4月は新しい出会いの季節。
保育の現場では、新入園の時期であり、担当クラスや担当児が変わるなど、初対面の保護者とコミュニケーションをとる機会が多い時期です。
例えば、こんな場面はありませんか?
・入園式で初対面の保護者と挨拶をする
・まだ関係性ができていない中で慣らし保育の進め方を保護者と相談や話し合いをする など‥
4月保育塾は【「はじめまして」の保護者との関わり方、信頼関係の築き方について考えよう!】をテーマに開催しました!
講師には、病児保育事業部のこどもレスキュー隊員である大山さんと、こどもレスキュー隊員の研修を担当している病児保育事業部事務局の秋山さんを迎えました。
そして、保護者と一から信頼関係を築いていくにあたり大切なことや、伝え方で工夫できることについて、今回の保育塾を通して参加者それぞれの経験を振り返りながら一緒に考えていきました。
※フローレンスでは病児も含む居宅訪問型保育保育を行っています。そして、この訪問型保育スタッフを親子のピンチに駆けつける(レスキューする)ことから「こどもレスキュー隊員」という愛称で呼んでいます。
※保育塾とは、フローレンスの全ての現場スタッフに向けた自主参加型の研修です。現場スタッフの「知りたい!」「学びたい!」に応えられるように、毎回異なるテーマで研修を行っています。
「はじめまして」のコミュニケーションで大切にしていること
こどもレスキュー隊員は、その日の依頼を受けてご家庭に駆けつけるため、訪問するご家庭は日によって異なり、一期一会の保育を行っています。
そんなレスキュー隊員である大山さんは、初対面の保護者との信頼関係を築くために一体どんな事を大切にしているのでしょうか?
今回の保育塾では、大山さんが初対面の保護者とのコミュニケーションで大切にしていることとして、まず以下3つのシェアがありました。
①相手のペース・距離感を感じとる
②笑顔で接することで、安心感のある雰囲気を生む
③緊張していても、ゆったり構える
~相手のペース・距離感を感じとる~
保護者の中には、自分からどんどんお話をされる方もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。初対面の保護者と信頼関係を育むには、相手のペース・距離感を掴むことが大切です。
大山さんは「自分の話すテンポに合わせた話し方をされて嫌な気持ちになることはないと思うので、保護者の話すスピードや話の踏み込み方を感じ取って、相手と同じペース・距離感で話すように心がけています。」と言います。
~笑顔で接することで、安心感のある雰囲気を生む~
保育園に入園されたばかりの方だと、初めての環境に子どもを預けることになります。また、訪問型保育の場合には、知らない人が家に入って子どもと二人になる環境です。
つまり、保護者は、自分の目の届かないところで知らない人に子どもを預ける立場なのです。その不安を軽減するために、笑顔で接することが非常に重要です。
大山さんは「皆さん最初は不安を感じながら、お子さんを預けてくださっていると思います。だからこそ、自分の立ち振る舞いから、『子どもを預けて安全な人なんだ』と感じてもらえるように努めています。」と言います。
他にも、保育園などの集団保育では、保護者は保育者間のやりとりも目にされているはずです。
そこで保育者同士の口調が強かったり、雰囲気が悪いと不安感を与えるのではないでしょうか。そのため大山さんは、保護者や子どもと直接話す場面以外でも立ち振る舞いに気をつけていたと話しています。
「人的環境は保育にも大きく影響すると思います。保護者や子ども直接話す場面以外でも、保育者どうしのやりとりからも安心感のある良い雰囲気をつくれるようにしています。」とのことです。
~緊張していても、ゆったり構える~
当然、保育者もはじめましてのコミュニケーションでは緊張されるはず。
しかし、緊張しているのは保護者も一緒で、「持ち物はちゃんと用意できているかな…」など不安を感じています。きっと、入園説明会で事前に持ち物や準備することを伝えていても不安なことがたくさんあると思います。
保育者がこわばっていると与える印象や保護者の安心感にも影響してしまうため、緊張していて力みすぎずおおらかに構える事が必要です。
大山さんは「『何回聞いていただいても大丈夫ですよ!』『持ち物いっぱいありますよね。忘れ物があっても、まずはお子さんを連れてきてくだされば大丈夫です!』など、気持ちに寄り添った声がけをして、保護者の不安な気持ちを軽くできるようにしています。」と言います。
文章でのやりとりで気をつけていることは?
保育の現場では文章のやりとりも多いですよね。
ニュアンスや表情がない分、対面のコミュニケーションとは違った工夫が必要です。連絡帳や保育記録を書く時には、どんなことが気をつけるポイントなのでしょうか。
ここでは、講師の大山さんが実際に工夫していることを一部紹介します。
〈表現について〉
・否定的な表現、冷たい表現になっていないか確認する
〈内容別の注意点について〉
・活動について書く時は、どんな環境だったのか伝わるように書く
例えば大山さんは、「風がそよそよ吹いていて…」「何色のお花が咲いていて…」など、季節感や子どもたちが過ごした環境も含めて書くことで、子どもが過ごす姿が具体的に目に浮かぶような書き方を実践されているそうです。
・おもしろいエピソードについて書く時は、保護者がどう受け取るかまず考える
その場にいるみんなが笑ってしまう、笑顔になるような場面も、冗談交じりユーモアに書いても全く別のように受け取られるかもしれません。入園されて間もない時など、保護者の反応がまだわからない時は一層細心の注意が必要です。誤解される書き方になっていないか、まずは考えましょう。
〈書き方に迷ったら…〉
・他の先生にも書き方を聞いてもらう、自分が書いた文章を見てもらうなど、客観的なフィードバックをもらう
他の先生がどんな風に書いているかを見て学ぶのも一つです。
大山さんは、過去に他の先生が書いた記録を見て「これはわかりやすい書き方だな」と思ったものは取り入れるようにしているそうです。
1人で抱え込まず皆で一緒に考えよう!
保育塾では参加者同士の交流による学びを目的として毎回グループワークを行っています。
今回は、3つの具体的な場面を想定し、こんなケースだったら自分はどんなコミュニケーションをとるかグループに分かれての話し合いを行いました。その一部をご紹介します。
ケース:着替え用に用意していただいた洋服のサイズが小さく、ちょっと着替えが難しそう…?
今年入園されたばかりのご家庭や新しく担当となったクラスの保護者の方など、コミュニケーションをとるようになってからまだ時間が経っていない保護者の方に、着替えがしやすいような洋服を用意いただけないかお話するにはどのようにお伝えしたらよいでしょうか。
参加者からは、「子ども目線で考えて、着替えを自分でやりたい気持ちがあるので、もう少しサイズにゆとりのある洋服だと着替えがしやすいかもしれないとお伝えしてみる」、「用意のしやすさを考えて、『ご兄弟のお洋服も、もう着れそうですね』とお伝えしてみる」といった声が挙がりました。
また、それを受けて他の参加者からは、「保護者の気持ちと子ども目線両方で話すのが大事と思った」という気づきのシェアもありました。
各グループで話したことの共有を受けて、講師からも、「お伝えの仕方や対応については、1人だけで考えるのではなく、その保護者・子どもにとってのベストをみんなで考えられるとよいですね」と振り返りがあり、皆さんの経験や知見をシェアしたことで相互の学びの時間となりました。
まとめ
一番始めの印象というのは、その後の信頼にも影響すると思います。最初のコミュニケ―ションで良い印象だと、その後、困りごとや相談など保護者の方がお話ししやすくなるかもしれません。
保護者の方との信頼関係を築いていくには、まずは「はじめまして」の時のコミュニケーションを大切にしていきたいですね。
保育塾は、次回以降も、保育スキルアップに繋がる研修を展開していきたいと思います!
保育塾で学ぶことが出来るのはフローレンスのスタッフだけ!フローレンスでは現在、訪問型病児保育として活躍したい仲間を募集しています。
訪問型病児保育の保育スタッフ向け説明会を開催していますので、興味のある方はぜひご参加ください!