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多様化する家族のかたち―社会で子どもを育む。すべての子どもにあたたかい家庭での育ちを。【10月里親月間】

多様化する家族のかたち―社会で子どもを育む。すべての子どもにあたたかい家庭での育ちを。【10月里親月間】

#赤ちゃん縁組

厚生労働省は10月を「里親月間」と定め、様々な啓発活動を行っています。今、なぜ里親や特別養子縁組といった「新しい家族のかたち」に注目が集まっているのでしょう。

生みの親が養育困難な場合、子ども達が「施設」で保護・養育されるのではなく、家庭的な環境で育まれるべきという子どもの権利への批准が国際的にも主流となっています。

フローレンスでは、赤ちゃん縁組事業などを通して、子どもの最善の利益のために社会で子どもを育てることを推進しています。

児童虐待対応件数が、今年も過去最高を更新

厚生労働省の発表によれば、令和3年度に児童相談所が対応した児童虐待件数(速報値)は、令和2年に続いて20万件を越え、過去最多の207,659件を記録しました。虐待が増える背景には子育ての負担が家庭だけにのしかかっている社会構造が関係しているとフローレンスは考えています。

虐待相談件数
出典:厚生労働省 令和3年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)

虐待や家庭内暴力被害のリスクがあり児童相談所で保護された子どもは、一時保護所に預けられ、その後、家庭に戻って支援を受けるか、あるいは家庭での養育が困難と判断されて、乳児院や児童養護施設、里親など「社会的養護」のもとにおかれます。令和3年の厚生労働省のデータによれば、社会的養護の対象にある子どもは、全国で約4万2千人でした。

かつて孤児院と呼ばれたとおり、親と死別した子どもが暮らすイメージのある乳児院や児童養護施設ですが、今は虐待を受けて保護された子どもが多いのが特徴で、里親に委託されている子どものうち約4割、乳児院に入所している子どものうち約4割、児童養護施設に入所している子どものうち約7割は、虐待された経験があるというショッキングなデータ(*)もあります。

「家庭」を知らない子どもたち

一時的にでも子どもたちがあたたかい家庭で過ごすことのできる「里親制度」は徐々に広まり、過去10年で、里親等に委託された子どもは約2倍と増えました。

しかしながら、里親制度が一般的なオーストラリアでは、社会的養護の必要な子どもの9割が里親に託されるのに対して、日本は里親制度の認知度も普及率もまだまだ低く、2021年に里親に委託された子どもは、社会的養護の必要な子ども全体の約1割にすぎません(*)。

子どもの成長には、特定の大人との愛着関係の中で愛情をもって育てられることが重要といわれていますが、今の日本では、精神的・身体的虐待で心に傷を負いながらも、あたたかな家庭を知らずに施設で集団生活を送っている子どもが多いのが現状です。

また、こうした子どもたちは経済的な理由から大学進学や就職のためのスキル獲得の機会を得られず、18歳になって施設を出た途端に社会的に孤立する例が多いといいます。

要保護児童数の推移
(*) 出典:厚生労働省(2021)「社会的養育の推進に向けて」

多様化する家族のかたち―社会で子どもを育てる

困難な状況にあって、社会的養護が必要となった子どもたちを、愛情をもって社会で育んでいくためには、家庭的な環境での養育が不可欠です。

「家庭で育つ権利」は国連の子どもの権利条約が定める基本的人権です。

日本は「国連子どもの権利委員会」から公式な報告書内で勧告を受け、日本でも家庭での養育を推進するため2024年までに施設養護で暮らす3歳未満の75%以上を里親家庭につなぐことを目標を掲げています。

里親制度では、子どもの親権は実親にありますが、養親が法的に自分の子どもとして迎え入れて育てる「特別養子縁組」制度では、親権は養親に移り、子どもが成人しても親子関係が続きます

フローレンスは赤ちゃんの遺棄・虐待死をなくす取り組みとして、2016年より赤ちゃん縁組事業(にんしん相談・特別養子縁組)を開始しました。2018年には東京都より養子縁組あっせん事業の許可を取得。東京都のモデル事業にも採択されています。

フローレンスの「にんしん相談」では、妊娠出産にまつわる悩みを抱える方、予期せぬ妊娠を周囲に相談できず悩む方に、専門相談員が伴走する支援をおこない、実親さんと赤ちゃんがどうしたら一番幸せになれるかを考えます。やむを得ない事情でどうしても育てられない場合には、「特別養子縁組」の制度で、子どもを希望し、適切な研修を受けた養親に託します。

子どもにとって一番大事なのは血のつながりではなく、あたたかく愛情に溢れた家庭で育つこと、環境に左右されずに子ども自身が望む未来をつかめること。そんなエピソードの詰まった動画をご紹介します。

フローレンスは2022年3月までに3,482件の「にんしん相談」に対応し、特別養子縁組では27組の新しい家族が生まれました

それでも、2020年度に特別養子縁組が成立した件数は、全国で693件しかありません。

実親さんが子どもを育てられなくなる理由は様々です。だからといって、愛情のある家庭で子どもが育つ権利が奪われる理由にはなりません。子どもの養育を個人や家庭だけの責任にせず、子どもの成長を社会で支え育てていくことが大事なのではないでしょうか。

また、赤ちゃん縁組事業(にんしん相談・特別養子縁組)を通じて、すべてのお母さんが安心して出産し、すべての赤ちゃんがあたたかい家庭で愛情に包まれて育つことのできる社会を目指して活動しています。

これらの活動はすべて、寄付者さんからのあたたかなご支援によって成り立っています。ひとりでも多くの子どもたちが、あたりまえに笑顔で過ごせる社会の実現に向けて、これからもフローレンスの応援をよろしくお願いします。


●予期しない妊娠で悩まれている方、ぜひご相談ください。周りにそういう悩みを持った方がいる、という人も、ぜひ赤ちゃん縁組・特別養子縁組制度について紹介してあげてください。※予期しない・望まない妊娠相談はこちら

にんしん・特別養子縁組相談

●赤ちゃん縁組のオフィシャルサイト※養親希望の方はこちら

フローレンスの赤ちゃん縁組

●フローレンスでは特別養子縁組に興味があるご夫婦を対象としたオンラインの研修を行なっています。特別養子縁組を検討する最初のステップとしてご活用ください。

特別養子縁組オンライン基礎研修


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