このたび、フローレンスは、別居中・離婚前の実質ひとり親家庭に向けて、ご自宅でお子さんをお預かりするシッターを無料で派遣する取り組みを開始します。
この取り組みは、自身もひとり親家庭で育ったサッカーの長友佑都選手が、コロナ禍のひとり親家庭を支えるためにクラウドファンディングで資金を集め、2020年4月に立ち上げたひとり親支援プロジェクト「#ひとり親をみんなで支えよう」による寄付を原資に実施いたします。
DV等の理由により、別居中ではあるが法的な離婚が成立していない”実質的なひとり親”家庭の場合、公的なセーフティーネットが極度に不足していることに加え、親御さん自身が新たなステップへ進むための様々な手続きやサポートが必要になります。
さらに、コロナ禍の不安定な雇用や、万が一自身が感染したときの子育ての不安などが重なり、親御さんの負担は膨れ上がっています。
首都圏を中心に保育事業を展開し、2008年からひとり親家庭支援に取り組むフローレンスでは、こうした法的離婚前の「実質ひとり親家庭」を対象に自宅訪問型の保育を提供するとともに、希望者にはLINE等を通じて、必要な情報提供を行う新たな支援を提供していきます。
こうした支援を通じて、厳しい状況におかれる親子を支援するとともに、親御さんの新たな人生の第一歩に伴走します。
支援が届かないひとり親のための無料シッター概要
■対象:別居中・離婚前の実質ひとり親
■サービス内容:健康児保育
■対象エリア:東京23区
■お子さんの年齢:0歳4ヶ月~小学6年生
■利用方法:事前に利用者登録を行なっていただきます。本人確認後、前日~当日朝までにご予約、当日に利用が確定します。
利用者情報登録は以下専用サイトよりお願い致します。
■利用料金:保育料無料・交通費無料
■利用時間:月曜〜金曜10:00~18:30
■実施期間:2022年3月7日~未定(2023年度いっぱいを目処)
■保育できるお子さんの人数:基本的に1対1で行います
支援の届きにくい「実質ひとり親家庭」の実態とは
新型コロナウイルスの影響が長期化している中、学校や保育園など様々な場所で、実際に臨時休校や、保育園の休園・登園自粛依頼等が相次いでいます。
そんな中、最も深刻な状況におかれるのが、法律上の離婚が成立していないことが理由で公的な支援が届きにくい”実質ひとり親”のご家庭です。
2020年9月に私たちが実施した別居中・離婚前のひとり親家庭262世帯への調査では、対象者のうち98%は母子家庭で、7割以上が相手からのDVを経験しており、かつ就労年収200万未満。過半数が行政等の専門機関、職場や友人に状況を打ち明けられていない状況がわかりました。
「別居中・離婚前のひとり親家庭アンケート調査報告書」(「別居中・離婚前のひとり親家庭」実態調査プロジェクトチーム実施)より
別居中・離婚前の実質ひとり親家庭は、戸籍上は支援対象に当たらないなど、コロナ以前より子どもと同居していながら児童手当をはじめとしたセーフティーネットを剥奪され、精神的、経済的、社会的に追い詰められた状況にあります。そして、長期化するコロナ禍はこうした親子の困窮をさらに深めています。フローレンスにも実際に、「別居中で実質的にひとり親なのに、離婚が成立していないので給付金をもらえていない」などの声が寄せられています。
質の高い保育支援を無償で提供。寄付を原資に。
フローレンスは2004年に団体設立をして以降、病児保育、小規模保育および認可保育園運営、重症心身障害児を含む医療的ケア児を対象とした障害児保育、待機児童家庭への訪問保育、一時保育など、多様なモデルで日本の親子に伴走してきました。
2020年からは、緊急事態宣言下で助けが必要なご家庭はないかのニーズ調査をし、全国の生活困窮家庭に食料配送など緊急支援を継続しています。
フローレンスのビジョン「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」に基づく17年の実績を評価いただき、現在、志を同じくする支援者や企業が寄付という形でフローレンスの活動を支援してくださっています。
今回のような無料の緊急支援については、実質ひとり親家庭の方々に必要なサポートをお届けするため、ひとり親支援プロジェクト「#ひとり親をみんなで支えよう」に集まった支援を原資としています。
フローレンスの訪問型病児保育は、利用者の皆さんより高い保育の質と評価いただいており、お預かり実績は(のべ)90,000件以上、重大な事故なく積み重ねてきた、国内最大規模の訪問型病児保育事業です。通常、入会金30,000円、保育実施時に利用料をいただいていますが、無料で提供することで、実質ひとり親家庭にも安心してご利用いただけます。
「#ひとり親をみんなで支えよう」発起人・長友佑都選手のメッセージ
2020年。
新型コロナウイルスの感染拡大。それに伴う緊急事態宣言などにより、本当に私たちの生活が一変しました。
そんな中、ひとり親家庭の方は本当に大変で、困難な状況の中にあったと思います。
その中で自分にできることはないかと思っている時に、READYFORさん、フローレンスさんとのご縁をいただき、自分がパワーを届ける番だと思い、ひとり親家庭をサポートしていくための取り組み、「ひとり親をみんなで支えよう」を立ち上げました。
そしてクラウドファンディングという形で取り組みをスタートしました。約2,000人もの方に支援していただきました。
ひとり親家庭の現状を知って、声を受け取って、様々な支援を行なってきました。
今回のクラウドファンディングの取り組みで支援をお届けした人数はのべ27,000人にのぼります。
これだけの人たちに支援を届けることができたのは大きなことです。
今回取り組みを行ってみて、何の支援も受けることができない人たちがいて、より厳しい状況に置かれている人たちがいることを改めて実感しました。
本来受けることができるはずの支援を受けることができない。
様々な支援があるが、そもそも支援を受けられることを知らない、繋がっていない。
そしてそんな人たちの存在自体知られていない。
支援を受けることができない、受け取りにくい人たちと繋がって、支援を届けることができたのは大きなことです。
それでもまだまだやるべきことが、できることがあります。
そうして今回、最終プログラムを作り上げました。
それが実質ひとり親家庭への無料保育の提供です。
今回の取り組みで知った、繋がった何の支援も受けることができずにいた実質ひとり親家庭の方々。
一人でも多くの人たちに必要としている支援を届けていきたいです。
私としてもできることをしていきたいと思っています。
これからもみんなで、みんなの未来をつないでいきましょう。
長友佑都
<ひとり親支援プロジェクト「#ひとり親をみんなで支えよう」概要>
ひとり親家庭の約半数は貧困状態にあり、20代のシングルマザーに限れば約8割にものぼります。非常に厳しい状況にもかかわらず、新型コロナウイルスによる影響で更に状況は深刻になっています。現場で支援を続ける私たちのもとには、収入が減り生活が困窮する家庭の声が日々届いています。
そんな状況を知り自身もひとり親家庭で育った長友佑都選手が、ひとり親家庭を支えるためにプロジェクトを立ち上げました。クラウドファンディングで資金を集め、国内の親子領域の課題解決実績をもつ認定NPO法人フローレンスを協働パートナーにひとり親家庭に直接支援を、さらにはひとり親家庭の全国ネットワーク、全国の団体を通じてひとり親家庭や経済的に困窮する家庭を支えます。
長友佑都
愛媛県出身。プロサッカー選手。FC東京所属。2013年アジアサッカー連盟から国際最優秀選手賞に選出。日本代表としても活躍し、ワールドカップ3大会連続出場、アジアカップ3大会連続出場などの実績を持つ。自身がひとり親家庭で育った経験から、今回のひとり親支援を目的としたクラウドファンディングの立ち上げに至る。