保育園や学校で、新型コロナウイルスの感染拡大防止に最大限協力し、活動やコミュニケーションを制限されています。
乳幼児が、身体や表情で人とのコミュニケーションを体得していく保育の現場では子ども達のあそびや活動に制限がある一方、小さな子ども達すら一日中手洗いや消毒を徹底しています。
小中学校の給食の時間は、全員が黙って前を向いて食べています。
修学旅行も音楽祭もなくなり、緊急事態宣言がでれば部活動が停止され、授業がオンラインになることもあります。
もう十分頑張っている子どもたちに、せめて環境の違いによる負担を強いることがないよう、社会全体で子どもの育ちを守りたいとフローレンスは考えます。
子ども達が未来をつくっていくから
新型コロナの影響が長期化する中、子育て中の親や子どもが感じるストレスや、家庭の経済的、物理的な環境悪化は深刻になっています。
フローレンスが実施している現場支援については、ニーズを調査し柔軟に支援内容を変化させていく必要があります。また、政策提言についても世論と政治情勢にあわせた迅速なアクションが欠かせません。
新しい時代を担う子どもたちの「今」を支えるため、フローレンスは子育て家庭へのサポートを継続していきたいと考えます。
今年のこどもの日は、これまで以上に子どもたちの笑顔を願う方が多いことと想像します。未来への希望の気持ちを託す選択肢として、ぜひフローレンスの活動を応援してください。