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2022年、寄付者の皆さんと一歩ずつ実現した「新しいあたりまえ」を振り返る

2022年、寄付者の皆さんと一歩ずつ実現した「新しいあたりまえ」を振り返る

#寄付

新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、私たちの生活が大きく変化してから3年が経ちます。感染の勢いは衰えることがなく、この冬はインフルエンザの流行もあいまって予断を許さない状況ではありますが、久しぶりに行動制限のない年末年始となったこともあり、各地で毎年恒例の行事なども再開され、ようやく人の動きが活発になってきました。

改めて1年前を振り返ると、2022年の1月頃には変異株であるオミクロン株が確認され感染者数の爆発的な増加に伴い、多くの県に「蔓延防止等重点措置」が適用され、先の見えないトンネルの中を手探りで進むような感覚で過ごしていたように思います。

3月にはロシアのウクライナ侵攻が始まり世界を不穏な空気が覆い、5月頃からは原材料価格の高騰から食料品の価格や光熱費が値上がりし、日々の暮らしに大きな影響を与えています。

このような状況のなかでも、フローレンスが様々な活動を行い成果を出すことができたのは、活動に共感し応援してくださる皆さんの力に支えられてきたからでした。今回は、2022年に皆さんと一緒に実現できた活動や変革を改めてご紹介します。


#すべての親子を置き去りにしない 「新型コロナこども緊急支援プロジェクト2022」

新型コロナこども緊急支援プロジェクト2022のアイキャッチ

2022年1月、長期化するコロナ禍で特に困難な状況におかれる「経済的に困難を抱えるご家庭」や「ひとり親家庭」、様々な「公的支援が届きにくいご家庭」に対し支援を届けるため、緊急支援第2弾となる「新型コロナこども緊急支援プロジェクト2022」を始動しました。

① 経済的な困難を抱える全国の子育て家庭に食支援を届ける「こどもフードアライアンス」実施

国内最大級の食品卸企業である株式会社日本アクセスと協働し、複数の食品メーカーより提供される食品を一括集約し、全国のこども支援団体を通じて子育て家庭に届ける「こどもフードアライアンス」を実施し、全国のご家庭に24万食を届けました。1団体では決してなし得ない規模の支援を、多くの企業と連携することで実現できた画期的な取り組みとなりました。

こどもフードアライアンスの概要

②DVで逃げている等の実質ひとり親家庭(※)に対するお米の配送や支援情報提供

(※)DV等の理由により、別居中で法的な離婚が成立していない実質的なひとり親家庭

長期化するコロナ禍で、特に経済的な困窮に陥りやすいひとり親家庭。その中でもDV等の理由により、別居中で法的な離婚が成立していない実質的なひとり親家庭の困窮と孤立が課題となっていました。フローレンスでは、このようなご家庭に対して10kgのお米の配送とデジタルによる情報提供などを通じた支援を実施。お米を受け取ったご家庭からは、たくさんの感謝の声が寄せられました。

ネット経由で、こんな優しい支援を無条件にしてくださる方々がいらっしゃるのかしらと思う気持ちもあったので、お米が到着した時に、本当だったんだと感動し、目の前がパッと明るくなりました!

息子二人にお米を食べさせてあげることができるので本当に嬉しいです。ありがとうございました。嬉しすぎて泣いちゃいました。

#無園児を無縁児にしない 「みんなの保育園」

記者会見の様子

普段、保育園や幼稚園に通っていない未就園児(無園児)家庭は社会とのつながりが希薄になりやすく、特に、専業主婦家庭では、平日の子育ての分担を母親ひとりで対応している割合が高く、精神的な負担や子育てについての悩み、不安を感じる割合も高いと言われています。コロナ禍で孤立が深まる中、仕事、子育て、経済的な不安等を抱えながら、公的支援が届かず、ギリギリの生活をしている親子も少なくありません。

フローレンスは、株式会社日本総合研究所に委託し、2022年3月に全国調査を実施。6月には調査結果をもとに記者会見を行い、希望する誰もが週1~2日からでも保育園を利用できるようにしてほしいと訴えました。

政府「骨太の方針2022」に、フローレンスの4つの政策提言が採用!

2022年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2022」に、フローレンスの提言してきた「みんなの保育園」「こども宅食」「日本版DBS」「デジタルソーシャルワーク」の文言が入り、社会課題の根本解決のための政策実現へまた一歩近づきました。モデル事業の立ち上げや政策提言活動は、皆さんの署名やご寄付、応援があるからこそ実現できています。

デジタルソーシャルワークのイメージ

「骨太の方針2022」に入った取り組みの一つである「デジタルソーシャルワーク」は、2021年に神戸市との連携でモデル事業を開始しました。経済的に困窮しながらも、支援につながっていないご家庭とLINEなどを通じてゆるくつながりを保ち、食品を届けたり、相談を受けたりすることで、必要な支援につなげる取り組みです。

相談員は全国どこからでも対応できるため、人員不足問題の解消も期待できます。フローレンスの提言が実り、このようなデジタルの可能性を活かしたアウトリーチ型の新しい取り組みが今回の骨太の方針に入ったことで、支援の輪がさらに広がることが予想されます。

デジタルで重度障害児・者の可能性を広げる e-sports全国大会「フローレンス杯」を開催!

視線入力でゲームを行う様子

フローレンスは、障害児保育・家庭支援のパイオニアとして、様々な障害児家庭支援事業に取り組んでいます。8月には、視線をパソコンのマウスのように使う「視線入力装置」を利用してゲームで競い合うe-sports全国大会を開催しました。大会には、フローレンスの障害児家庭支援事業を利用しているお子さんを含む多くの選手が全国から参加し、「視線入力」の技術を使って、ぬりえや徒競走などのゲームで競いました。

参加した重度障害児の親御さんからは、「『できる』を見つけ『できた』を積み重ねることで喜びに繋がるということを、この大会を通して肌で感じることができました。」とのコメントが寄せられています。

フローレンスは、デジタル技術を活用した新たな障害児支援のあり方を模索するとともに、「どんな障害があっても人生を楽しめる」社会を作っていきたいと考えています。

#もう子どもを置き去りにしない 皆さんの声で、通園バス「置き去り防止装置」義務化を実現!

署名の提出

9月5日に静岡県で保育園バスに園児が取り残されて亡くなるという痛ましい事件が起きました。フローレンスは安全装置設置義務化を目指して、事件後ただちに署名活動を実施。全国から4万筆を超える署名を集め、小倉子ども政策担当大臣に直接お渡したところ、翌日には小倉大臣が、安全装置の義務化とバスの改修費用に必要な財政措置等を含め保育所などへの具体的な支援策をまとめるよう指示、年末にはガイドラインが策定され2023年4月からの義務化が決定しました。

この署名活動には、SNSなどでも多くの方が後押しをしてくださり、声を届けてくれた全国の皆さんが「置き去りになる子がいなくなる」という新しいあたりまえを作った事例となりました。

このようなアクションや政策提言は、フローレンスの政策提言チームや広報が担当し、その人件費や活動費は皆さんからいただくご寄付が原資となっています。このアクションでも署名と一緒にたくさんのご寄付や応援のメッセージをいただきました。それらすべてが社会を変える力になっています。

#ふるさと納税でこどもを助ける 1億円のクラウドファンディングで支援拡大へ

ふるさと納税のアイキャッチ

今、親子の生活、命が危険にさらされています。長引くコロナ禍や物価の高騰で経済的に困窮するご家庭からは「明日食べるものがない」、孤育てに苦しむご家庭からは「気が狂いそうで、窓から飛び降りたい日が何日もありました」といった、悲鳴にも似た声が寄せられています。

また、日本では1週間に1人、子どもが亡くなっているという衝撃的なデータがあり、その約半数が0歳児の赤ちゃんです。児童相談所の虐待対応件数は令和3年に207,659 件と過去最多を記録。背景には貧困、孤独・孤立などがあると考えられますが、フローレンスは、虐待リスクを下げるために課題を抱える家庭を孤立させないような支援をより多くの人に届ける必要があると考え、支援拡大を目的としたクラウドファンディングを実施しました。

日本はまだ寄付の文化が根づいているとはいいがたく、NPOへの寄付というとハードルを高く感じている人が多いのが現状です。そこで、渋谷区の協力のもと、ふるさと納税という気軽な寄付の手段を通じて、フローレンスの活動を支援していただく活動を始めました。1700名を超える全国の皆さんからご支援をいただき、受付終了日であった最終日の未明に目標金額の1億円を達成することができました。

ふるさと納税を通じて、ご寄付とともに多くの応援メッセージもいただきました。これまでフローレンスを知らなかった人にも、親子をとりまく社会課題とフローレンスの活動を知っていただくことができ、「社会全体で子どもを育てることがあたりまえ」の未来の実現に向けて、また一歩近づくことができたと確信しています。

2023年は、ふるさと納税でいただいたご支援と皆さんの想いを、困窮するご家庭への食料支援、ひとり親の支援、孤立する親子の支援、予期せぬ妊娠に悩む女性の伴走支援といった、今目の前で困りごとを抱えている方への支援につなげるとともに、社会課題の根本解決を目指してソーシャルアクションや政策提言にも力を入れていきます。


最後に、フローレンスがひとり親家庭に低価格で病児保育を提供している「寄付によるひとり親支援プラン」の利用者さんからの声をご紹介します。

子どもが発熱しやすく、この一年は全くと言っていいほど仕事との両立が出来ませんでした。自治体の病児保育も利用しましたが、子どもが新たに病気をもらって帰ってくるという悪循環でした。私自身も子どもの看病と仕事のプレッシャーで心身ともに限界を感じました。

事情があり、頼れる身内が皆無です。保育スタッフさんや寄付者さん、一緒に子どもの状況を見守ってくれる方が増えたように感じ、大変心強いです。

一児の母 Yさん

フローレンスは、物資や病児保育を届けるだけでなく、利用者さんの気持ちに寄り添い安心も届けています。このような活動ができるのも、フローレンスを応援してくださっている皆さんのおかげです。

これからも皆さんと一緒に、より多くの方に支援を届けながら、一歩ずつ新しいあたりまえを作っていけるよう活動してまいります。引き続きフローレンスの応援をよろしくお願いします。


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