10月22日の朝日新聞夕刊に、訪問型病児保育と自治体の助成制度についての記事が掲載されました。フローレンスも取材していただきましたので、ぜひご覧ください。
※記事はインターネットでもお読みいただけます。
こちらからどうぞ。http://www.asahi.com/articles/ASHBP5VTCHBPUTIL02S.html
*********下記、記事より抜粋*********
発熱などで保育所に預かってもらえなくなった子どもたちの面倒をみる「病児保育」で、民間のシッターサービスの利用料金を助成する自治体が東京都内で増えている。病児保育専用の施設で子どもを預かる従来のサービスだけでは、高まるニーズに追いつかないためだ。
■渋谷・文京…都内広がる
文京区は今年度から児童1人につき年4万円を上限に、病児・病後児のシッターサービスの利用料の半額を助成している。区の病児・病後児保育施設は2ヶ所だけで、定員はそれぞれ1日6人。「施設整備には時間がかかるが、自宅をシッターが訪問する民間サービスへの助成なら導入しやすい」と、子育て支援課の小林篤史主査は話す。
利用料金の助成は2007年度の千代田区を皮切りに、11年度に渋谷区、12年度に足立区、今年度から文京区と北区で始まっている。ほかにも、杉並区では区民に無償や割安で提供する「子育て応援券」が病児らのシッターサービスに利用できる。
助成制度の利用者数は右肩上がりだという。渋谷区の助成件数は初年度の79件から年々増加し、14年度は234件にのぼる。千代田区は09年度の20件から14年度は78件に増えた。
これまで専用施設で預かる形が一般的だった自治体の病児・病後児保育サービスで、なぜ訪問型のシッターサービスへの助成が広がり始めたのか。「施設を増やそうにも協力してくれる医療機関が見つからない」(千代田区)など施設整備の難しさのほか、「施設に常駐する保育士や看護師を確保するのが難しい」(北区)など人材確保の困難さを理由にあげる自治体もある。
国も11年度から、訪問型の病児・病後児保育サービスを自ら提供する自治体には補助金を交付しているが、14年度までの導入実績は大阪市や鳥取市など4市町だけだ。補助を受けるには、全ての保育スタッフが一定の研修を受けるなど、要件が厳しいためだ。
保育問題に詳しい大日向雅美・恵泉女学園大教授は「病児保育のニーズは高いが施設が足りない状況で、自治体が民間サービスの料金を助成するのは時代に合った取り組みと言える。ただ、安易に助成するのでなく、子どもの安全のための人材育成やバックアップ態勢がしっかりしているか、事業者をきちんとチェックして欲しい」と話す。
■自宅で看病、1日2万円
厚生労働省によると、国の補助金を受ける病児・病後児保育の専用施設は14年度で1271カ所。2万4425カ所ある認可保育所の1割にも満たない。働く親にとって、突然、病気になった子どもの預け先の不足は深刻だ。
3歳と6歳の子どもを育てる文京区の医療法人職員伊藤紀見さん(36)は、二つのシッターサービスを利用している。区には専用施設もあったが、定員が少ないため、予約がとりにくかった。病気の子どもを普段と違う環境に預けることにも抵抗感があった。
シッターサービスは子どもが移動せずにすみ、住み慣れた家で看病してもらえる点が魅力だ。だが、利用料金が高いという。区の専用施設は1日3千円なのに、シッター代は2万円程度になることもあり、3年間で50万円近くを費やした。「文京区でも助成制度が始まって、本当に助かる」
自治体の助成の有無にかかわらず、病児・病後児専門のシッターサービスの利用者は急増している。
1都3県でサービスを展開するNPO法人「フローレンス」は05年の事業開始時は38人だった会員数が、現在は4,400人に上る。
保育スタッフの人数が追いつかないため、6月から新規入会の受け付けを中断。9月に再開したが、初日の30分で定員の3倍の申し込みが殺到し、再び受け付けを停止している。担当者は「ニーズが高まっているのに、病児保育サービスはまだ不足している。十分なスタッフを確保して再開したい」と話す。