フローレンスが東京都と仙台市で運営しているおうち保育園。仙台市にある3園では障害児も受け入れています。5月18日にNHK総合[宮城県域]で放送された「てれまさむね」にて、おうち保育園かしわぎでの障害児保育の取り組みが紹介されました。
今回は、放送で取り上げられた守くん(仮名)について、放送では語られなかったお話を紹介します。
保育園の入園を希望した斉藤さんと守くん
仙台市に暮らす斉藤さん(仮名)は3人のお子さんを育てています。次男の守くんは、医師から「発達遅滞」と診断されており、入園前は、月に1〜2回ほど発達相談支援センターに通っていました。そこで、母子で一緒に通う療育施設をすすめられましたが、斉藤さんは保育園への入園を希望しました。
「ずっと家族だけで守をみてきて、入園する前は、昼夜問わず嘔吐を繰り返すことも多く、寝る時間もあまりありませんでした。夫は働かないといけないと思うと、起こせないし…昼間だけでも預けられたら全然違うと思いました。普通の家庭でも親子二人っきりの育児は危ないって言われているのに、障害児はもっと孤独ですよ…」
長男が生まれた頃に家を建てたという斉藤さん。経済的なことを考えても、守くんを保育園に預けて働かないといけないと思ったそうです。
保育園に入園するまで
障害児がみんな、保育園に入園できるわけではありません。さまざまな手続きや審査を経て、入園可能と判断されたお子さんだけが入園することができます。現状では、保育園への入園を希望しても、ハードルの高さに諦めてしまう家庭もあるそうです。
仙台市も例外ではありません。斎藤さんも特別支援保育に申込みをしましたが、審査で入園可能にはならず落ちてしまいました。
どうしたら良いか悩んでいたときに、通院していた病院の医療ソーシャルワーカーさんを通じて仙台のおうち保育園が障害児の受け入れをしていることを知り、申込みをされました。
保育園での守くんの様子
障害児だからといって、特別なことはありません。他のお子さんと同じように園で過ごします。何か手助けが必要であれば、障害の有無は関係なく、その子にとって必要なサポートをします。
守くんが入園したのは、1歳児クラス。成長がゆっくりだったため、食事は離乳食からスタートしました。はいはいや寝返り、感覚遊びから関わりを始めました。
2歳児クラスになると、守くんは、みんなと自分が食べているものや使っているものが違うことに気がつき「これじゃない!」と投げたり、置いたりするようになりました。咀嚼や嚥下も上手になってきていたのでお母さんと相談して、離乳食から幼児食に変更したところ、自分で食べたい意欲が増して、最後まで自分の力で食べるようになりました。
遊びの場面でも、言葉が出ない分、指差しやジェスチャー、表情で教えてくれます。
歩けるようになったら、みんなで部屋の中で追いかけっこをする姿もありました。
園で過ごす中でたくさんの変化がありすぎて紹介しきれませんが、お花や自然が好きで年下の子の頭を優しくなでて可愛がり、自分のやりたいことやりたくないことの意志もはっきり表明するようになりました。
保育園に通ってみて
「守は、言葉の発達はまだだけど、怒ったときは嫌だと泣いて、うれしいときは笑って状況はわかっているんですよね。保育園には同い年の子、年下の子が通っていて、みんなのそれぞれの刺激があって発達したと思います。家族だけだったら、偏ったことしかやらないし、同年代とかの遊びとか、関わりができなかったと思います。」
さらに斉藤さんは続けます。
「毎日、園での守の様子が連絡帳で送られてきて、家でもこういうことがあった、こんなことができるようになったときょうだいや親だけではなくて先生とも分かち合えたことも良かったです。」
まだ障害児が保育園に入園することは、当たり前にはなっていません。多様なニーズがあるなかで、誰もが希望する保育園に入園できるように、社会が変化していくことを望みます。
仙台のおうち保育園では、障害児の入園相談を行っています。気になることやわからないことがありましたらお気軽にお問い合わせください。
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